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財団法人日本ユニセフ協会




ユニセフ

◆スーダン ダルフール地域緊急支援 (4)◆

チャドへの難民最新情報

現況 − チャドへの難民は20万人に

image スーダン・ダルフール地域からチャドに流入している難民は、4月の段階で予測した11万人をはるかに超え、現在9ヶ所の難民キャンプと国境付近に避難している人数は、19万人にのぼっています。国連による制裁の通達にもかかわらず、ジャンジャウィ−ドによる暴力や虐殺は現在も止まず、今後も3万人程度の難民が新たに国境を渡ってくるのではないかと予想されています。
さらに、9月末まで続く雨季とモーリタニアからスーダンにかけてのサヘル地帯を襲うイナゴの大群という2つの自然現象が、難民たちの状態を悪化させています。特にイナゴの大群は、スーダンからの難民が身を寄せるチャド東部地域を含む広範囲にわたって作物に被害をもたらすと予想され、難民やチャドの子どもたちの栄養状態に大きな影響を及ぼします。
こうした状況下において、長期にわたって難民を受け入れている地域の困窮は激しく、難民よりも地元の住民の栄養不良率の方が高い地域も出てきています。水の不足も相変わらず深刻で、安全な水を手に入れられるのは、住民の1.4〜3%に過ぎません。

ユニセフのこれまでの活動

ユニセフは、チャド政府や他の国際機関と緊密な連携をとりながら、基本的な社会サービスの強化を通じた支援を行っています。5月には緊急支援のための臨時事務所をアベチェに開設しました。さらにイリバにも新たな事務所を設置する予定で、合計27人のスタッフをチャド東部に派遣して緊急支援を実施しています。

<保健と栄養>

  • 2月〜3月、保健省と協力して、はしか予防接種とビタミンA補給キャンペーンを展開し、6ヶ月から15歳までの75,397人の子どもたちにはしかの予防接種を実施。
  • 3月以降もスーダンからの難民が流入し、同時にダルフールにおいて4件のポリオが報告されたため、7〜8月に206,000回分のはしかとポリオワクチンを調達。6ヶ月〜15歳の子ども19,143人にはしかの予防接種を、9,657人にポリオワクチンを、8,479人にビタミンA補給を行いました。
  • 6月に実施した栄養状態調査によって、5歳未満の難民の子どものうち36〜39%が栄養不良で、5%は非常に危険な状態であることが判明。ユニセフは調査以前にすでに4トンの治療用ミルクを提供していましたが、さらに1トンのミネラル・ビタミンコンプレックス−普通のミルクに混入すると1000人の子ども3か月分の治療用ミルクになる−を配布。また8月22日には、新たに1000人分の治療ミルクF-75を輸送しました。
  • 特に妊産婦や子どもを対象に殺虫処理済の蚊帳7,000張りを配布

<HIV/エイズ>

  • 7月にHIV/エイズ予防のためのトレーナー15名に対する訓練を支援。その15人が6ヶ所のキャンプで合計100人のエイズ予防活動員への研修を担っています。

<教育>

  • 6ヶ所の難民キャンプに設置された小学校では、14,000人の子どもたちが学んでいますが、教育を必要としている60,000人をカバーするにはまだ至っていません。ダルフールはもともと就学率が低いため、難民キャンプに学校を開設したことで、これまで教育を受けたことのない子ども−特に女の子が学ぶ機会を得ています。
  • ユニセフは、すでにスクール・イン・ア・ボックス234セット(18,720人の子どもを対象)を配布。また学校の基本資材や6,067冊の教科書も提供。すでに8,840人の子どもがこの教科書で学んでいますが、ほとんどの子どもが1年生のため、新たな教科書を発注しています。
  • ユニセフは仮設教室建設のための防水シートやマットを支援。さらにテント300張りも調達中
  • 小学校教師のためのトレーニング資材を調達し、9月1日には24名の教育スーパーバイザーに対し5日間の研修を実施。また未就学児のケアとして、ユニセフの支援を受けた社会福祉・家族省のスタッフが、5ヶ所の難民キャンプで幼児ケア活動員の研修を実施しています。
  • 5ヶ所のキャンプに65の幼児ケアセンターを設置。3〜6歳の2,600人がケアを受けています。これらのセンターには、まもなくレクリエーションセットが配布されます。

image<水と衛生>

  • 難民キャンプの衛生設備は依然として不十分で、下痢が多発しています。公衆衛生教育もユニセフの優先課題の一つで、特に衛生環境が悪化する雨季には重要です。ユニセフは、8つの難民キャンプで153の公衆衛生教育委員会の設置を支援。公衆衛生の研修を受け、衛生についての意識を高める活動に従事している委員は、340人以上います。
  • ユニセフは、41,460人の難民とチャドの人々のために家庭用の給水セット(浄水剤、バケツ等)619セットを配布。
  • 20トンの石鹸を54,000人に配布、さらに105,000万人のために50トンを調達しています。
  • ユニセフの支援を受け、環境省のスタッフが2ヶ所のキャンプ内で殺虫・消毒を実施しました。

<子どもの保護>

  • チャド国内で最も地雷や不発弾が多いといわれる難民キャンプ地において、ユニセフは唯一地雷教育を担う機関です。4月以降、不発弾の爆発が多く報告されており、そのほとんどで子どもが巻き込まれていることから、地雷の怖さを伝える活動を続けています。地域のリーダー、宗教者、人道支援スタッフ、警察官、教員など1,084人に地雷啓蒙員としての研修を行いました。
  • 難民の出生登録や出生証明書を支援。
  • ユニセフの支援を受け、社会福祉・家族省はそれぞれの難民キャンプにおいて社会心理的サポートのニーズ調査を実施。
  • アベチェの18,000人の子どもたちのためにレクリエーションキット220セットを調達

ユニセフの活動資金

チャドに逃れたスーダン難民とそれを受け入れているチャド東部地域への緊急支援を実施するために、10月末までにユニセフが必要としている資金は1,065万米ドル(約12億1500万円)と見積もられています。現在までに各国から集まった支援は、およそ半分の535万米ドル(約6億1000万円)です。

活動分野

活動資金(US$)

既受領額(US$)

必要資金(US$)

教育

1,772,727

682,993

1,089,734

61.5%

保健・栄養

1,037,160

428,387

608,773

58.7%

はしか・ビタミンA対策

4,051,805

1,161,571

2,890,234

71.3%

HIV/エイズ

294,560

110,000

184,560

62.7%

保護

914,250

707,273

206,977

22.6%

水と衛生

2,586,818

1,578,051

1,008,767

39.0%

プログラム支援

 

683,327

 

 

合計

10,657,320

5,351,602

5,305,718

49.8%


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◇ 募金のお願い ◇

 日本ユニセフ協会では、スーダンをはじめ人道危機に対するユニセフの支援活動を支援するための募金を下記の口座にて受け付けています。皆様のご協力をお願い申し上げます。