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財団法人日本ユニセフ協会
 



ハイチ地震復興支援募金 第76報
ハイチの国境で子どもの人身売買防止のために尽力

【2011年3月11日 ハイチ ウアナミンテ発】

ハイチの北東部国境沿いの街ウアナミンテの郊外には青々とした緑と小高い丘が続き、ところどころに狭い道路が見え隠れします。これらは、ドミニカ共和国へと子どもを人身売買するための道筋となっています。

ユニセフはハイチ政府とNGO(非政府組織)とパートナーシップを組み、子どもの人身売買の防止に努めています。その一環として、国連警察要員(UNPOL)は、こうした犯罪の温床になっている国境地帯の警備を最近になって始めました。

問題の深刻さは、警備にあたるUNPOLと同行することで分かってきます。国境は何マイルにもわたり、車ではアクセス不能で、リソース(資源)が少ないために、UNPOLの徒歩によるパトロールにも限りがあります。

「あなた方が考えるより深刻な問題です」UNPOLの要員のひとり、アンドレ・ペラン氏は言います。「人身売買は毎日起きているのに、これを取り締まる手立てがほとんどないんです」

2009年には、2,000人以上のハイチの子どもたちがドミニカ共和国に人身売買されました。昨年の地震で混乱に陥いり、以前より貧しい生活を余儀なくされた世帯の親たちが、ハイチの隣国であるドミニカ共和国に住む、より豊かな家庭に子どもたちを送り込み、仕事をさせたいという誘惑にかられるケースが増えていると言います。

国境を警備

© UNICEF video
カポティーユの近くにある、人身売買の被害に遭った子どもたちに臨時のケアを提供するウェルカム・センターに保護されたマリーちゃんとフランシスコちゃん。

カポティーユという村の警備をしている途中で、UNPOLは、2人の子どもが人身売買グループによって置き去りにされたという報告を受けました。地元の人たちが子どもたちの面倒をみているが、貧しいために、ずっと面倒を見続けることはできない、と言っているそうです。ユニセフの「子どもの保護」専門家のガリアン・パライレが国連警察部隊の人たちと共に、2人の子どもたちの保護に向かいます。

そこには、マリーちゃん(8歳)とフランシスコちゃん(4歳)(いずれも仮名)という子どもたちが待っていました。2人は、パライレの手をそっと握り、ユニセフが支援するハイチ警察「子どもの保護部隊」に向かいます。この部隊は、車内を捜索する権利を有し、子どもたちが正式な書類なしで国境を越えるのを防いでいます。

マリーちゃんとフランシスコちゃんは、男と旅をしていたと言い、ドミニカ共和国に渡ろうとして発見されそうになったとき、男が逃げ去り、その場に2人は残されたと言います。パライレは2人の子どもに質問をします。どうにかしかして、両親と引き合わせてあげたいからです。

「2人から聞いた断片的な情報から、たぶん2人の両親は、ドミニカ共和国に住む違法移民ではないかと考えています」とパライレ。「両親が、自分たちのもとに呼び寄せるために、お金を支払って連れて来させようとしていたみたいです」

子どものケア

© UNICEF video
カポティーユ近くの村で保護された子どもと話すユニセフの子どもの保護専門家のガリアン・パライレ。

マリーちゃんとフランシスコちゃんは、人身売買の被害に遭った子どもたちに臨時のケアを提供するウェルカム・センターに保護されることになっています。民間組織のスア・サン・ジャンによって運営されているこのセンターは、ユニセフの支援を受けています。マリーちゃんとフランシスコちゃんは、初めは恥ずかしそうにしていますが、ソーシャル・ワーカーの笑顔に促されて、ほかの子どもたちと一緒に遊び出します。

パライレは、子どもに悪影響のない範囲で、なるべく両親と子どもを再会させるようにしています。「子どもたちは保護される権利を有し、良い環境で育つ権利を有しています。それが無理ならば、尊厳を持って処遇される住み込み型の長期ケア・センターで保護します」

両親が見つかるまでの間、ウェルカム・センターはマリーとフランシスコに安らぎと安定を提供してくれそうです。