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財団法人日本ユニセフ協会



パキスタン情報 第22報
〜被災者の健康を守るために〜

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衛生促進キャンペーンの中で、ハベリアンキャンプの被災した子どもに呼びかけを行うムハマド・イシュファク(7歳)と公衆衛生アシスタント

【2006年2月15日 ムザファラバード】

136,000人の被災者がキャンプで生活しているパキスタン実行支配下カシミールと北西国境州では、良い衛生習慣を促進し、健康を維持するため、ユニセフは2つの新しいプロジェクトを実施しています。1つは清潔な習慣を促進するための教育プログラムで、2つ目は冬の間も体を洗えるようにするためにお湯を提供するものです。

キャンプ内の状況は厳しく、10人以下の家族は1つのテントで生活しています。多くは、山岳地帯で孤立した生活を送っていた避難民です。人々は多くの問題に直面しています。例えば、もともと文化柄使っていなかったトイレを利用する必要があります。このような状況においては、悪い衛生状態によって伝染病が発生し、大流行する恐れもあります。子どもはもっとも弱く、コレラのような病気で最初に命を落とすのは常に子どもです。

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キャンプ住民と話し合うために良い習慣と悪い習慣を写しながら、カメラを手に歩き回る芸術家でありグラフィックデザイナーのファウジア・ミナラー

イスラマバード出身の芸術家でありグラフィックデザイナーでもある若いファウジア・ミナラーは、マンセラのハベリアンキャンプで、彼女の撮影技術を使った革新的なキャンペーンを支援しています。「私は衛生的に悪い習慣を写真におさめています。例えば、手を洗わずに料理をしたり、石鹸とお水で手を洗わずにトイレを後にする人々の写真です。私がコミュニティーの人々と話したところでは、人々は自分が知っている人が写っている写真を見たときには、さらに問題を重要視することが分かりました。」とミナラーさんは言います。

冬でもお湯で洗う

「熱帯地域で起こる緊急事態と違い、今回の地震は冬に非常に寒い気候になるところで起こりました。」とユニセフの水と衛生担当官が言います。「これは緊急事態にお湯を提供するということが通常ほとんどないということを意味します。」

ムザファラバード近くのトーリ・パークキャンプは、お湯の出る公衆トイレがある初めてのキャンプ地となる予定です。防水シートで覆われていたかつての洗い場には、冷たい水が出る蛇口しかありませんでした。夜には気温が氷点下をはるかに下回るこの地域では、住民は氷水を使うことになるため、徐々にお風呂に入らなくなっていました。最近、アフィズ・アバッドのハッサで2つの温かいお風呂がオープンしました。

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ムザファラバード近くのトーリ・パークキャンプでお湯溜めに水を追加する女性。被災者が冬の間も体を洗えるよう、ユニセフは60個のお湯溜めを提供しました。

ユニセフのムザファラバードの保健担当官、ハーベルト・ラージメーカーズ博士はこう説明します。「ここでの主な懸念事項は皮膚病です。住民から報告される主要な問題の一つは、疥癬(かいせん。人の皮膚に寄生するダ二が原因となる皮膚病)によって起こるかゆみを伴なう発疹です。お湯を提供することで発疹を無くすことができ、また、衛生状態を良くすることでいかに家族の健康を改善することができるかを人々に示すことにもつながります。」

ユニセフは、地元の資材を使った効果的で低コストでお湯を提供する方法を開発する実験を行っています。トーリ・パークのお湯溜めは、薪を使って多量の水を温める試作品です。これはユニセフとその協力団体が取り組んでいる60のお湯溜めのうちの最初のものです。

12歳のサジードと4歳のミシェールは、バケツ半分のお湯でお風呂に入った後、生乾きの髪とつるつるした顔でキャンプ内のテント学校へ向かいました。「僕たちは昔は家でしょっちゅう温かいシャワーを浴びていたけど、地震が起きてからはこれが最初のお風呂だよ。」12歳のムニールは、タオルで顔と首を拭きながら言いました。

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◇ 募金のお願い ◇

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