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財団法人日本ユニセフ協会
 



ハイチ地震復興支援募金 第75報
教育に未来を託す若者−ジーンさんの場合

【2011年2月25日 ハイチ発】

2月25日、ユニセフは『世界子供白書2011−青少年期 (10代) 可能性に満ちた世代』が発表されました。ここでは、世界の主に10歳から19歳までの10億人以上の子どもたちの発達と権利の問題に焦点が当てられています。貧困や不公平性、ジェンダーの差別を乗り越えるために、青少年や少女への"投資"が訴えられています。今回ご紹介するお話も、そのひとつです。

© UNICEFHait/2011/Nybo
ユニセフは、2010年のハイチ大地震直後から、ジーンさん(19歳)の成長を見守っています。ジーンさんは、避難キャンプで力強く生活を続け、教育を受け続けています。

私たちがジーン・ベルニテさんに初めて会ったのは、2010年1月。大地震が発生してからわずか6週間後のことでした。ジーンさんは、家族4人で避難テントでの生活を余儀なくされていました。すでに学校に通えなくなっていましたが、ジーンさんは一日も早く学校に戻ることを切に望んでいました。

私たちが展開してきた支援活動が、具体的な成果としてどのような形で現れているのか。震災から1年が経った先月、私たちは、改めてジーンさんを訪ねてみました。首都ポルトープランス近隣のペチョンビルにあるサント・テレーズ避難キャンプで、ジーンさんを見つけました。

「なんとかやっています。」と、ジーンさん(19歳)は話します。「地震の後、高校に戻りましたが、被災者救援のボランティア活動をするために休学していました。その後暫くして、友達から学校に戻るように誘われて、そうすることにしました。今は、高校最後の学年にいます。」

より良い生活に向けて

私たちにそんな話をする間も、ジーンさんは、いつもやっている家事などを、全く滞らせることなく続けていました。ジーンさんの一日は長く、また周囲には不安材料ばかりです。しかし、ジーンさんは、とても楽しそうで、将来にも楽観的です。なぜなら、教育が、彼女により良い生活を立て直すための力をくれると強く信じているのです。

「もし、私の人生の中で、変わったら素晴らしいと思うことが二つあるとすれば、ひとつは、大学へ行くことです。私だけじゃなくて、高校を卒業した子どもたちや、大学に行く機会のない全てのハイチの子どもたちも大学に行くこと。」「そして大学を卒業したら、仕事を見つけたいわ。」

ジーンさんに、今の生活の中で、一番不満を感じることは何かと尋ねました。彼女は、まだテントで生活していることが最大の不満だと話しました。これは、ジーンさんに限った話ではありません。約38万人の子どもと青少年・少女を含む100万人以上のハイチの被災者が、未だにすし詰め状態の避難キャンプで生活しているのです。

ユニセフの支援

ユニセフは、パートナー団体と協力して、ジーンさんを含む72万人の若者の復学を可能にしました。新しい学校や備蓄テントを設置したり、教材を提供するなど、全てのハイチの子どもたちが質の高い教育を公平に受けられるように、人道支援団体は不断の努力を続けています。

これまでに大きな進展が見られました。しかし、ハイチの子どもの半数以上がまだ学校に通えていないのが現状です。学校建設も、遅れている瓦礫の撤去や複雑な土地の所有権の問題で、なかなか思うように進んでいません。