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日本ユニセフ協会

シリア緊急募金

シリア
北東部収容所での武力衝突 拘束中の子どもの状況に強い懸念

2022年1月25日ニューヨーク

シリア北東部の収容所において、拘束されている子どもたちが武力衝突の渦中にあることを受けて、ユニセフ(国連児童基金)事務局長のヘンリエッタ・フォアは、以下の声明を発表しました。

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収容所で武力衝突

北東部のアルホル難民キャンプで、毛布に包まる女の子。(2021年1月撮影)※本文との直接の関係はありません

© UNICEF/UN0430205/Souleiman
北東部のアルホル難民キャンプで、毛布に包まる女の子。(2021年1月撮影)※本文との直接の関係はありません

シリア北東部のハサカにあるグワラン(Ghwayran)収容所において、子どもの死者が出ているという懸念すべき報告を受けています。また、拘束されている子どもたちが、拘束者と治安部隊の間で続く衝突に、強制的に参加させられている可能性があるという報告もあり、深い憂慮を抱いています。

現在、シリア北東部では約850人の子どもが拘束されています。そのほとんどがグワラン収容所におり、中には12歳の子どももいます。こうした子どもたちの大半はシリアとイラク出身の男の子で、残りはその他20カ国から来ています。彼らは、国内法および国際法のどちらの罪にも問われていません。また、外国籍の子どもたちは、母国からの支援をほとんど何も受けていません。

子どもたちの安全を優先に

北東部のロジ難民キャンプで、ユニセフの支援により冬服を受け取った12歳のアフマドくん。(2021年2月撮影)※本文との直接の関係はありません

© UNICEF/UN0497217/Souleiman
北東部のロジ難民キャンプで、ユニセフの支援により冬服を受け取った12歳のアフマドくん。(2021年2月撮影)※本文との直接の関係はありません

こうした子どもたちは、そもそも軍事拘束されるべきではないのです。彼らが受けている暴力は、戦争犯罪に相当する可能性があります。

ユニセフは、この収容所の全般的に劣悪な環境、限られたサービス、過密状態、適切な保健・衛生ケアの欠如から、拘束された子どもたちについて長い間懸念を抱いてきました。子どもたちは家族との接触をほとんど持てず、教育を受ける機会もなく、不確かな運命に直面しています。

私たちは、すべての紛争当事者と彼らに影響力を持つ者に対し、民間人や戦闘力のない人々を保護する責任を遵守し、グワラン収容所やハサカで暮らすすべての子どもたちの安全を優先させるよう求めています。

 

平和的解決を

アルホル難民キャンプに滞在する家族。(2021年1月撮影)※本文との直接の関係はありません

© UNICEF/UN0430203/Souleiman
アルホル難民キャンプに滞在する家族。(2021年1月撮影)※本文との直接の関係はありません

私たちが、シリア北東部のすべての紛争当事者に求める内容は、以下の通りです。

  • 拘束施設にいる子どもたち、およびその周辺地域の子どもたちの身体的保護と福祉を確保すること。拘束施設内の平穏を取り戻すためのいかなる措置も、適切な武力の行使によるものでなければならない。戦闘中、実行可能なすべての予防措置を講じ、国際人道法における区別と均衡性の原則(the principles of distinction and proportionality)を遵守しなければならない。
  • 数年にもわたって武力紛争に巻き込まれている子どもたちに対し、これ以上不必要な苦しみを与えたり、命を奪ったりしないよう、交渉によって平和的解決をすること。その第一歩は、人道支援を行う者が、子どもたちが必要としている緊急のケアと保護を提供し、彼らを拘束施設から助け出すための安全な経路を確保することである。子どもたちや、病気や怪我などによって戦闘力を失った人々には、保護と人道支援を受ける権利がある。
  • 現在の拘束施設の管理者と拘束に関わる当局は、最も幼い子どもや、緊急の医療およびその他のニーズがある子どもを最優先に、すべての子どもたちを無条件で解放すること。
  • 子どもたちが安全な場所に避難した場合、人道支援を行う者が、いかなる差別も受けず、子どもたちへの緊急のケアと支援を、妨害されることなく持続的に提供できるようにすること。
  • 国連加盟国は、子どもの保護と人権の国際的な基準に沿って、子どもを母国へ安全に送還するために最善を尽くすこと。また、こうした取り組みを可能な限り支援すべきである。

行動を起こすべき時は、とっくに過ぎているのです。

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