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財団法人日本ユニセフ協会




バングラデシュ・サイクロン第7報
「子どもにやさしい空間」が作り出す安全な場所

【2007年11月30日 パトゥアカリ発】

朝7時。約200人の子ども達がサイクロンによって荒廃したスビクハリ村の村役場の屋上に集まってきました。彼らは「アマディール・ジャイガ:(私の場所)」—サイクロン「シドル」で被災した子どもたちのための安全なデイケア・センター—のドアが開くのを待っています。

11月15日にバングラデシュ沿岸部を襲ったサイクロン以来、子どもたちはしばしばこの屋上で何時間も待っているのです。子どもたちの多くは、トイレや食料、安全な水もない仮設の避難所で暮らしています。そして親は、生活を元に戻すために精一杯で、子ども達に注意を配り、十分なケアを提供することができずにいるのです。

10歳のアニマは、パサルガータにある「アマディール・ジャイガ」に毎日通っています。「サイクロンが襲った夜、私たちは避難所へ逃げました。」彼女は振り返ります。「そして家に戻ったら、すべてが流されてしまっていました。家も牛もヤギもみんな無くなってしまって、何も残されていないのです。両親は家を修理したり、食べ物を探すのに忙しいから、私たちはいつもここに来ています。」

避難場所と食事の提供

© UNICEF Bangladesh/2007
ユニセフが支援する「子どもにやさしい空間」にて、ボランティアが被災した子どもたちに食料を提供している。多くの子どもたちにとって、これが一日に得られる唯一の食事です。

ユニセフは今後数週間のうちに、セーブ・ザ・チルドレン(NGO)と共同で、被災した2万人の子どもたちを支援するために「子どもにやさしい空間」を380ヶ所設置する予定です。現在までに8県で27ヶ所に安全な「空間」が設置されました。

それぞれの「空間」が50〜200人の子どもたちの基本的なニーズに対応しています。地元のNGOとユニセフが研修したボランティアは、県から協力を得て、「子どもにやさしい空間」を運営しています。

セーブ・ザ・チルドレンは、それぞれの「空間」に安全な飲料水と温かい食事を提供しています。家が全壊してしまったために、ここで食べる食事が一日の唯一の食事であるといる子どももいます。

精神的な回復

© UNICEF/2007/Noorani
ボランティアは、ユニセフが提供したレクリエーション・キットを使って心に傷を負った子どもを支援し、心の傷を癒す手助けをしています

バングラデシュ南部では、何千人もの子どもたちが、サイクロンによって心理的にも大きな影響を受けており、災害後の生活に再び順応するための手助けを必要としています。子どもたちの心理的サポートの一環で、ボランティアは、ユニセフが提供した本やクレヨン、ゲーム、楽器、スポーツ用具などが入ったレクリエーション・キットを使っています。

「ここに来たとき、子どもたちはひどく衝撃を受けていました。」ポウラシャブにある「空間」で活動するボランティアの一人、ヌスラットは言います。「彼らはサイクロンで本当に混乱していました。今は遊んだり、歌ったり、踊ったり、本の朗読をしたりすることで、嫌なことを忘れて、少しずつ回復してきています。」

弱い立場にある子どもたち

今週被災地を訪れたユニセフ・バングラデシュ事務所の子ども保護担当官、アラ・ヨーとシャブナーズ・ザへリーンは、地元政府に「アマディール・ジャイガ」プログラムへの協力を呼びかけています。アラ・ヨーは、危機的な状況下では、両親から引き離された子どもたちは特別な支援を必要としていると説明します。

「このような緊急事態下では、子どもたちはとても弱い立場におかれ、特に人身売買の被害にあいやすいのです。」ナルトナにあるアマディール・ジャイガの運営者、シドゥハーサが言います。

子どもたちも、他の子どもたちと一緒にいることが回復につながることを知っています。

「私の両親は家を修理して食料を調達するのに忙しいのです。」12歳のシャーナは、ナルトナのアマディール・ジャイガが始まった時から通っています。「ここでは私たちは遊んで、食べて、本も読むことができます。両親を亡くした子もいるけど、その子達は私たちと一緒にここにいる方がいいわ。私たちが慰めてあげられるから。」

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