HOME > 世界の子どもたち > 緊急支援情報 > アフガニスタン 2003/4/22
財団法人日本ユニセフ協会




アフガニスタン
あれから1年 影を落とす課題

〜ユニセフは、女子教育と女性の健康に対してさらなる投資をすすめる〜

【カブール/ジュネーブ/ニューヨーク、2003年3月18日】

バック・トゥ・スクール1  ユニセフは、1年間にわたるさまざまな進展の一方で、アフガニスタンはまだ国の再建の途上で、特に女子と女性が危険にさらされており、さらに、この国は世界の無視という危険にも直面している、と訴えました。

 2年目の「バック・トゥ・スクール(学校へ戻ろう)」キャンペーンで、新学期を迎える何百万人もの子どもたちのための準備をすすめる中、いまだに学校に通えない女子の数がこのキャンペーンの進展に対する脅威となっています。昨年のキャンペーンで学校に戻った子ども300万人の3分の1は女子でした。しかし、ユニセフは、いまだに女子の就学率とくに小学校における就学率は、容認できないほど低いと述べました。

 キャロル・ベラミー ユニセフ事務局長は、国際社会はいまだ人口の多くが危険な状態で再建のために苦しんでいるこの国に対して、決して注意をそらしたり、投資をやめたりしてはならない、と述べました。 「学校に通う女子は少なすぎ、不必要な死を迎えている女性が多すぎるのです。アフガンの女子と女性は、これまで教育や保健ケアに対するアクセスを日常的に拒否されてきました。私たちの仕事はまだ全く終わっていないのです。

 ベラミー事務局長は、ユニセフは特に女子教育の分野に力を入れてきたと語ります。なぜなら、それが長く続く平和と発展の礎であるからです。「教育は、どんな社会でも基盤となるものです。アフガニスタンでは、女子や女性に対する教育は、この国が果たせる最も肝要な投資です」

 1年前の最初の「バック・トゥ・スクール」キャンペーンの歴史的な成功に続いて、ユニセフは、教育省とともに、新たな生徒の流入に対応するための準備に一連の投資を行ってきました。そして、少女たちが学校に入学し、通い続けるために障害となっていることを取り除く格別の努力を行ってきました。

 2002年の「バック・トゥ・スクール」キャンペーンは、内務省の支援を得て、ユニセフは史上最大規模の教育支援のための物資調達を行い、実質上、国中すべての学校に、総量7000トンもの教材を届けました。これは、大勢の子どもたちが教室に入って、最初からもっともよいかたちでの経験ができるようにと、実施された内務省による大規模なキャンペーンの一部でした。、

 今年、ユニセフは、女子の就学率を上げ、中途退学したり学校から引き離される危険性を減らすための新たな活動に焦点をあてています。アフガニスタンは、ユニセフが行っている「2005年までに25カ国を」キャンペーンで、2005年までに教育を受けている女子の数を緊急に増やさなければならない25ヶ国の中のひとつです。

 壊れた学校を修復するなどの学習環境を改善するための優先課題は、女子にも男子にも共通のものです。しかし、例えば、学校内に男女別のきれいなトイレがないといったその他の障害は、女子教育が直面する困難を表しています。

 3月24日に新学期がはじまるのに先立ち、ここ6週間にわたってユニセフは教育省やその他のパートナーに支援を行ってきました。

 ・ 国中の学校に、総量3000トンの支援物資を配布。これは、今年、5万人以上の教員と400万人の子どもに対し、基礎的な教室の教材を十分提供するためのユニセフの活動の一環
 ・ 全国規模の教員研修プログラム第1期を開始した。2003年には、合計7万人の教員がトレーニングを受けた。この中には、これまで仕事をする権利を奪われてきた女性の教員も含まれていた
 ・ 女性省と共同でアフガニスタンで初めての女性用識字テキストを作成した

加えて、ユニセフは以下を目標としています。
 ・ 2003年中に、国内の200の小学校の修復を行う。国内の学校の30%はかなりひどく破損しており、全体で3分の2の学校が修復を必要としている。
 ・ 2003年の終わりまでに、国内のすべての小学校に、安全な水が手に入る水場を確保する。
 ・ 今後12ヶ月以内に、1500校の小学校に衛生施設を提供する。

 世界では1億2000万人の子どもが学校に通えない状況にあり、その多くが女子です。毎年のように、女の子は、きちんとした教育を受ける権利を否定され、暴力や虐待、搾取、人身売買などの対象になったり、HIV/エイズを含むさまざまな病気の危険にさらされたりしているのです。

 アフガニスタンでは、まさにその女の子たちが、女性として成熟し、妊娠するときに、人生を危険にさらしています。昨年、アフガニスタンの保健省とユニセフ、疾病管理予防センターによる共同研究が行われ、その結果、アフガニスタンは、母親になるには世界でも最悪の場所のひとつであることが明らかになりました。アフガニスタンでは、出産時に30分にひとりの女性が命を失っているのです。

 ベラミー事務局長は言います。アフガニスタンの女子と女性は、長い間、彼らを公正な立場に導く教育やその他の能力向上の機会を奪われてきました。「アフガニスタンは、その足場を固めつつあります。長い、そして非常に不安定なプロセスを抜けて、教育を受け、健康で、自身の国を前に進めることのできるより多くの女子や女性が現れることを願っています。しかし、今すぐに、そして持続する支援がなければ、この可能性は遠く離れたままのものになってしまうのです」

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*ユニセフの女子教育キャンペーン:

バック・トゥ・スクール2  ユニセフの「2005年までに25カ国を」キャンペーンは、2005年までに特に取り組みが急がれる25カ国において、初等教育と中等教育におけるジェンダーによる格差を排除することを目的とした主要なイニシアチブです。このキャンペーンには、アジア、アフリカの15カ国(アフガニスタン、バングラデシュなど)が含まれ、女子教育が深刻な課題となっている進展が大きな影響力を与えるであろう国々に焦点が当てられています。

 ユニセフは、その国の政府やその他のパートナーと緊密に連携し、学校に通っていない女子を把握します。それぞれの国では、ユニセフは、政府と協力して、新たな資源を動員したり、女子教育の必要性に対する広範囲の国家的な合意を形成したりしています。また、学校自身がより女子を受け入れられるように変わるよう、その改善を支援しています。

 ユニセフは、このイニシアチブで対処できるだけの数の国を選び、その選定にあたっては、次のような指標をもとにしています。

 ・ 女子の低い就学率、
 ・ 初等教育就学率において10%以上の男女格差がある、
 ・ 100万人以上の女子が学校に通っていない、
 ・ 「すべての子どもに教育を」イニシアチブの対象国である、
 ・ 紛争やHIV/エイズなど女子の教育の機会を奪う深刻な危機が襲っている