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財団法人日本ユニセフ協会




2004年9月28日

ユニセフ緊急支援情報
バングラデシュ洪水緊急募金 第3報

〜スラム街の人々の状況 (9月19日)〜

image1  先週、バングラデシュの首都ダッカは、首都機能を停止させるような4日間にわたる豪雨に見舞われました。路上は、立ち往生する車と膝まで汚い水に浸かりながら横切る人々で溢れ返りました。でも、これも2ヶ月前にこの国を襲った洪水には比べものになりません。

 7月、バングラデシュは、3,500万人以上が被災するという、過去6年間で最悪の洪水を経験しました。この国の洪水は毎年のことですが、今年の洪水が人々の生活に与えた影響は、例外的な規模でした。数百件の家屋や校舎がダメージを受け、295,000基の掘り抜き井戸が浸水し、汚水が原因で病気になった人は数百人にのぼりました。
 水が引いても、危機的状況は続いています。50,000人が暮らすスラム街では、ただでさえ非常に苦しい生活が洪水によって厳しさを増しています。子どもたちは泥の中を走り回り、裸同然の子どももいます。空気は湿気を帯び、路上に溜まったゴミからかび臭いにおいが漂っています。水溜りや汚い泥が、スラム街の小屋を囲んでいます。

 「洪水で家が壊れ、私たちのような貧しいものたちはとても困っています」とスラム街に暮らすミナラは言います。

 ミナラは、家から遠い地域でメイドとして働いています。洪水の間は、腰まで水に浸かりながら、1時間以上かけて仕事に行きました。それでも彼女の収入は、月々5ドルに過ぎません。ミナラには、3人の娘と2人の息子がいて、みな学校に通っていました。しかしこの洪水で地域の学校は閉鎖されるか避難所になりました。洪水で押し流された学校は74校、およそ16,000校がなんらかダメージを受け、国中でおよそ400万人の子どもたちが学校に行けなくなりました。

 洪水の影響が幼い子どもたちに与えた影響はすぐに現れました。スラム街の子どもたちの中には、肺炎や高熱に倒れる子どもが出てきました。安全な水がないことから、多くの子どもが下痢で病院に運ばれました。
 ミナラが暮らすスラム街でおこったことは、都市の貧困層の境遇のほんの一例でしかありません。残念ながら、同じようなことが、バングラデシュの多くの貧しい人々の上におきています。水が引いていくに連れてバングラデシュへの関心が薄れていっても、スラムの人々は生きるために闘い続けているのです。

 ユニセフの職員は、新しい掘り抜き井戸を設置することで安全な飲み水を確保したり、汚染された水源を浄化するために奔走しています。シェルターやクリニックへの緊急医薬品の提供も行い、また学校の修復や学習用品の支援も行っていきます。

 ユニセフは、今後数週間のうちに、およそ130万人の子どもが栄養不良の危険に直面するであろうと危惧しています。衛生施設の不備、食料不足、汚水が原因の病気、収入源の損失など様々な要因が組み合わさり、子どもの栄養不良率を上昇させています。このような状況を受け、ユニセフは栄養補助食の提供を行っています。また妊婦や授乳中の母親の貧血を防ぐために鉄分補給剤を調達したり、10月末に実施する全国ビタミンA補給キャンペーンの支援をおこないます。

 8月にユニセフは約51億米ドルの緊急支援を呼びかけましたが、現在集まったのはそのおよそ20%のみです。

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募金のお願い

 (財)日本ユニセフ協会は、バングラデシュの洪水で被災した人々へのユニセフの緊急人道援助を支援するための緊急募金の受付けを開始しました。
皆さまの温かなご支援をよろしくお願い申し上げます。