2022年3月15日シリア発
©UNICEF/Syria/2021/Ali Almatar
ユニセフ支援物資として提供された冬用の服や帽子を身に着けて、嬉しそうな笑顔を見せるシリア避難民のラシドちゃん(4歳)。
シリアで2011年3月に勃発した紛争は、11年が経過した今なお続いています。多くの家族が避難生活を強いられ、平和な日常を経験したことがない子どもたちも年々増えています。2011年以降、シリアでは約500万人の子どもが生まれています。
シリアの冬は寒さが厳しいうえ、近年の経済不況、燃料不足、暖房手段の欠如によって、人々が寒さをしのぐことがさらに困難になっています。また、避難民キャンプで暮らす家族にとっては、子ども用の暖かい衣服などを入手することさえ、難しい状況におかれています。
子どもたちの健康を守るため、ユニセフは、シリアや周辺国で避難生活をおくる子どもたちに、冬用の服や靴を届けています。昨年の秋、日本の皆さまと各国からのご支援により、ユニセフは、アレッポ北部にあるファフィン(Fafin)避難民キャンプとアレッポ南西部のアル・ゼルベ(Al-Zerbeh)において、0~14歳の子どもたち5,000人以上に冬服キットを届けることができました。
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シリア北西部、アレッポ北部の農村部にあるファフィン避難民キャンプ。現在は、2018年にアフリーンでの暴力行為の激化を逃れてきた3,000人以上の人々が暮らしています。
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ファフィン避難民キャンプで、子ども用の冬服が入ったユニセフ支援物資を受け取り、笑顔を見せる子どもたち。
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ファフィン避難民キャンプで家族と暮らす、ラシドちゃんと祖母のアリアさん。 ユニセフから受け取った冬服キットの中身を確認しながら、「このキャンプに到着して以来、衣服は一着さえ買うことができませんでした」とアリアさんが話します。
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ユニセフ支援物資の新しい冬服や靴を身に着けた、スアードちゃん(5)、ラシドちゃん(4)、ヒヴィアルちゃん(1)。 2018年、アレッポ北部のアフリーンで激化する暴力行為から逃れるため、一家は丸一日歩いてこのキャンプにたどり着きました。
「これでもう寒くない!」
ユニセフが提供した冬服キットの箱にはそれぞれ、冬用ジャケット、毛糸のセーター、防寒着、暖かい冬用ズボン、毛糸の帽子、マフラー、手袋、靴下、冬用ブーツ、暖かいパジャマが含まれています。赤ちゃん用キットには、ボディスーツ、綿の手袋・帽子・靴下のセット、赤ちゃん用毛布、赤ちゃん用コート、抱っこ紐、赤ちゃん用の衛生用品も含まれています。
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「これでもう寒くない!冬の間もテントの外で友達と遊べるよ」と、配布された冬服を着て話すナジャちゃん(5)。
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受け取った新しい冬服を着て、家族で暮らすテントの外で遊ぶラシドちゃん(4)とスアードちゃん(5)。
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「私は子どもたちをかろうじて養っている状況なので、冬服の支援のおかげで子どもたちがあたたかく過ごせます」と話す母親のヒヴェンさん(33)は、2018年、暴力行為の激化により、3人の子どもを連れてアフリーンの自宅から避難することを余儀なくされました。 夫とは10年前に死別しており、知的障がいのある息子のスリマンさん(13)には特別なケアが必要です。「難民キャンプ暮らしで収入はないため、思いやりのある心のあたたかい人々のおかげで、やっと生きていくことができています」と、目に涙を浮かべながら語りました。
©UNICEF/Syria/2021/Ali Almatar
ユニセフから冬服一式を受け取ったモスタファさん(8)は、「これまでのように、雨が靴の中に入ってくることがなくなるね!」と嬉しそうに話します。 2018年、モスタファくんは家族とともに、安全な避難先を求めてファフィン避難民キャンプへやってきました。
シリアでは今なお、530万人の国内避難民を含む1,460万人以上が人道支援を必要としています。ユニセフとパートナーは、シリア全域、そして支援を必要としている推定580万人の子どもを受け入れている近隣諸国において、子どもたちを保護し、紛争の影響に対処できるようにするための活動を続けています。子どもや養育者がトラウマから立ち直るための心理社会的支援を拡充させたり、命を守る支援や身体的・心理的に苦しんでいる子どもたちへのサービスを提供しています。