日本ユニセフ協会 事業計画
現況について
<募金活動>
- ウクライナ戦争、トルコ・シリア大地震等による緊急募金の著増を反映し、協会の募金総額は昨年までの2年間に大きく伸びたが、本年の緊急募金は2021年並みに戻った。一方でユニセフにとって最も重要な通常募金収入はこの間も着実に伸ばすことができている。
- ユニセフ全体の収入は昨年までに90億ドルレベルに達し、近年顕著になっている気候変動に伴う大規模自然災害の頻発にも対応が迫られている。しかしながら「すべての子ども」の権利実現を使命とするユニセフにとって最も重要な通常資金 (RR)の収入比率は14~16%台の低さのまま推移しており、これがユニセフ事業全体に対する制約ともなりつつある。米国政府と共に1億ドル超のRR拠出を続けている当協会に対する期待はこれまで以上に高まっている状況にある。
- 一方、国内では少子高齢化と物価高/実質賃金の低下、更に能登半島など重大な自然災害により、消費マインドは益々厳しくなっており、一人一人の関心に応えられるデジタル・チャネルの開発を梃子とした募金獲得とドナー定着策の導入が喫緊の課題となっている。
- また、発生後の素早い要請に呼応して下さった多くの企業、団体による緊急支援への協力を、継続的なパートナーシップへ進化させていく取組みも求められている。
<アドボカシー・啓発活動>
- 「こども基本法」や「こども家庭庁」、「子どもにやさしい街づくり」(CFCI)、学校での「子ども権利教育」(CRE)、さらに、9月にこども家庭庁との共催、NHK協力で始まった「こどものけんりプロジェクト」など、アドボカシー面での努力と成果が関連省庁やメディアに止まらず、本部からも先進国における事業活動(Programme in High Income Countries, PinHICs) として高い評価を得、ユニセフ及び当協会の子どもの権利のために働く組織としての知名度向上に貢献している。子どもにやさしいまちづくり(CFCI)も豊田市などの新規参加で、拡大中である。
2025年度事業計画
【事業の方向性】
- 通常募金の着実な拡大に向け、マンスリーサポートプログラム、遺贈等の個人募金、及び企業協力の拡大に注力し、募金収入277億円、拠出額227億円余を目指す。
- 協会のブランド力に直結する事業でもあるアドボカシー・啓発活動の取組みを継続・強化する。そのためにも、協定地域組織を含め一層の活性化を推進する。
<募金活動>
- 個人向けユニセフ募金活動の強化
主軸であるマンスリー募金、ワンタイム募金及び遺贈関連収入の強化を図る。特にデジタルを活用したマンスリーの新規獲得と、リテンション施策の一層の強化による生涯募金額の最大化を図る。また、本年15億円の大型遺贈もあり68億円に上る規模となった遺贈プログラムの更なる拡大と定着を図る。 - 企業・団体募金の強化、コアビジネスを通じたユニセフとのパートナーシップ強化
これまで生協及び資生堂、LIXIL、イオングループ、武田薬品、ソニーといった優良企業・団体との複数年協力を実現してきたが、今後も新規開拓を含めて大型パートナーシップの構築を推進する。 - 学校募金事業の取組み強化
出前授業、セミナー、SDGs学習、CREなどを推進、成果を挙げており、25年度2億円の募金収入を目指す。文科省との関係強化と、教育委員会、教育現場を通じて、将来的なユニセフ支援人材である児童・生徒へのアプローチ強化を図る。
<アドボカシー・啓発活動>
- 子ども基本法の制定と子ども家庭庁の設置を梃子として、子どもの権利条約の精神と趣旨が国の施策に最大限反映されるように取り組みを継続する。同時に、子どもの権利条約に関する理解が学校や社会全体で深まるよう啓発・普及活動を強化する。また、子どもに対する暴力撲滅を各省庁・企業・団体とともに推進する。子どもに対する虐待防止や、子ども若者の意見表明権充実の取り組みを推進する。
- 自治体レベル:地域組織の協力も得て「子どもにやさしいまちづくり事業」の展開を図る。
- 子ども直結:協会創立当初から育んできた「学校募金委員会」を軸とした各校長会や関係省庁との連携を通じ、SDGs学習と子どもの権利教育(CRE)の一層の普及を図る。また、unicef Campusなど大学生との相互協力関係の強化に取り組む。
<コミュニケーション活動>
- 2025年は協会設立70周年に当たることから、「こどものけんりプロジェクト」の一層の進展を目的に、記念事業を企画・実施する。
- 1-2階の展示への認知を広め、子どもの権利への理解を更に深めると同時に、世界的な連携強化への意識浸透を図る。
- ネットを通じた情報発信力の継続的な強化を図る。
- 協会事業の積極的なディスクロージャーを推進する。
- 本部刊行物日本語版及び国内刊行物の発行と情報発信を継続して行う。
<国際協力人材の育成と開発教育の推進>
- ユニセフ現地事務所へのインターン研修派遣(大学院生、同修了生対象)
- ユニセフ国際協力講座(高校生~大学院生対象)
- 日本ユニセフ協会のインターン受け入れ(一部の大学の単位認定あり)
以上