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HOME > 特集:栄養不良 > 【連載特集】世界の栄養不良、魔法の栄養治療食“プランピー・ナッツ” 第五回
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財団法人日本ユニセフ協会

栄養不良になるってどういうこと?

連載 第5回 魔法の栄養治療食”プランピー・ナッツ”

第5回_01 / 02

■プランピー・ナッツってなあに?

日本

(質問・rsaekiさん)
「プランピー・ナッツ」の工場がアジス・アベバ(エチオピアの首都)に設立されたそうですが、 「プランピー・ナッツ」とは、どのような栄養治療食でエチオピアの子どもたちにどのような形で 配布されているのでしょうか。

エチオピア

<岡村恭子>

プランピー・ナッツ
© UNICEF NIGER

「プランピー・ナッツ」の自国生産は、まさにエチオピアではじまっています!「プランピーナッツ」というのは、ピーナッツバターのような味の栄養治療食です。

急性で重度の栄養失調になってしまった子どもはとても危険な状態なので、入院して少しずつ治療をしなければいけません。しかし家族が貧しいと、お母さんが付き添いのための費用(食事代等)を払えない、家を空けてしまうとほかの子どもたちの面倒を見る人がいない、畑仕事が遅れてしまうなど、いろんな理由で、子どもの入院を拒否するお母さんがとても多いです。それで子どもが死んでしまうのはやはり放っておけないので、一日3パック必ず食べさせて、一週間経ったらまた外来に診療に来てくださいというような指示を出し、家に持ち帰ってもらうように作られたのが「プランピー・ナッツ」です。

だいたい1パック500キロカロリーで、治療の際に必要な微量栄養素も添加されています。かどを切ってそのままチューチュー吸えばいいので(写真参照)、衛生的にも安心です。 粉ミルクをわたすと、汚れた水で溶いてしまって下痢の原因になることがしばしばあります。 

最近ではクリントン元米大統領の運営している財団が、子どものエイズの問題に関心をもっていて、エイズに感染している子どもに「プランピー・ナッツ」を配ろうというような話し合いも行われています。

日本

(質問・畑生理沙さん )
下の写真の男の子は重度の栄養不良を発症しているのでしょうか。一見、もっと元気そうにみえてしまいます。栄養不良の子どもたちは実際にはどんな様子なのですか?

エチオピア

<岡村恭子>

プランピー・ナッツを持つ男の子

本当に重度の急性栄養失調の子どもは、この写真の男の子のように自分で「プランピー・ナッツ」を持ってしっかり食べられないことが多いので、畑生さんのおっしゃるとおり、この子は退院前の回復しつつある子どもだと思います。この間保健所で出会った子どもは全く食欲がなかったので、親が一生懸命、本当に少しずつ少しずつ「プランピー・ナッツ」を口に押し込まなければなりませんでした。 正確にいうと、栄養不良にはいくつかの主な形があって、

1)少しずつ成長が妨げられる慢性のもの(成長不良)
2)急激に体重が減ってしまって見た目にも明らかな急性のもの(消耗症)
3)その中間で、年齢に見合った体重基準を満たしていない状態(栄養不良)

「クワシオコワ」という症状を患っている女の子
© UNICEF/HQ05-2163/Giacomo Pirozzi
「クワシオコワ」という症状を患っている女の子。 筋肉はおちるが、足(特に足首や足の甲、または顔や他の体の部位)がむくむのが特徴。

「プランピー・ナッツ」は急性の消耗症、特に緊急の治療を必要とする重度の消耗症のためのものなので、実際に「プランピー・ナッツ」を必要とする状態にあるのは、5歳未満の子どもの約2〜3%です。急性の消耗症でも骨と皮のようにしわしわになってしまう場合と、むくみがでる場合があります。 

右の写真の女の子は見た目には元気で、すぐさま治療を必要とする病気の状態でもないので、本当にわかりにくいです。

すでにそういう状態にある子どもがちょっと病気をしたり親が面倒を見られなくなったりした時、重度、または急性の栄養不良に陥ってしまうことが多いので、それを防ぐべく、紹介文に書いたような村での体重測定によって問題を認識してもらうようにしています。

今すぐできること

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ミャンマー 錦織信幸(にしきおりのぶゆき) UNICEFミャンマー事務所 保健・栄養担当プログラム・オフィサー 錦織信幸(にしきおりのぶゆき) エチオピアから UNICEFエチオピア事務所 栄養担当専門官ニュートリション・スペシャリスト 岡村恭子(おかむらきょうこ) 岡村恭子(おかむらきょうこ) エチオピアから