海外インターン体験記
氏名 | 古田 優太郎 |
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派遣先 | タジキスタン事務所(教育セクション) |
派遣期間 | 2023年8月〜2023年11月 |
2023年の9月から12月まで、タジキスタンカントリーオフィスの教育セクションにてインターンシップをさせていただきました。
中央アジアの南東に位置するタジキスタンは、1992年から1997年までの内戦の影響もあり旧ソ連諸国の中でも最も貧しい国の一つです。過去10年間の経済成長率は7.1%と急速に成長していますが、依然として出稼ぎ労働者の海外送金に依存しており、都市部と地方の経済格差も拡大しています。教育の面では、比較的高い就学率があるものの、低学年から始まる基礎学力の遅れ、88%の学校が修理や整備を要する学習環境の問題、教員の指導力の低さ、機能不全に陥っているアセスメントなど数多くの課題を抱えています。
インターン期間中には、素晴らしい上司とチームのメンバーに恵まれ、非常に充実した時間を過ごすことができました。様々な業務に関わる機会を頂きましたが、この体験記では主に二つの業務についてご報告させていただきます。
まず、デジタル教育に関するプロジェクトプロポーザルの作成です。チームのメンバーと共に、現状の分析から始まり様々な可能性を検討しコンセプトを固めていきながらプロポーザルの執筆に関わりました。私自身のタジキスタンのコンテキストへの理解が不足している中、国の状況を深く知っているローカルスタッフと綿密にコミュニケーションを取り力を借りることの重要性を痛感しました。さらに経験豊富な上司から、ドナーのビジョンや政府の戦略、UNICEFとしての強みをうまく取り込み論理的なストーリーラインに乗ったプロポーザルを書く重要性を教えていただきました。インターン中にこの業務に関われたことは、これからのキャリアから見ても非常に役に立つ経験になったと思います。さらに、一言でデジタル教育と言ってもconnectivityや教員のソフトスキル育成、コンテンツやプラットフォーム開発など多様な知識が必要であるということが分かりました。この分野を強みにしていくためにも、これからも自己研鑽を続けていこうと思います。
次に、Competency-Based Education(CBE)プログラムのサポートです。タジキスタンでは、教員の一方的な教え込みの指導から脱却するために、児童生徒のコンピテンシー(資質・能力)を重視する教育への舵取りを行なっています。このプロジェクトでは、CBEベースドなカリキュラムの作成、それに合わせた教科書の作成や教員の育成、アセスメントの開発を行なっています。多くのコンサルタントが関わっておりプロジェクトの内容が複雑である中、それらを可視化するためのモニタリングシステムの開発、報告書やプレゼンテーションの作成業務を行いました。プロジェクトの中で出来上がった教科書や教材を実際に手にした際は、支援がこうして形として国の子供達や先生に渡っていくのだと考えるとUNICEFのインパクトの大きさを感じました。さらにUNICEFは、CBEの改革を国全体で進めていくためのフレームワークやロードマップのドキュメントの作成も行なっています。インターン中にそこまで貢献することはできませんでしたが、一つの国の教育改革の大きな指標となるものを作っていくという影響力の大きさを体感しました。
今回、このインターンの機会を与えてくださった日本ユニセフ協会様には心から感謝しています。赴任国選びの段階からインターンの終了まで、常に寄り添ってサポートしてくださり、本当にありがとうございました。また、UNICEFタジキスタン事務所の方々にも大変お世話になりました。特にスーパーバイザーをしてくださった上司には、これからのキャリアで自分の基盤となるような学びをたくさん頂きました。今回のこのインターンで学んだことを活かし、自己研鑽を絶やさず精進していこうと思います。本当にありがとうございました。
同僚がドナーや政府との会合でプロジェクトの進捗を説明する様子
現地のPCルームは整備されておらず使用できない状態になっていた。デジタル教育の拡大にはまだまだ課題が山積み
お世話になった素晴らしいチームメンバーと
プロポーザルの作成時の白熱した議論
写真:©日本ユニセフ協会