財団法人日本ユニセフ協会




パキスタン地震から2年 支援活動の成果

【2007年10月8日】

image1
© UNICEF/PAKA1471D/Zaidi

2005年10月8日朝にパキスタンの北西国境州やカシミール地方のパキスタン管轄地域の山岳地帯をマグニチュード7.6の地震が襲いました。推定の死亡者数は73,000人で、そのうち17,000人は学校に通う生徒でした。約350万人の人々が家を失い、約42,000人の子どもが孤児となり、23,000人の子どもが障害を負い、推定で17,300人の女性が未亡人となりました。保健施設、給水・衛生設備、学校、道路、通信設備、公共事務所が崩壊し、農地や家畜、森もその一部もしくは全体が失われました。地震は朝の授業がちょうど始まったところを襲ったため、多くの子どもたちが犠牲となり、家の中にいた多くの女性も犠牲になりました。

2年間の成果(2005年10月〜2007年9月)

ユニセフは、政府や国連諸機関と共に支援活動にあたり、保健・栄養・安全な飲料水や衛生設備の提供を通じた被災地の子ども達の生存の確保や、教育、レクリエーション、精神的ケアの活動を通じて日常生活を取り戻せるようにするための活動を行いました。

<保健と栄養>

image1
© UNICEF/PAKA1804D/Zaidi
  • 150セットの緊急保健キットを配布しました(150万人分の保健サービスに対応)。
  • 6ヶ月〜15歳までの110万人の子どもにはしかの予防接種を実施しました。
  • 99の保健施設に医薬品や機材、物資、人材を支援しました。
  • 栄養不良の子どもや女性を見つけ出して管理するサービスを整え、275人の重度の栄養不良の子どもと21,000人の中度の栄養不良の子どもや女性が治療を受けました。
  • 2,100人以上の地域保健ワーカーのネットワークを作り、今まで保健サービスが行き届いていなかった地域に保健サービスが提供されるよう保健省を支援しました。

<初等教育>

image1
© UNICEF/PAKA01492D/Zaidi
  • 4,020校のテント学校を立ち上げ、42万人の子ども(内21,000人は今まで学校に通っていなかった子ども)が学校に通えるようになりました。
  • スクール・イン・ア・ボックス(学習教材セット)や本、通学かばんなどの学用品9,500セットを配布し、42万人の子どもが恩恵を受けました。
  • 14,500人の教員が困難な環境下での精神的ケアのスキルや授業法などの研修を受けました。
  • テントでの長期間の学校運営が困難な高地で気候が厳しい地域で、125の仮設シェルター(52校分)を建設しました。
  • 教員がいないもしくは不足している地域へ82人の補助教員を派遣しました。

<水と衛生>

image1
© UNICEF/PAKA1804D/Zaidi
  • 避難キャンプや学校、病院で35万人の人々に安全な飲料水や衛生設備を提供しました。
  • 322の農村給水設備を修復し、31万人が利用できるようになりました。2007年末までにはさらに500の給水設備が完成し、75万人が安全な水を利用できるようになる予定です。
  • 2,000校(19万人の児童)に対して安全な飲料水とトイレを提供しました。
  • 29の仮設基礎保健ユニットに給水・衛生設備を提供しました。
  • 38,400個のトイレの建設を支援し、70万人がトイレを使えるようになりました。
  • 16万セットの衛生キットを配布し、110万人が利用しました。
  • 4,000人の教員に学校での衛生教育に関する研修を行い、27万人の児童が学校で衛生教育を受けました。

<子どもの保護>

image1
© UNICEF/PAKA01492D/Zaidi
  • 冬用の衣服687,000枚、毛布や布団100万枚を配布し、150万人が支援を受けました。
  • 保護者と離れ離れになったり、孤児となった子ども13,400人を登録・モニターしました。
  • 122ヶ所の「子どもにやさしい空間」で18,300人近い子どもが精神的ケアを受けたり安全な環境で遊ぶことができました。
  • 5歳未満の21,000人以上の子どもが出生登録されるよう支援しました。
  • ムザファラバード、バーグ、マンセラに子どもの保護監視ユニットを設置しました。
  • 被災地のストリートチルドレンや働く子ども向けの保護センターを2ヶ所設置しました。

ユニセフは、パキスタン政府の復興計画に基づき、2008年12月までの復興支援計画を立て、支援活動を継続しています。皆様から暖かいご支援をお寄せいただきまして、ありがとうございました。

* * * * * *

今回のような緊急事態に、世界中のユニセフの現地事務所が
いち早く対応できる体制づくりにも役立っています・・・

image1

「ユニセフ・マンスリー・サポートプログラム」への
ご協力のお願い

「子どもを支援する」ことは、子ども時代全体を支えること。時間のかかる根気のいる活動です。自然災害や紛争などの緊急事態、あるいは貧困などによって生命の危機にさらされている子どもたちをいち早く助けることは、重要なユニセフの活動のひとつです。しかし、そこは出発点にすぎません。その1年先、5年先、10年先を視野に入れた活動がなければ、子どもたちを本当の意味で支えることはできません。「ユニセフ・マンススリーサポート・プログラム」は、ご負担とならない任意の一定額をお決めいただき、月々の自動引落によりご協力いただき、子どもたちの成長に合わせた、ユニセフの継続的な支援活動を支えていただくご協力の形です。また、こうしたご協力を通じて、ユニセフは、世界各国のユニセフ事務所に、今回のような緊急事態にいち早く対応できる体制を整えています