HOME > 世界の子どもたち > 緊急支援情報 >イラン南東部地震  ユニセフ緊急・復興支援報告
財団法人日本ユニセフ協会



みなさまのご支援ありがとうございました
イラン南東部地震
ユニセフ緊急・復興支援報告

2003年12月26日、イラン南東部バムでの大地震の発生から2年以上が過ぎました。町や経済の再建は、国内外の様々な支援団体の協力により実を結んできました。子どもたちは学校に戻り、崩壊した保健センターは修復され、新しい保健センターが建設されました。都市型及び農村部の給水システムは完成間近です。

日本の皆様より日本ユニセフ協会にお寄せいただいた募金は約2億1千万円にのぼりました。皆様のご支援によって、この2年間ユニセフは子どもたちのために様々な支援活動を行うことができました。その成果をご報告いたします。

地震直後の活動

ユニセフは地震発生後48時間以内に、飛行機2機分の緊急支援物資を送りました。医薬品や医療道具、救急セットと保健関連の資材、出産用キット、14,000枚の毛布、浄水剤625,000錠 、コミュニティ用の水タンク16台、簡易発電機3台 、テント、防水用シート、ロープ等の避難所用物資が提供され、被災した人々の生活を支援しました。

緊急・復興支援活動の成果

<子どもの保護と心のケア>

家族の再会と保護 地震で3,000人の子どもたちが片親もしくは両親を失いました。親と離れ離れになった子どもたちを登録・管理し、親と再会させ、子どもを引き取る家族を見つける等の支援を行いました。ユニセフの研修を受けたソーシャルワーカーは、避難テントをひとつずつ訪れて、子ども達の状況を確認したり、親戚にひきとられた子どもや親と再会した子どもを一人一人継続的にサポートしました。子どものための電話ホットラインが作られ、専門のカウンセラーが虐待など問題を抱えている子ども等の相談相手となり、特別な支援を必要としている子ども達に保健センターやカウンセリングセンター等の施設を紹介しています。

心のケア 被災者の約80%はなんらかの心の傷を抱えているといわれています。ユニセフは保健省と協力して避難テントを17,000回以上訪問し心理的サポートを行いました。又、33,422人がグループカウンセリングに参加しました。地域での精神的な支援ネットワークを作るため、1,380人の教員、399人の精神科医、105人のカウンセラー、135人の保健ボランティアに研修を行い、テレビやラジオ番組、パンフレット等も活用しながら心のケアを行いました。イランのお正月には、21,000人の子どもがプレゼントをもらいました。3つの地域カウンセリング・レクリエーションセンターが作られ、カウンセリングとレクリエーションを組み合わせた子どもの心のケアが実施されました。又、学校ベースでのカウンセリングも29の小学校で実施され、バムの3分の1の子どもが支援を受けました。

子どもにやさしい空間 6才までの子どものための幼児ケアセンターが36ヶ所に、学齢期の子どものためのレクリエーション/文化センターが10ヶ所に設立され、センターのためにテントや毛布、冬物の衣服や下着、おもちゃやスポーツ用具等が提供されました。幼児ケアセンターには、本やおもちゃ、ゲームや幼児用教材があります。レクリエーションセンターでは、コンピューターやデジタルカメラ、テレビ、ゲーム、お絵かき道具等を、より高学年の子どものために提供しています。

<保健・栄養>

予防接種 ユニセフは、ワクチン保存用の冷蔵庫や保冷ボックス、温度計、ワクチン運搬器具を、被災したケルマン州全体に提供・設置しました。又、保健員や保健省、予防接種実施スタッフへ研修を実施しました。

栄養 避難所で生活する家族の栄養状態が悪くならないよう、地域の保健員や保健省スタッフに家庭でのケアや子どもの成長観察について研修を行いました。又、2つの栄養ケアセンターで、栄養についての情報提供やカウンセリングができるようになりました。又、小麦粉の栄養を強化するために、製粉工場に設備や混合粉を提供しました。

<教育>

地震によって800人の教員が亡くなり、131の学校が崩壊しました。ユニセフは被災地の教育再建の中心機関として政府やNGOの活動を調整し、子ども達がいち早く質の高い教育を受けられるよう支援を行ってきました。

ユニセフは仮設教室のために34のテントを提供し、416のスクール・イン・ア・ボックス(80人分の学用品や教材が入った箱)、や56のレクリエーションキットを地震の2日後に提供しました。1,210人の教員に子ども達の心のケアについて研修を行い、学校に登録していない1,000人の子ども達を、家を一軒一軒訪問して追跡し、就学を促進しました。また、教材やおもちゃ、学校用の家具や備品などを56校に提供しました。又、2台の移動図書館用バスがバムの学校を訪問し、10人の司書を研修しました。30校に図書室と科学室、コンピューター室が設置され、70人の教員が司書としての研修を受けました。30校でトイレが建設され、50校に衛生キットが送られました。衛生教育を行うための教材も開発され、校長や教師が研修を受けました。

<水と衛生>

ユニセフは地震直後に16の大型水タンク(5,000リットル/10,000リットル)と、2,000の簡易トイレ、1,000枚のプラスチックシート、水質モニタリング用の水質検査キットの提供や技術支援を行いました。又、20,000個のごみ箱と、80,000枚のごみ袋を配布しました。

水道管の設置・修復作業

損壊した給水ネットワークを再建するため、都市部で230km、農村部で100kmの水道管と4つの貯水池が設置されました。農村部では主要な水源として3つの井戸が設置されました。都市部と農村部の双方に水質検査キットが提供され、定期的に水質が国際基準を満たしているかどうか検査できるようになりました。

570以上の家庭用のトイレとシャワーが設置され、10校の女子中学校・高校にトイレと洗面所が建設されました。又、学校用に185セットの洗剤、漂白剤、手袋、殺虫剤、トイレ掃除用のブラシ、石鹸、バケツ、防護マスクが提供されました。