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日本ユニセフ協会
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陸前高田市の準専門家研修を終了

【2016年3月26日  陸前高田市発】

去る3月、陸前高田市の要請を受け、東日本大震災緊急・復興支援の一環として実施してきた子育て相談員や療育相談員、家庭相談員を対象にした研修会が終了しました。日本ユニセフ協会では、陸前高田市からの要請を受け、日本プレイセラピー協会と協力し、2012年からプレイセラピーに基づいた「遊びを通した子どもの心のケア」のスキル、親との心理面接のスキル、ケースのスーパービジョンなどを中心とした研修を行ってきました。岩手県ユニセフ協会 伊東信子さんの報告です。

地域の養育者を支えるために学び続ける支援者

最終回の参加者。前列中央が、講師を務められた日本プレイセラピー協会の本田涼子さん(右)と松岡展世さん(左)

©日本ユニセフ協会

最終回の参加者。前列中央が、講師を務められた日本プレイセラピー協会の本田涼子さん(右)と松岡展世さん(左)

3月29日(火)、陸前高田市ふれあい教室(療育教室)にて、陸前高田市の要請により全5回で開催されていた27年度のシリーズ研修が終了しました。講師は日本プレイセラピー協会の本田涼子さんと松岡展世さん。毎回、ふれあい教室には、市の準専門家である子育て相談員、療育相談員、家庭相談員が参加しています。震災後から、家庭相談員、子育て相談員として新たな職場に異動してきた方も参加。それぞれの活動場所、内容、支援対象者も異なる部分が考慮され、参加者のニーズにあわせられた臨床心理士の専門家による研修は、支援者としてのスキルアップのほか、支援者自身のケア=セルフケアの重要性にも気づく研修となったようです。

シリーズ研修は、グループワーク、自分の頭で考え言葉にする、文字におこす、絵にする、共有する、意見を聴く、といった時間が多く取り入れられています。相談者や相手を自分に置き換えて考えるワークでは、見えない部分がたくさん見えてきました。相談者とどのようにかかわればいいのか、養育者との寄り添い方なども学びました。また、自分自身を内観する機会もあり、自分自身を温かく見つめ直す機会も与えられ、心のありようも共有しました。

研修会を終えて

研修会終了後のお茶会で配られた講師お手製のカードには、参加者ひとりひとりに宛てたメッセージも添えられていました。

©日本ユニセフ協会

研修会終了後のお茶会で配られた講師お手製のカードには、参加者ひとりひとりに宛てたメッセージも添えられていました。

最終回では、自分を軸にしたこの研修開始からの道のりを絵にして発表しました。講師の本田さんとの出逢いを出発点にして、自分自身と自分が歩いてきた道、そして自分の支えとなったもの、3つを描きました。 その絵を使った“ふりかえり”を通じて、参加者は、現在の困りごとや将来への不安なども共有することができました。

「自分の嫌な部分も認められるようになりました」

「どんな自分も認められるようになりました」

「講師が遠方の方なので相談しやすかったです」

率直な思いを語る参加者に、講師のお二人は、支援者自身が、また支援者同士でセルフケアを続けることの大切さを、温かく伝えられました。

震災をきっかけに

このシリーズ研修の参加者の多くは、かつて高田松原の海岸近くにあって被災した「ふれあい教室(療育教室)」や、「家庭相談室」などで子育て・子ども支援に関わっていらっしゃった方々です。現在使われている「ふれあい教室」の施設は、震災直後に日本ユニセフ協会が、被災した竹駒保育園の活動再開のために仮設園舎として提供したものです。竹駒保育園の新設に伴い役目を終えた仮設園舎は解体されることなく、「ふれあい教室」、そして「家庭相談室」として生まれ変わりました。

震災前、「ふれあい教室」は海岸近くに、「家庭相談室」は市役所内にありましたが、震災をきっかけに、コミュニティーセンターや仮設の市立図書館、子ども図書館に隣接する場所に移転され、地域の方々にも目にしやすい施設となりました。

支援者同士の支え合い

シリーズ研修の冒頭、車座になった参加者は、身の回りで起きていることを共有。参加者同士の距離が、急速に縮まります。

©日本ユニセフ協会

シリーズ研修の冒頭、車座になった参加者は、身の回りで起きていることを共有。参加者同士の距離が、急速に縮まります。

研修では、毎回、参加者が円座になり、それぞれが身の回りに起こっている環境の変化を報告してから研修会が始まります。普段同じ職場で働いていなくても、研修に参加するたびにお互いが置かれている状況が見えてきて、短い時間でありながら、参加者全員が身近な存在に感じられた中での勉強会。このシリーズ研修は、支援者としてのスキルアップはもちろんのこと、セルフケアがいかに大事か、また支援者同士が共有することで知る・気づく・学ぶことを体感できる、実りある研修だと思いました。相手の良いところを言葉にして伝えている姿や、同じ仕事をされている(自分の仕事を理解してくれる)方々に「相談することが出来た」、「支えてもらえている」と、多くの方々が感謝の言葉を口にされている様子から、支援者同士の支え合いを強く感じました。

最終回となった今回の研修では、4人の方々から現在の職場を離れるという報告がありました。研修後には、慰労会も兼ねたお茶の時間が設けられ、別れ際、参加者の皆さんが涙を流しながら抱き合い、「戻って来てね」、「もったいないよ」と声を掛けあう姿に胸を打たれました。それぞれの職場を離れても、また新しい場所でこの研修を思い出され活かしてほしいと心から願っています。皆さんと同じ時間を共有できたことは、本当に幸せなことでした。

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