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フィリピン台風緊急募金 第10報
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台風名 | 死者数 | 行方不明者 | 被害者総数 | 避難民数 (避難センター) |
避難センター の数 |
被害を受けた 家屋の数 |
被害を受けた 学校の数 |
被害総額 (百万米ドル) |
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パァーマ | 492 | 47 | 4,478,284 | 14,892 | 54 | 54,373 | 1,531 | 580 |
ケッツアーナ | 464 | 37 | 4,901,234 | 70,124 | 244 | 185,004 | 1,383 | 234 |
ルピート | - | - | 5,239 | 1,866 | 19 | 45 | - | - |
ミリネ | 34 | 5 | 802,155 | 18,696 | 56 | 67,711 | 101 | 39 |
計 | 990 | 89 | 10,186,912 | 105,578 | 373 | 307,133 | 3,015 | 853 |
ユニセフでは、台風ケッツアーナの被害を受けた後にフィリピン政府から発表された支援要請を受け、2009年9月28日から緊急支援を開始しました。現在までに、以下のような活動が実施されました。
以下の緊急支援物資が配布されました。
© UNICEF/PHI/2009 |
国連ヘリによって届けられるユニセフ調達物資 |
首都マニラ周辺とその他の地区に住む、生後9ヶ月〜59ヶ月の乳幼児19,689人が、はしかの予防接種を受けました。また、33箇所にある医療センターに医薬品、医療器具等の支援物資を提供しました。ルソン島の山岳管理地域のセンターに避難している妊産婦10名は、安全に出産できるよう鉄分と葉酸サプリメントを受け取りました。一部地域でレプトスピラ症が確認されたため、感染症対策の専門家は感染の拡大を防ぐための予防プログラムを現地で実施し、330,000人が予防治療を受けました。これまでに、3,000人以上がレプトスピラ症への感染が確認され、241人がこれにより亡くなりました。
いままで、移動式医療チームが台風と洪水の被害を受けた人々が治療を受けられるように、各地域を巡回していましたが、いくつかのNGOでは、今後この地域から撤退して、事業を地方政府や民間の医療機関に引き継いでいくことを検討しています。
緊急下で最も脆弱な幼い子どもの命を守るため、ユニセフでは以下のような栄養面での支援を実施しました。
ユニセフは、フィリピンで、台風と洪水の被害を受けた地域に住む子どもと女性の健康、特に避難民センターに身を寄せている乳幼児のケアに関心を寄せています。フィリピンでは、これまでも完全母乳育児をする母親の数は多くはありませんでした。緊急事態によって、母乳育児をする母親の数がますます減ることが予想されます。不衛生な水で溶かした人工乳を与えることは、子どもが感染症や下痢性疾患にかかるリスクを高めます。ユニセフは、避難民センターに住む2歳未満の子どもの栄養状態を調べるため、2009年11月16日〜30日にかけて簡易調査を行いました。また、避難民センターにいる生後6ヶ月未満の子ども約1,500人を対象に、母乳育児推進プログラムをセーブ・ザ・チルドレンと共に実施しています。さらに、緊急下で乳幼児への適切な食事の与え方について広めるポスター、うちわ、カウンセリング用カードが製作され、センターや被害を受けた人のいる地域に配布されました。
以下の緊急支援物資が配布されました。
© UNICEF/PHI/2009 |
ユニセフより衛生キットを受け取る少女 |
ユニセフは、避難先のキャンプや洪水の被害を受けた居住区で、人々が安全な飲み水、適切な衛生状態を保つのに必要なトイレ、手洗い、衛生用品を利用できるように支援しています。また、緊急支援物資の配布に加え、衛生啓発のための資料が製作され、その他にも、配水管の補修と改善、固形廃棄物の処理、蚊等の病原菌媒介生物の制御等を行っています。緊急支援は、より長期的な復興支援へと移行しつつあります。しかし、いまだに水が引かない地区、湖の近くで帰還できない地区もあり、ユニセフはこうした地域に住む人々や、家に帰れずに避難生活を続けている人々への緊急支援を続けていく予定です。
洪水の被害にあった地域では、安全、児童労働、心理社会的な影響等の問題が指摘されました。ユニセフは、災害時に親と離れ離れになった子どもの保護や、心理社会的なサポート、またいち早く日常を取り戻し、災害の心理的な影響を和らげるためのクラブ活動を支援しています。
家族再開プログラムは優先的に実施され、政府の児童福祉委員会と現地NGOノーフィールドが共同で実施することが決まりました。12月上旬からは、法的立場の立証、再開後の訪問、法律的なサポート等が行われます。
ユニセフは、離れ離れになった子どもをいちはやく保護し、心理社会的なサポートを提供するため、研修を実施しています。リザルでは、子ども政府ネットワークから31人、洪水の被害を受けた地域の保健員62人が研修を受けました。
ユニセフの設置した、「子どもに優しい空間」では、子どもを対象としたクラブ活動が行われています。また、若者グループでは、心理社会的なピア(同年代の若者が若者たちを対象に行う)支援、暴力を防ぐための参加型のプログラム等を行っています。
以下の緊急支援物資が配布されました。
ユニセフでは、緊急支援開始後から台風の被害を受けた学校に、授業の再開に必要な学用品や教材を届けています。また、早期幼児学習センターと就学前教室にも、学用品を届けました。その他、児童用補助食セット8,604人分、清掃セット44セット、小学生と中高生向けの衛生キット10,089セット、貯水タンク938個、塩分補強ドリンク938本が配布されました。さらに、ユニセフは小学校の図書館に図書31セット(1セットに本100冊を含む)を寄贈しました。ユニセフは、現在被災地で避難センターとして使われている学校を再開するためにより中・長期的な支援が必要になると考えています。
国連は、2009年10月3日、9月26日に現地を襲った台風16号後にフィリピン政府から発表された支援要請を受け、フィリピンで一連の被害を受けたおよそ250万人への緊急支援のため740万米ドル(約6億6000万円)を要請しました。この内、1270万米ドル(約11億3700万円)がユニセフの緊急支援活動として見積もられました。発表後に、ルソン島が新たに2つの大型の台風に見舞われたため、当初の要請額は見直され、11月18日に発表された新たな要請額で、国連はおよそ420万人に緊急支援を届けるため143.8万米ドルを要請しました。ユニセフは、他の国連機関、国際機関、地元のNGOと共にフィリピン政府と協力して、自然災害によって引き起こされた人道危機に対応しています。ユニセフは、緊急支援の中で特に水と衛生、栄養、教育の分野で主導的な役割を果たしており、また、子ども保護の分野にも力を入れています。
現地からの要請にこたえ、(財)日本ユニセフ協会は、10月8日に緊急拠出準備金より100万米ドル(約8900万円)を拠出し、これまで個人、企業、団体、学校等の皆様から多くのご支援を頂いております。 しかし、ユニセフフィリピン事務所に今までに集まった支援は、まだ要請額の19%の資金にしかなりません。これまでの皆様からのご好意に深く感謝を申し上げますと共に、今後も更なるご協力を承れますよう宜しくお願い申し上げます。