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財団法人日本ユニセフ協会



サモア地震津波緊急募金 第6報
忘れられがちな支援

[2009年10月25日 サモア発]

© UNICEF/NYHQ2005-0542/Estey
2004年12月、スマトラ沖で発生した地震による影響を受け子どもたちへの心理社会的な支援として、ユニセフが支援した資材を使って遊ぶ2歳の女の子と教師。

ユニセフは、今回のサモア地震・津波被災地での支援活動の中でも忘れられがちな課題の一つである、幼稚園活動の再開のための緊急支援を行っています。

9月29日にサモアを襲った大規模な津波によって、16の幼稚園が全半壊しました。以後今日に至るまで、幼い子どもたちは、幼稚園に行けないままの状態が続いています。

ユニセフは、幼稚園を運営している教会や民間の慈善団体などの組織が参加している現地NGO「サモア幼児教育協議会(NCECES)」が、幼稚園活動の再開のための調査を実施するため、技術面と調査のための移動手段の提供などの面で支援を行いました。

ユニセフのフォング・T・ングヤン緊急教育支援担当官は、この現地NGOの調査の結果、11の幼稚園が完全に倒壊し、さらに5つの幼稚園が深刻な影響を受けていること。これにより、推定600人の子どもたちが影響を受けたものと見られていると語ります。

ングヤン教育担当官は、次のように話します。

「私自身がこの目で確認した範囲でも、幼稚園が受けたダメージは大きく、胸が張り裂ける思いでした。」「教室も他の施設も完全に流されてしまい、崩れたコンクリート片が散らばっているだけのところもありました。他にも、建物が全く使用できないほどの損害を受けているところもありました。」「一般的なサモアの幼稚園には、教室がひとつ、手洗い場とトイレがひとつあり、2歳から5歳半の35-40人の子どもたちと2人の先生がいます。私が訪れたある幼稚園では、津波に襲われる3ヵ月前に校庭に遊具が設置されたばかりでしたが、今はもう全てなくなってしまいました。絵本や子どもたちが作った作品は、以前使っていた教室の瓦礫の中に埋もれています。」

ングヤン担当官は、津波は教室などを破壊しただけでなく、早期幼児教育を受けていた数百人の幼い子どもたちの権利を奪ってしまったと語ります。

© UNICEF Pacific/Cherelle Jackson

「早期幼児教育は、幼い子どもたちにとって必要不可欠なものです。就学前の時期の子どもたちの全般的な成長を促し、子どもたちは、早期幼児教育を受けることで、自分自身の考えや言葉、運動能力、感情や社会的技能を発達させることができるのです。子どもたちは、人生の最良のスタートを切り、持って生まれた可能性を最大限生かせる機会を享受するべきです。」

「さらに、早期幼児教育を受けている子どもたちは、小学校生活にも直ぐに馴染みます。社会性も身に付けやすく、学校に毎日通い、落第・留年する可能性も低くなるのです。」

「子どもたちが幼稚園に通うことができないことの影響は、一人ひとりの子どもたちの生活のみならず、家族、コミュニティ、そして国全体の発展にまで及びます。」

ングヤン担当官は、津波の影響を受けて、避難所、水と衛生施設のような多くのニーズがある中で、幼児教育に対する支援は優先順位の低い課題とされていますが、この問題は、もっと重要度を持って扱われるべきだと話します。

より年齢の高い子どもたちを対象にした教育(学校活動)と同様に、早期教育(幼稚園活動)は、幼い子どもたちに日常の感覚を取り戻させます。社会心理的な支援の観点から、また危険から子どもたちを保護するために大切なものです。年齢が高くても低くても、子どもたちの教育は、人道支援の欠くことのできない一部分であるべきです。

「全般的に、緊急支援活動は早期復興支援活動に移行し始めています。こうした中、あまりかいま見られなかった幼い子どもたちの教育と発達のための支援にも目を向けることが必要不可欠です。」

ングヤン教育担当官は、今週始めに現地NGOによる調査結果が発表され次第、ユニセフは、他の人道支援団体などとともに、幼い子どもたちが再び就学前の幼児教育を受けるために緊急に求められている資金や人員を動員し、幼い子どもたちの社会的、感情的、そして身体的発達を支援する早期幼児教育の一日も早い再開を支援すると言います。

また、ユニセフは、この機会を通じ、現在、慈善団体などの善意で運営されている早期幼児教育活動(幼稚園)が、今後長期的には、サモア政府のリーダーシップの元でなされるよう働きかけていく予定です。