子どもの権利を基盤としたアプローチ
ユニセフは、子どもの権利の実現に向けて活動を行っています。その目的の達成と活動内容の立案、実施の過程において、子どもの基本的人権の原則を重視するアプローチをとっています。
子どもの基本的人権の原則
- 人種、民族、性、言語、宗教、政治的意見、出身、心身の障害などによって差別されない。
- 子どもの最善の利益が第一義的に考慮される。
- 子どもの生命、生存、発達の権利を保障するために、保健、栄養、水と衛生、教育などの基礎的な社会サービスが確保される。
- 子どもの意見には、子どもの年齢および成熟度に応じてそれにふさわしい考慮が払われる。
子どものライフ・サイクルに合わせたアプローチ
子どものライフ・サイクル(人生の過程)には、それぞれの時期に、配慮すべきこと、必要なことがあり、子どものライフ・サイクルに合わせて適切な総合的支援を行うことにより、大きな成果を生むことができます。
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乳幼児期—人生へのよいスタート
妊娠中の女性が健康に過ごし、安全な出産ができること、そして生まれた子どもが社会の一員として出生登録され、乳幼児期に十分な栄養や予防接種などの基礎保健サービスが保障され、保護者やコミュニティで保育ケアを受けることが、子どものその後の健やかな心身の成長と発達を実現するための鍵となります。ヒトの脳の発達は3歳になるまでにほぼ完了すると言われています。持って生まれた1000億個の脳細胞が相互のネットワークを発達させ、考え、話し、学び、判断する能力の基礎が築かれるのもこの時期です。
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学齢期—すべての子どもに基礎教育を
基礎学力や、健康・衛生についての知識、平和や人間の尊厳などの価値観を身につける教育によって、貧困にしばられた生活を改善する力をつけ、過酷な児童労働や商業的性的搾取、子どもの兵士として紛争に利用される危険などから守る力を子どもたちにつけることができます。また成人した後、責任ある市民として権利や義務を認識し、社会に参加していけるかどうかは、学齢期に質の高い基礎教育を受けられるかどうかにかかっています。
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思春期—若者の参加
若者は、早婚や早期の妊娠、HIV/エイズ、薬物中毒、暴力の危険など様々な社会問題に直面しやすい時期にありますが、適切な知識や生活技能を提供することによって、若者がそれらの問題を回避し、克服する能力を高めることができます。また、若者を動かす能力を最もよく備えているのは若者自身であることから、若者の参加の権利を実現し、若者によるプログラムを支援することによって、若者や子どもが直面する問題への取り組みを前進させることができます。