財団法人日本ユニセフ協会




パキスタン地震から3年 子どもたちのために「以前より良い」学校を再建

【2008年10月17日 パキスタン発】

ユニセフは、2005年にパキスタンを襲った大地震の被災地で、「以前より良い」学校再建のために活動している。被災した子どもたちは、楽しく勉強している。
© UNICEF Pakistan/2008/ Noorani
ユニセフは、2005年にパキスタンを襲った大地震の被災地で、「以前より良い」学校再建のために活動している。被災した子どもたちは、楽しく勉強している。

学校再開の初日、青い制服を着た子どもたちが、新しい校舎に興奮した様子で詰め掛けました。シャタイ村の女の子たちは、仮設ではなく、レンガと漆喰でできたしっかりした建物の学校で、授業を受けることができるようになったのです。

2005年10月、パキスタン北部を襲った大地震直後から、シャタイ村の女の子たちは、ユニセフが支援したテントの学校で、授業を受けてきました。このたび建てられた新しい校舎は、ユニセフの支援で建て直された160校の中のひとつです。

「新しい学校が大好きです。テントで勉強するのはとても大変でしたから」と、ニムラちゃんという名の生徒が話します。「冬はとても寒かったし、夏はとても暑かったし。雨の日や雪の日、風の強い日も大変でした。」

ニムラちゃんは、大地震が起きたとき、学校にいました。校舎は、大きく損壊しましたが、幸い先生たちが子どもたちを何とか安全なところへ連れていき、ひとりの死亡者も出さずに済みました。「幼稚園からこの学校に通い始めました。でも、地震のせいで2ヶ月間は、学校が休校となり、通えなくなりました。」ニムラちゃんは話します。

 

何千校もの学校が倒壊

地震の影響で、教育システムは麻痺し、約6,000校の小学校が倒壊、あるいは深刻な被害を受けました。地震後に状況が落ち着いたらすぐに行うべき、最優先事項は、できる限り早く、子どもたちの日常の生活環境を整えることです。

ユニセフは、震災地域に4,000を超えるテント型の仮設学校を建てました。さらに、2005年からは、1万人近い教師が、児童・生徒たちの学習成績を向上させるための教授法の訓練を受けています。

シャタイ村の人々は、ほとんどが農業を営んでいます。タバコの葉や野菜を育てているのです。ニムラちゃんは3人の姉妹と、3人の兄弟がいます。お父さんは、近くのドディアル村で、小さなお店を開いています。家族を養っていくのは簡単ではありませんが、子どもたちには全員—— 男の子も女の子も—— 平等に教育を受けさせなければならないとお父さんは考えています。

 

女子教育への支援

2005年の大地震発生から、ユニセフは、被災地のおよそ46万5,000人の子どもたちが小学校へ就学できるよう支援してきました。半数近くは女の子です。地震に襲われる前、この地域の小学校就学率は、パキスタンの中でも最下位に属していました。

シャタイ村には、学校活動すべてに関わる親と先生の協議会(PTC)があります。PTCは、1992年に設立されましたが、2007年にユニセフの支援によって、活動を再開するまでは、ほとんど 休止状態にありました。

「PTCは、現在とても活発に活動しています。私は、先生と児童・生徒たちの様子を監視するためにここにいるんです」と、PTC委員長のケシャワルさんは話しました。

 

安全で子どもに優しい学校

地震直後、ユニセフは、パートナーとともに、いち早い学校の再開を支援し、家、家族、友達を失った子どもたちが、安心できる環境のもと、普通の生活を早く取り戻せるよう活動してきました。

今、子どもたちが、教育を修了できるようにし、地震に強い校舎をつくることが、ユニセフの最優先事項となっています。

「以前より良い」学校を建てることで、ユニセフは、パートナーとともに、安全で子どもに優しい学校を提供し、ニムラちゃんや彼女と同じような境遇にある何千人もの子どもたちが、楽しく学習し、健やかに成長して、その可能性を最大限に開花できるよう支援しています。

 

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