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エイズ治療を受けられる子どもたちが、30%も増加【2010年9月29日 ニューヨーク発】 9月28日、ユニセフ、世界保健機関(WHO)、国連合同エイズ計画(UNAIDS)が、最新の共同年次報告書(2010年度版)を、世界同時発表。HIVの予防、治療、ケア・サービスの普遍的な普及に向けて、世界的に進展が見られていること、そしてその目標は達成可能であることを報告しました。 「普遍的な普及に向けて:保健分野におけるHIV/エイズ問題の重要施策の普及の拡大を」と題された本報告書は、既に展開されている予防プログラムにも、また、子どものHIV感染原因の90パーセントを占める母子感染の予防プログラムにおいても、前進が見られていると伝えています。 大局的にはそうした成果が見られる一方、ワシントンDCとナイロビ、ジュネーブで同時に行われた発表記者会見では、本報告書が、国と国の間だけでなく、一つの国の中においても、“成果”に地域格差があることを指摘し、警鐘を鳴らしていることも強調されました。 実現できる「HIVのない世界」
ユニセフのジミー・コーカーHIV/エイズ問題担当部長は、次のように語ります。「HIV検査や治療を受けていない妊婦に支援を届けるためには、更なる努力が必要です。彼女たちは、社会的に差別されたり、疎外されたりしている場合もあります。」「例えば、ボツワナでは、新たにHIVに感染した新生児の半数以上は、全妊婦の6パーセントにあたる出産前のケア・サービスを受けていないお母さんから感染しているのです。」 「HIVに感染していない世代を実現することは可能です。我々は、既に必要な技術や情報を持ち、治療法も確立しています。今必要なことは、国際社会からのコミットメント(約束)を増やすこと。既存の治療やケア・サービスを強化し拡大するための各国の努力。そして、特に、最も貧しく最も厳しい立場にある人々への支援を確実に行うことです。」(コーカー部長) 求められる政治的意思コーカー部長が出席したワシントンDCで開催された記者会見には、エルサルバドルのマリア・イサベル・ロドリゲス保健大臣の他、世界保健機関(WHO)、国連合同エイズ計画(UNAIDS)、市民団体の代表者も出席していました。 ロドリゲス大臣は、HIV/エイズと共に生きる人々に質の高いケア・サービスを提供するために、エルサルバドルが実施した数々の成功例を紹介。世界的な経済の悪化を理由に、HIV感染予防に対する国際的な支援が減少し、求められているHIV/エイズに対するケア・サービスが提供できない状況が放置されてはならないと訴えました。 「こうした状況にある今こそ、各国政府からの、より強い政治的意思の表明が求められています。」(ロドリゲス大臣) 治療サービスの普遍的な普及へ
ジュネーブの記者会見に出席したレイラ・パカラ ユニセフ本部民間支援企画調整局長は、次のように述べました。 「検査と治療を早期に行えば、HIVに感染した新生児も、普通の生活を送れる可能性が高くなります。」「子どもたちを治療することは、難しいことではなりません。2008年から2009年までの間に、抗レトロウィルス薬の投与を受けた15歳未満の割合は、30パーセント近くも増えています。」 治療を必要とする子どもたちの80パーセント以上に治療を提供している国は、現在14ヵ国。その中には、ブラジルやナミビア、そして、ヨーロッパで最もHIV感染率の高いウクライナも含まれています。 社会から取り残されたコミュニティへの支援
ナイロビの記者会見に出席したユニセフの東部・南部アフリカ地域事務所のエルハジ・アス・スィ代表は、次のように話しました。 「この報告書には、アフリカのHIVに感染した子どもを含む数百万人の人々の生活が大きく改善していることが示されています。ほんの数年前には想像さえできなかったことです。」 アス・スィ代表は、社会的に取り残され、疎外されている子どもと女性たちのために、一層の努力が必要であると強調しました。「こうした支援を実現するためには、保健サービス網の対応能力を強化しなければなりません。」「農村部や都市部の貧困地域にも、HIV感染予防と治療を行うための支援が必要です。」 報告書「普遍的な普及に向けて:保健分野におけるHIV/エイズ問題の重要施策の普及の拡大を」PDF(英語版)はこちらから »
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