【2020年4月30日 ニューヨーク/パリ/ローマ発】
ユニセフ(国連児童基金)、ユネスコ(国連教育科学文化機関)、世界食糧計画(国連WFP)、そして世界銀行は本日、世界で約13億人の子どもたちに影響を与えている休校措置が続く中、学校の安全な再開に向けた新しいガイドラインを共同で発表しました。
2020年5月12日追記:
日本語版のガイドラインを作成しました。ダウンロードはこちら |
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4機関は、新型コロナウイルス(COVID-19)のパンデミックへの対応として教育施設が広く閉鎖されたことで、子どもたち、特に学校が教育、保健サービス、安全や栄養面を支える生命線となっている、最も置き去りにされた子どもたちにとって教育と健康に前例のないリスクが生じていると警鐘を鳴らしています。本ガイドラインは、学校が再開した際に子どもの安全を守る方法について、国や地方自治体向けに実用的な指針を提供しています。
「格差の拡大、健康への悪影響、暴力、児童労働や児童婚は、学校に通えていない子どもたちに及ぶ長期的な脅威の一部に過ぎません」とユニセフ事務局長のヘンリエッタ・フォアは述べました。「学校に通っていない時間が長ければ長いほど、子どもたちが学校に戻る可能性は低くなるでしょう。学校の再開が安全に行える場合それを優先しなければ、教育におけるこれまでの成果が覆されてしまうかもしれません」
© UNICEF/UNI322354/Schverdfinger |
休校措置が感染率に及ぼす影響を表すデータはいまだ不十分であるものの、休校が子どもの安全と学習に及ぼす悪影響については十分に示されていると、ガイドラインは触れています。
国や地方自治体が学校再開の決定を行う際には、教育、公衆衛生、社会や経済における利点とリスクの評価に基づいた上で、子どもの最善の利益と公衆衛生が中心に置かれなくてはなりません。
学校は、学習環境を改善し、保健、栄養、心理社会的支援、水と衛生などを含め子どもたちをより包括的にサポートできるよう、どのような形で再開すべきか、その方法について検討しなければなりません。
各国が学校の再開時期について検討しているいま、ユニセフ、ユネスコ、世界食糧計画と世界銀行は、グローバル教育連合(Global Education Coalition)の一環として、開校に伴う感染リスクについてはいまだ決定的なデータが示されていないことに留意した上で、遠隔授業と比較した対面(通学)授業の利点と、学校の再開におけるリスク項目について評価するよう各国政府に求めます。
ガイドラインには以下の内容が含まれます:
© UNICEF/UNI207854/Katragadda |
・政策の改革
公衆衛生上の緊急事態における開校と休校に関する明確な指針の設定、置き去りにされている子どもや学校に通えない子どもを対象にした平等なアクセスの拡大、遠隔授業の強化・標準化など、ガイドラインの各項目に対応した形で改革を行う。
・資金の投入
COVID-19が教育に及ぼす影響に対処し、回復とレジリエンスのための教育システムの強化に資金を投入する。
・安全な運営
感染を減らし、重要なサービスと物資を守り、健康的な行動を促進するための条件を整える。これには、手洗いのための石けんと清潔な水が使用できること、職員または生徒の体調が優れない場合の対応手順、社会的距離のルール、および適切な衛生習慣が含まれる。
・遅れを取り戻す
これまでの失われた学習時間を補い、教授法を強化し、遠隔学習を統合したハイブリッド学習モデルを構築する。職員や生徒、その家族間で感染と予防に関する知識の共有も行う。
・福祉と保護
照会システムの強化、保健ケアや学校給食を含む学校で行われる重要なサービスの提供を通じて、子どもの福祉と保護への取り組みを促進する。
・最も置き去りにされた子どもの支援
学校再開の方針を適用し、学校に通えなかった子ども、避難民や移民の子ども、少数民族などの置き去りにされた人々へのアクセスを拡大する。重要なコミュニケーションとアウトリーチ活動を、多様な言語で利用可能な方法で行う。
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