【2006年10月25日 コートジボワール発】
■ 叔母の愛情に育まれて
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ユニセフの教育キットを使っているクアディオ。
© UNICEF Côte d'Ivoire/2006/Westerbeek |
ユニセフが支援する保健センターは、今日も100人近くの人びとで混雑しています。
小さな男の子が2人の女性のそばでおとなしく座っています。
彼の名前はクアディオ(仮名)。6歳です。
クアディオは今年学校に通いはじめました。センターのソーシャルワーカーから文房具セットを渡されるてクアディオは大喜び。元気よくキットをあけました。中から小さな黒板、チョーク、ペン、鉛筆、ノート、クレヨン、定規、はさみが出てきました。
かたわらで、2人の叔母、ミランダさんとドリスさん(どちらも仮名)も笑みを浮かべています。センターは、クアディオの学費の支援を約束しています。センターの支援がなければ、クアディオは学校に通えませんでした。
■ HIV検査・・・結果は陽性
ミランダさんはに2人、ドリスさんには3人の子どもがいます。自分たちの子どもを育てながら、父親に捨てられたクアディオの世話をしています。クアディオの母親は7カ月前にエイズで亡くなりました。
母親が亡くなった後、医師はクアディオにHIV検査を勧めましたーー結果は、陽性でした。
クアディオと2人の叔母の家族は、町外れの小さなコンクリートの家に一緒に住んでいます。子どもたちは2つある寝室を一緒に使っています。クアディオと一緒の部屋の子はラッキーです。なぜって、クアディオがマラリアにかからないように使っている蚊帳の中で一緒に寝られるからです。
クアディオは自分の病気のことを知りません。叔母たちは、クアディオが母親と同じ病気にかかっていることを、彼にも自分の子どもたちにも話していません。クアディオは、保健センターで抗レトロウィルス薬の治療を受けています。「治療を始めてから、クアディオの調子はずっと良くなってきたわ。前は本当によく風邪を引いたりしていたから」とドリスさんは話します。
■「だまっていることにしたの」
コートジボワールでは、HIV/エイズの話題は今でもタブーです。
保健センターのソーシャルワーカーは言います。「病気が知られていないため、HIVに感染した人は家族や友だちから拒絶されることが少なくありません。みんなHIV/エイズが何か分かっていないのです」
ドリスさんは言います。「自分の子どもたちや友人、地域の人がHIV/エイズをよく知っていたとしても、クアディオがみんなに心から受け入れてもらえるかなんて分からない。いくら、彼に理解のある環境を作ろうとしても、物事は変わってゆくもの。心配なの。だから、クアディオには病気のことは何も話さないと決めたのよ」
「クアディオの病気のことが、このまま秘密であってほしいと思うわ」と、ミランダさんもいとおしそうにクアディオを見つめます。
■「お医者さんになりたいんだ」
学校の新学期が始まりました。クアディオも、この地域で学校に通える200人の幸運な子どもの一人です。「学校に行きたい。そして、学校を卒業したら、お医者さんになりたいんだ」大きな笑顔が輝きます。
「だって、ぼく、自分の病気を治したいんだ」
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