■ユニセフ現地スタッフ紹介
<錦織信幸> こんにちは。ユニセフミャンマー事務所で保健・栄養担当のプログラムオフィサーをしております錦織信幸と申します。
私は医学部の学生だった頃から海外での医療活動に興味があり、ベトナムなど東南アジアの国々を旅行したりしていました。卒業後は内科医として4年間地域病院で働いて、その後スリランカの紛争地にある病院で避難民の方々の治療に従事しました。 2005年からここユニセフミャンマーで働いています。
<岡村恭子> みなさん初めまして!エチオピア事務所で栄養専門官をしている岡村恭子です。私はもともと政治・開発学を勉強していましたが、母子の栄養と貧困問題に関心をもち、アメリカで公衆衛生・栄養を学んでユニセフに入りました。最初の任地はネパール。3年間、コミュニティと地方の保健所や役所をたくさん訪れて、家庭やコミュニティから始める母子の栄養改善の事業に取り組みました。3ヶ月前にエチオピアに赴任しました。
■栄養不良のかたち/ミャンマーとエチオピアの栄養不良
(質問・rsaekiさん )
展示ボランティアのrsaekiです。どうぞよろしく!開発途上国に目を向けると5歳未満の子どもの3人にに1人は栄養不良といわれています。エチオピアの岡村さん、ミャンマーの錦織さん、現地での子どもの栄養事情はいかがでしょうか。
<錦織信幸>
ミャンマーは人口5000万人の比較的大きな国で天然資源なども豊富なのですが、近隣の東南アジアの国々と比べると発展がやや遅れてしまっています。子どもの死亡率もまだまだ高く、およそ100人のうち10人の子どもが5歳になる前に死んでしまいます。主な死因は下痢、肺炎、マラリアなどですが、その根底に栄養不良の問題が大きいことはご存知のとおりです。
ユニセフでは一人でも多くの子どもが健康に発育できるよう、予防接種、栄養不良への対策、お母さんと子ども達の保健活動、マラリア対策、エイズの母子感染予防などの分野で支援を行っています。私はこの中でとくに栄養不良対策とマラリア対策の2分野で活動しています。
ミャンマーの5才未満の子どもの約1/3が慢性の栄養不良、約8%が急性の栄養不良の状態にあります。ビタミンA欠乏、貧血(鉄欠乏と寄生虫対策)、ヨード欠乏などに対して様々な活動が実施されています。
<岡村恭子>
エチオピアでも子どもの2人に1人が栄養不良ですが、そのほとんどが急性の栄養失調(テレビで見る骨と皮のようになってしまう状態)ではなく、見えないところで少しずつ成長不良という形で進んでいくので、親も自分の子どもが栄養不良だということを知りません。微量栄養素欠乏症(ビタミンA、貧血、ヨード欠乏症、亜鉛欠乏症等)も多くの場合、目に見えないところで既に子どもの成長や発育を妨げています。
子どもの栄養不良の原因は、食料不足も一つの原因ですが、それ以上に、親が畑仕事に忙しくて1日2回しかご飯をあげていない、離乳食が十分な栄養を含んでいない、下痢症や感染症、寄生虫によってせっかく摂った栄養を消耗している、といった原因があげられます。まず家を綺麗にして手を洗い、一日に5回ちゃんと時間をかけて、しっかりしたご飯を食べさせ、病気になったらすぐに保健所で治療を受ける、といった日常の基本的なことを実行するだけでも、多くの栄養不良を未然に防ぐことができます。
栄養不良の原因の一部としては、灌漑施設がないので農作物の収穫量が少ないこと、貧困によって十分な主食やお肉を買えないこと等があります。ただし!食料と栄養不良は密接に関係していますが、一方で、エチオピアの農村部では、食料が十分ある家族にも、栄養不良の子ども達がたくさんいることが、いろいろな分析からわかってきています。何故でしょうか?