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日本ユニセフ協会

シリア緊急募金

シリア
コレラから幼い子どもたちを守るために
ユニセフ、予防啓発と緊急対応を拡大

2022年9月27日ラッカ(シリア)

シリアでは、2011年に勃発した紛争が、11年経過してもなお続いています。さらに今、シリア国内でコレラが流行しており、幼い命が危険に晒されています。ユニセフは、子どもたちの安全を守るため、緊急対応の規模を拡大しています。その一環として、ボランティアの人々とともに、予防対策への取り組みを多くの家庭に伝えています。

安全な水を入手できず、高まるリスク

「ボランティアの人々から説明を受け、自分や家族を守る方法を教えてもらうまで、コレラという病気は知りませんでした」と、シリア北東部ラッカのヨーナニ非公式居住区で生活しているウィサールさんは言います。彼女は6年前に、家族と共にラッカの農村地域サファにある自宅から避難を余儀なくされました。

ウィサールさんの息子は体調が悪く、下痢をしています。「医者に連れて行きましたが、まだ良くなりません」と彼女は続けました。この地域では医療サービスが行き届いていないため、息子の具合を心配しています。

この非公式居住区で暮らす30歳のフェリアル・サリムさんは、4人の母親です。「この辺りの医療サービスはとても貧弱です。この居住区に水がないときは、たいてい川から水を汲んできます。きれいな水ではありませんが、これが唯一手に入る水なのです」と話します。

「私の子どもは3日前から具合が悪くて、保健センターに連れて行って薬をもらって飲ませましたが、下痢は止まりませんでした」とフェリアルさんは続けます。 「今日、ボランティアの人たちが来て、水を飲んだり使ったりする前に消毒する方法を説明してくれました。また、コレラに関する情報も教えてくれました」。

ウィサールさんは、ボランティアの人に教えてもらうまでコレラのことは知らなかったと語る。(シリア・ラッカ 2022年9月撮影)

© UNICEF/UN0710295/Souleiman
ウィサールさんは、ボランティアの人に教えてもらうまでコレラのことは知らなかったと語る。(シリア・ラッカ 2022年9月撮影)

 

ラッカの非公式居住区に住む4人の母親であるフェリアルさんは「時には川の水を汲んで飲むしかありません」と訴える。(シリア・ラッカ 2022年9月撮影)

© UNICEF/UN0710304/Souleiman
ラッカの非公式居住区に住む4人の母親であるフェリアルさんは「時には川の水を汲んで飲むしかありません」と訴える。(シリア・ラッカ 2022年9月撮影)

 

 

コレラの感染予防を伝えるボランティア

浄水剤の使い方を伝える、ボランティアのクディジャさん(シリア・ラッカ 2022年9月撮影)

© UNICEF/UN0710309/Delil Souleiman
浄水剤の使い方を伝える、ボランティアのクディジャさん(シリア・ラッカ 2022年9月撮影)

非常に多くの避難民の家族が、シリア北部の非公式居住区に住み続けています。特に過密な地区では、水へのアクセスが制限されるため、良好な衛生環境が確保されないと、病気の発生やまん延のリスクが高まります。

質が悪く飲むのに適さない水を使わざるを得ない場合、特に子どもたちの間で、水を媒介とする感染症が広がりやすくなります。  子どもたちが病気になり、免疫力が低下すると、栄養不良状態に陥りやすくなります。栄養不良の子どもたちは、重篤な病気にかかる危険性も高まります。この悪循環を断ち切らなければならないのです。

「コミュニティの中で最も弱い立場にある人々をサポートできることが、私がボランティアになった理由です」と、27歳のクディジャは言います。彼女は、ユニセフが支援する非公式居住区で活動するボランティアのひとりです。

「ボランティアとして、私たちはコレラのまん延を抑える手助けができます。私はコミュニティの中で積極的に役割を果たし、コミュニティをこの病気から守るためにできる限りのことをしたいと思っています」とクディジャは語ります。「人々が暮らすテントを一つずつ回ってみて、ほとんどの人がコレラに関する情報を持っていないことに気づきました。私は同僚と一緒に、正しい情報を伝え、予防策をアドバイスするために努力しています」。

予防への取り組み

シリア北東部のハサカ県とラッカ県で最初のコレラ患者が確認されて以来、ユニセフは、コレラ感染予防および啓発のための医療従事者向けの研修、水質検査器による塩素濃度の検査、家庭での水質浄化剤の利用を推進するため、地域ボランティアの人々を支援しています。

地域に根差して活動するこのボランティア組織は、各家庭への戸別訪問、地域のリーダーとの会合、保護者へのカウンセリング、子どもを対象としたレクリエーションなどの機会を通じて、2022年9月21日までに、ハサカ県とラッカ県の約2万5,000人に啓発活動をおこなうことができました。また、SNSや450カ所以上のモスクでも同様に、コレラ感染予防に関する啓発メッセージを発信しました。

子どもたちの安全を守るため、ユニセフは予防対策に関する取り組みを続けるとともに、病気のまん延に歯止めをかけ、その悪影響を抑えるために緊急対応の規模を拡大しています。感染を食い止め、命が失われることを防ぐためには、さらなる支援が必要です。

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