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ハイチ地震復興支援募金 第81報
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© 2012/Dormino |
ハイチの小学校の校庭で、新しい発想で作られた巨大なブロック製の遊具で遊ぶ子どもたち。ユニセフは、地元NGO「ティパティパ」と共に、都市部と農村部の10校の校庭にこの遊具を提供した。 |
2年前、ニューヨーク市に青い大きなブロックの遊具が現れた時、近隣に住む子どもたちは、このいつもと違う遊び場に驚き、駆け寄ってきました。子どもたちは、重量が軽くて動かすのも簡単なこのブロックを、すぐにさまざまな形に組み立てはじめ、自分たちだけの全く新しい遊び場を創っていました。
ニューヨークのコロンビア大学の子どもの発達に関する専門家のカシー・ランダーズさんが、この遊具を初めて見た時、この遊具は、教育や遊ぶ機会が限られ、資金が乏しい紛争終結地域や危機の中に置かれている子どもたちの成長に、完璧なものだと思ったと話します。
それから2年。ユニセフは、バングラデシュとハイチで、この遊具を試験的に取り入れています。
ランダーズさんと、ハイチでこのプロジェクトを実施しているティパ・ティパプログラムの地域担当部長のエベリン・モルグロンさんが、ユニセフのポッドキャストインタビューに答えてくれました。
ポッドキャスト(英語)はこちら AUDIO: Listen now ≫
ランダーズさんは、困難な状況に置かれている子どもたちにとって、このブロックを使った遊び場が、どんな点で優れているのかを次のように説明します。「移動させることが可能で、大きくて、青くて、子どもたちの想像力を刺激するものです。こうした刺激を受けて、子どもたちは自信を取り戻し、地域社会の再建の一助にもなっているのです」
ハイチでは、最も厳しい立場にある人々に支援を行うために学校と共に活動している地元NGO「ティパ・ティパ」を通じて、都市と農村部の学校10校の校庭に、この遊具が提供されました。
「ユニセフ・ハイチ事務所のスタッフとお話しして、ユニセフのとても価値のある観点を伺うことができました。ユニセフは、子どもたちには、長期間にわたってキャンプに滞在し、テントでの暮らしを続けてほしくないと考えているということです。ですから、私たちは、学校という環境の中に、こうした遊び場が設置できるように、各方面に働きかけました」(ランダーズさん)
マルグロンさんは、子どもたちが初めて校庭を見た時の反応を、次のように話しました。「子どもたちは、ただただとっても気に入った様子でした。最初は、心を奪われたように、ブロックを見ていました。それから、ブロックを動かしたり、はずしたり、友達と一緒になって遊びはじめました。子どもたちの興味や関心、子どもたち同士が交流する様子を目の当たりにして、とても驚いています」
また、マルグロンさんは、子どもたちが、この遊び場で、より多くの言葉を話すようになったり、リズムを取ったり、また幾何学的な能力も発達させていると指摘。子どもたちは、子どもたち同士で遊んだり、自分より年下の子どもたちの能力に合わせて遊ぶことで、重要な社会的な能力を発達させているのです。
マルグロンさんは、このプロジェクトの極めて重大な要素のひとつとして、“遊びを通した学び”を強調します。ある文化の中では、学びと遊びは、しばしば正反対のものとして考えられています。
「人々は、学校で楽しく過ごすのを良いこととして理解しはじめています。学校は、とても厳格で、楽しさと学びは分けて考えられる傾向がありますから。しかし、楽しいと、もっと学べるということに、気がついている先生もいると思います。これは、研修で悩むことなんです。学校に通うことが楽しいことであるのは重要です。今行っていることやこれから学ぼうとしていることを楽しんでいるのですから」