財団法人日本ユニセフ協会




【新着情報:2004-6-14】


イラン南東部地震(第9報)

ユニセフ緊急支援最新情報

イラン地震近況—状況は改善に

image1  昨年12月の大地震によって被災したバムの状況は改善に向かっています。人々はプレハブの仮設住宅に入り、強い日差しを避けることができるようになりました。緊急支援物資の配布は終了し、日々の生活に必要な物や食べ物は、通常どおり商店で購入することができます。しかし、給水施設の再建はまだ平常に戻っておらず早急な対応を求められています。また保健分野でも、状況は改善されたものの医療スタッフの数はまだ不足しています。

 バムの街の再建にあたって、ユニセフは「子どもに優しい」町づくりのコンセプトを紹介しました。政府やバムの地域コミュニティを対象にケルマンで行ったワークショップにはバムの人々も参加し、このコンセプトへの関心が高まりました。現在、子どもに優しい学校や幼稚園、環境作りを含めた社会開発についてのワークショップを地域レベルで開催しています。

ユニセフの活動と成果

教育
 より多くの子どもたち、教師たちが学校に戻ってきました。バムでは、20,000人以上の生徒が学校に通えるようになりました。まだ4,000人の子どもたちが学校に戻れていないものの、バムを離れ避難先で学校に通い始めた子どもたちは3,500人にのぼっています。 ユニセフは、教育省のために教育調査データベースを準備しました。そのデータベースには、バムの各学校の施設の状況や格差などの情報を蓄積していく予定です。データ収集法の研修を受けたボランティアが、情報収集にあたります。ボランティアはこの地域のすべての学校から情報を集め、データベースに反映していきますが、これによりどんな支援が必要か、どうやって格差を埋めるかといった需要な情報を得ることができるようになります。

 また、教師に対する学校カウンセリングの訓練を実施し、合計1210名の教師が、災害でショックを受けた子どもたちへの学校でのカウンセリングや日々の生活の支援について学びました。

 ユニセフはまた、高校最終学年の女子275人、男子125人に対する大学入試のための50日間の準備コースを支援しています。地震の被害によって授業が中断したり心に傷を負ったことで生徒たちを試験に合格するレベルまで学力を上げ、留年することがないようにするためには、特別な準備が必要なのです。

子どもの保護
image2  ユニセフは、子どもの保護の分野において、イラン厚生省や州の福祉組織と協同で2005年までの長期行動計画を策定しました。現在ユニセフの支援によって設置された乳幼児ケアセンターが32ありますが、そこには資材が継続的に提供され、子どもたちが遊べる場になっています。乳幼児ケアセンターの教師たちには、定期的に子どもの心理ケアに関する訓練を行っています。

 心理ケアの分野では、ユニセフは、各テントを回って心理サポートのニーズ調査を行うなど厚生省を支援しています。心理ケアが必要と判断された人は、8〜10人のグループになって専門家と共にミーティングに参加します。このグループミーティングは、人々が直面しているストレスやトラウマに打ち勝つための支援をするもので、子どもと大人それぞれに行います。
 さらに、厚生省はカルマン州のラジオやテレビ局、バムのラジオ局を通じて、ストレスやトラウマに関連するテーマの番組を流しています。これまでに、ラジオでは55時間、テレビでは12時間放送しました。厚生省はまた、親を対象に子どもたちが直面している心の傷とどう向き合うか、子どもの心の傷をどう見つけるかといった講習を開いています。隔週で開かれるこの講習には、毎回20〜50人の親が参加しています。

水と衛生
 ユニセフは、衛生システムがより機能するよう、避難キャンプや学校での水やトイレのニーズ調査を引き続き行っています。ユニセフはまた、避難所以外の地域で暮らす家庭の衛生環境を強化するため、600の家庭用トイレを設置する支援を始めました。また、町のごみ収集システムがまだ正常に機能していないため、ごみ袋の支給も行っています。

保健と栄養
 ユニセフはボランティアを対象に基本的な保健知識に関する研修をおこない、バムの保健スタッフの不足を補強する人員の要請を行っています。