日本ユニセフ協会 事業計画
現況について
- 一昨年のウクライナ、本年2月のトルコ・シリア大地震などの緊急募金によりここ2年間の募金総額は大きく押し上げられる結果となったが、そのような中でも通常募金(RR)を着実に増やし、本年度は200億円を超す見通しとなっている。
- ユニセフ全体として子どもの権利実現の使命に最も重要なRR収入の減少傾向が継続し総収入に占める割合も低下、昨年は過去最低の14%となった。2021年度首位、2022年度は米国政府に僅差で2位のRR拠出額となった当協会に対する期待は非常に高い。
- 一方国内では、加速度的に進む高齢化と、物価高と実質賃金の低下傾向により、消費マインドは更に厳しくなると考えられ、個々人の関心に応えられるスマホ中心のデジタル・チャネルを通じた募金獲得とドナー定着策の強化が求められている。
- また、発生後の素早い要請に呼応して下さった多くの企業、団体による緊急支援への協力を、継続的なパートナーシップへ進化させていく取組みも一層の強化が求められている。
- また、当方の様々な働きかけの中、4月に実現した「こども基本法」施行と「こども家庭庁」設立を承けて国政の様々な局面で「子どもの権利」や「子どもの権利条約」が謳われる頻度が大きく増えてきている。また、2016年に5つの自治体で開始した「日本型ユニセフ子どもにやさしいまちづくり」プロジェクトへの新規参加や、2018年からのSDGs副教材の全国配布とウェブサイト「SDGs Club」利用の急拡大、そして昨年からの「子どもの権利を大切にする教育」(CRE)と、学校現場及び文科省との連携を今後更に強化する必要がある。
2024年度事業計画
1. 事業の方向性
- 通常募金の着実な拡大に向け、マンスリーサポートプログラム、遺贈等の個人募金、及び企業協力の拡大に注力し、募金収入260億円、拠出額213億円余を目指す。
- アドボカシー・啓発活動を協会のブランドに直結する事業と位置づけ、取組みを継続・強化する。そのためにも、協定地域組織を含め一層の活性化を推進する。
<募金活動>
- 個人向けユニセフ募金活動の強化
主軸であるマンスリー募金、ワンタイム募金及び遺贈関連収入の強化を図る。特にデジタルによる新規獲得とリテンション施策の一層の強化をきめ細かく実行する。 - 企業・団体募金の強化、コアビジネスを通じたユニセフとのパートナーシップ強化
これまで生協及び資生堂、LIXIL、イオングループ、武田薬品、ソニーといった優良企業・団体との複数年協力を実現してきたが、今後も新規開拓を含めて大型パートナーシップの構築を推進する。 - 学校募金事業の取組み強化
出前授業、セミナー、SDGs学習などを推進、成果を挙げており、本年度の学校募金見通し2億円強につながった。今後も、地域組織の協力も得つつ教育委員会、学校現場との関係強化により、将来的なユニセフ支援人材育成を推進する。
<アドボカシー・啓発活動>
- 国策レベル:こども基本法とこども家庭庁設置を梃子として、子どもの権利条約の精神と趣旨を最大限反映させるよう取り組みを継続する。また、子どもに対する暴力撲滅の取組みを省庁・企業・各種団体と共に推進する。子どもに対する虐待防止や、子ども若者の意見表明権実現へ向けた取り組みを推進する。
- 自治体レベル:地域組織の協力も得て「子どもにやさしいまちづくり事業」の展開を図る。
- 子ども直結:協会創立当初から育んできた「学校募金委員会」を軸とした学校や関係省庁との連携を通じ、SDGs学習に加えて子どもの権利教育(CRE)の普及を図る。また、unicef Campusなど大学生との相互協力関係の強化に取り組む。
<コミュニケーション活動>
- 本部表彰とキッズデザイン賞奨励賞を受けた1-2階の展示への認知を広め、子どもの権利への理解を更に深めると同時に、世界的な連携強化への意識浸透を図る。
- スマホ、SNSを含むインターネットを通じた情報発信力の継続的な強化を図る。また、より個人の関心に沿ったコミュニケーションの実現へ向けた検討を開始する。
- 協会事業の積極的なディスクロージャーを推進する。
- 本部刊行物日本語版及び国内刊行物の発行と情報発信を継続して行う。
<国際協力人材の育成と開発教育の推進>
- ユニセフ現地事務所へのインターン研修派遣(大学院生、同修了生対象)
- ユニセフ国際協力講座(高校生~大学院生対象)
- 日本ユニセフ協会のインターン受け入れ(一部の大学の単位認定あり)
以上