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ハイチ地震復興支援募金 第79報
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© UNICEF/NYHQ2011-2056/Dormino |
山岳地帯ペチャルで壊れた黒板の前に立つ女の子。ユニセフが支援しているコレラや下痢性疾患などを予防するための公衆衛生の勉強に参加した。 |
ハイチ政府が、養護施設に保護されている子どもたちのための法的な枠組みを強化したことは、子どもの保護の分野での大きな成果の一つです。震災前、養護施設に暮らしている子どもたちについては、その居所どころか人数すら把握されていませんでした。ユニセフは、国による養護施設の管理・支援体制の確立を支援。現在までに、全国650箇所の半数以上の養護施設の住環境、人員体制などの査定が完了。養護施設で暮らしていると推定される子ども約5万人のうち、1万3,400人以上の所在が確認され、登録が完了しました。
また、ハイチ政府は、養子縁組に関する基準を設け、子どもや、生みの親、養父母の権利を守るために「ハーグ国際養子縁組条約」にも署名しました。
「こうした“小さな成功”は、この国のいたるところで見つけることができます。しかし、この国の基本的な統治体制の中には、依然として、大きな格差と不備が存在しているのです。」「ですから、(そうした“小さな成功”から)誤解してはいけません。ハイチは、今も、深刻な貧困と開発の遅れに苦しんでいます。こうした脆弱さゆえには、この国の子どもたちは、未だに、災害などの“ショック”に対して非常に弱い立場に立たされているのです。」 ユニセフ・ハイチ事務所のフランソワーズ・グルロース-アッカーマン代表はこう話します。
© UNICEF/NYHQ2011-2059/Dormino |
ポルトープランスの近隣で、経口ポリオワクチンを投与される子ども。 |
この国の18歳未満の人口にあたる約431万6,000の人々の大部分は、本来持っているはずの生存や発達、また保護される機会が、いまだに限られた形でしか得られない状況に置かれています。2012年、待望の新政府と新たな国家予算がスタートしましたが、子どもたちは、インフラや施設、そして社会システムのあちこちに未だに震災の傷跡が残るハイチで、様々な困難にさらされています。800箇所以上の避難所での生活を未だに強いられている人々が、50万人にも上ります。震災前、人口の約77パーセントは借家住まいだったため、この(避難者の)ほとんどには、現在“帰る家”がありません。また、震災後発生したコレラの大流行は、地震で甚大な被害を受けていたインフラや社会サービスに、さらなる負担を掛けました。
「ハイチには、この国が今なお直面している困難を乗り越えるための強固な支援が必要です。」「大地震は、過去に類を見ないほどの大きな数の犠牲者と被害をもたらしましたが、これまでに支援のために寄せられた資金の規模も、他にあまり類を見ないほど大きなものでした。」「ですから、ハイチの今の状況は、震災前数十年にわたってこの国を苦しめてきた社会崩壊と失政の歴史に逆戻りさせないために、“千載一遇”のチャンスでもあるのです。」(グルロース-アッカーマン代表)
© UNICEF/NYHQ2011-2080/Marco Dormino |
早期幼児開発キットで遊ぶ女の子。 |
ユニセフは、この1年間、復興支援の一環として、様々な形態の子どもの権利の具体化を阻んでいた短期的、そして長期的問題に対処するべく、緊急支援活動に加え、社会制度の再構築のための(行政部門などの)人員の能力強化支援や政策提言(アドボカシー)活動を実施してきました。しかしながら、こうした活動のために必要な資金と国際社会から寄せられた支援額との間には、いまだに大きな開きがあります。保健、栄養、水と衛生、教育、子どもの保護の5つの主要支援活動を通じ最も弱い立場の子どもたちを支援するため、2012年に緊急に必要な資金として、ユニセフは、2,400万米ドルの資金を求めています。
ユニセフは、子どもの安全を確保し、健康を維持し、学習の機会を提供し続けることは、親や教員のみならず、官民それぞれの立場にある多くの方々や宗教団体、新政府関係者はじめこの国の全ての人々が共有する目標であると考えています。また、ユニセフは、幅広いパートナー団体と共に、新たなアプローチを考え、課題の解決に取り組み、ハイチの子どもたちのために持続可能な未来を導くべく活動しています。