被害状況:死者の67%が子ども
2004年7月から8月中旬にかけて、バングラデシュは98年以来最悪の洪水被害に見舞われました。64ある行政区のうち39地区が被害を受け、政府の最近の調べでは、被災者は3500万人を超えていると見られています。
230もの河川が交差するこの国では、毎年モンスーンの季節になると洪水が発生します。しかし今年の洪水は例外的な被害を人々の生活にもたらしました。8月19日時点で確認されている死者の数は836人、そのうち567人(およそ67%)が子どもでした。5000の仮設シェルターに対し、避難先を求める人は170万人。何らかの被害を受けた学校は2300以上、1166校が全壊し、学校にいけなくなった子どもは400万人にのぼっています
7月末以来、水は徐々に引いてきています。しかし、これは決して状況の改善を意味するものではありません。9月には、モンスーンによる更なる雨が、11月にはサイクロンが再びバングラデシュを襲うことが予想されています。多くの家庭では、食料の蓄えをなくしただけでなく、次の収穫期に向けた耕作を始めることも出来ず、長期間にわたって厳しい状況が続くことは明らかです。
ユニセフは、栄養不良や下痢・肺炎などの病気の発生によって、被災者の中でも特に子ども、妊産婦、貧困層の人々が非常に危険な状況に陥ることを懸念しています。水が引いていくと共にバングラデシュへの関心が薄れてしまっても、こうした被災者たちの苦しみは続きます。バングラデシュの人々が忘れられることなく、支援を受け続けられるよう、ユニセフは協力を訴えています。
これまでのユニセフの活動
ユニセフは、バングラデシュ政府と共に各地での被災状況の調査やNGO等との連絡調整をするほか、次のような緊急支援を行いました。
- 下痢などによる疾患を防ぐための浄水剤1000万個を配布
- 保健施設や医療センターへ点滴製剤バッグ140,000を配布、さらに35,000バッグを調達中
- 経口補水塩200万袋を医療センターや仮設シェルターなどへ提供、さらに300万袋を調達中
- シェルター内ではしか予防接種キャンペーンを実施するためのはしかワクチン8,800瓶、注射器、廃棄用安全ボックスを調達
- シェルターに避難している6ヵ月から2歳までの子どもに対し栄養補助食100トンを支給
- 10リットル入りの缶10,000個を1600のシェルターに配布
- 500リットル入りの貯水タンク40個をシェルターに配布
- 既存の井戸6,000基を洪水の水位より引き上げるための資機材を提供
- 手動ポンプ8,000基修復のための資機材を提供
- 7,000基の掘り抜き井戸の殺菌のためのさらし粉10トンを配布
- 手動ポンプ200基の新設
- もっとも被害の大きかった2地区のシェルターにおいて、子どもたちへの教育、レクリエーション活動を実施
今後の主な活動予定:
被災した人々の生活の再建と今後さらなる洪水が起こった際の被害を最小限に抑えるために、引き続き緊急の支援を行います。主な活動は以下のとおりです。
- 乳幼児や妊産婦への栄養補助食やビタミンAの配布など栄養状態の改善
- 特に伝染性疾患、下痢、赤痢、呼吸器系疾患等の治療のための医薬品や基本的な保健サービスの提供
- 定期予防接種システムの構築による病気の予防
- 女性に対するリプロダクティブ・ヘルスケアの強化
- 掘り抜き井戸とその他給水システムの修復
- トイレの修復と新設
- 学校の機能回復と子どものための環境づくりのための基本資材の調達
- 子どもと女性の虐待、暴力、社会的疎外からの保護と社会心理的ケア、生活支援
必要な活動資金:
分野 | 必要資金 (US$) | 現在の支援額 | 支援額の割合 |
保健・栄養 | 6,109,600 | 585,582 | 10% |
水と衛生 | 34,359,170 | 4,212,455 | 12% |
教育 | 11,200,000 | 270,000 | 2% |
保護 | 130,000 | 0 | 0% |
合計 | 51,837,970* | 5,068,037 | 10% |
*ユニセフの必要資金が第1報でお知らせした額と異なるのは、現地の状況の変化に応じて支援プログラムが一部変更されたことによります。 |
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