HOME > 世界の子どもたち > 緊急支援情報 > アフガニスタン 2003/10/17
財団法人日本ユニセフ協会




UNICEF アフガニスタン緊急・復興支援情報

* 緊急出産ケアサービスを全ての地域に。
* 予防接種によって防ぐことのできる病気の罹患率と死亡率を減らす。
* 1560校に、給水設備を。
* 教育の機会を子どもたちに。50万人の女の子を学校へ。
 
 タリバン政権の崩壊から、約2年。アフガニスタンの人々をはじめユニセフなどの国際機関の努力、特に昨年の支援活動によってアフガニスタンの子どもと女性の状況は目覚しく前進しました。しかし、多くの人々がいまだに抗争や病気の蔓延、貧困といった困難な状況から抜け出せずにいます。政府をターゲットとした攻撃がときおり国際的な人道支援機関まで対象を拡大させるなど、依然として不安定な治安状況が、今後の復興支援活動への不安要素として懸念されます。また、継続的に続く干ばつや経済の低迷に加え、国際的な資金援助がこのところ著しく減少していることが、アフガニスタンにおける持続的・包括的な支援活動の実施に障害を与えています。

●ユニセフのアフガニスタンでの活動
image1  ユニセフは、特に治安の悪化しているアフガニスタン南部、北部、および東北部を含む、アフガニスタン全域で活動を行っています。ユニセフは4つの地域事務所のほかに32地域に活動拠点を運営して、子どもや女性に近い場所から効果的にプロジェクトを進め、 進捗状況を監視して支援を続けています。
<主な活動>
5歳未満児と妊産婦の死亡率の低下:
 予防接種拡大計画(EPI)の展開(はしかによる死亡率の低下、ポリオ撲滅キャンペーンなど);安全な水の確保;ビタミンAとCの補給と栄養改善プロジェクト;母子保健プロジェクト(緊急出産ケアや破傷風トキソイド予防接種による妊産婦の死亡率低下と、母乳育児の促進による乳幼児生存率向上)
初等教育の再開と発展へのサポート:
 初等教育の再開、特に女の子の教育の促進。教育システムと学校の再建は、子どもの権利であり、アフガニスタンの今後の平和構築への道のりには不可欠です。
子どもの保護:
 武装勢力による子どもの徴兵を阻止するとともに、武装勢力にすでに徴兵された子どもの解放を働きかけます。また地雷や不発弾(UXO)回避教育を行い、子どもが被害に遭うのを防ぎます。
子どもと女性のための国家の再建:
 アフガニスタンのあらゆるパートナーと協力して、特に子どもと女性に関係した国家再建を支援します。

●ここ数ヶ月間の活動と成果
全国ポリオ予防接種デー(NIDs)とビタミンA投与:
 ユニセフは、9月2日〜4日に今年4回目の全国ポリオ予防接種デー(NIDs)を実施、7月には予防接種とともに19州92地域でモップアップキャンペーン(戸別訪問予防接種と未接種児・患者の発見活動)も行われたことで、今年ポリオの予防接種を受けた子どもは95%以上の600万人にのぼります。これにより2004年にはポリオ撲滅が達成できると期待されています。また予防接種の実施体制を通じ、500万人以上の子どもにビタミンAが投与されました。ビタミンAの投与は、5歳未満児の子どもが感染症の罹患を予防し、死亡率を20%下げるといわれています。

予防接種拡大計画(EPI)の実施と維持:
 ユニセフは50万人の乳幼児と150万人の女性に予防接種を行うため、現在1400人の接種医と722のEPIチームが活動しています。また首都カブールに国立ワクチン保冷センターが設立され、基礎医療品の各地への輸送が可能となりました。更に6つの州立ワクチン保冷センター建設が年内に予定されており、コールドチェーン技術者の研修が32州で行われています。しかし、急ぎの建設が必要な24州における保冷センターの設立資金が、依然として不足しています。

はしか死亡率の低下:
 ユニセフは予防接種拡大計画(EPI)の実施体制を利用し、2002年に1100万人、2003年にはこれまで500万人以上の子どもにはしかの予防接種を行いました。これによりはしかの接種率は、現在96%以上に向上しています。

破傷風トキソイド(TT)キャンペーン:
 女性と新生児の破傷風感染予防を目的として、ユニセフは2003年に破傷風トキソイド(TT)キャンペーンを開始しました。国内全土での実施を予定している3年間のTTキャンペーンは、第一弾が2月にカブール、マザール、カンダハール、ヤラバードで実施され、出産適齢期の女性の80%に相当する59万人がその恩恵を受ました。3月の第二弾では、女性の83%に対し破傷風トキソイドが施され、第三弾は9月に実施されました。地域レベルのTTキャンペーンも5月と6月にカブール8地区行われ、出産適齢期女性の88%が恩恵をうけました。

出生登録:
image2  予防接種拡大計画(EPI)の実施体制を利用し、ユニセフは1歳未満の全ての子どもに対して出生登録キャンペーンを実施しています。2003年の全国予防接種デー(NID)では世帯レベルでの出生登録も行われ、それまで未登録だった子どもの登録が進みました。さらに32州でトレーニングが実施され、現在では出生情報が全て電子データ上で登録されるようになりました。出生登録率は数字上での向上が見られますが、現段階で評価を下すにはまだ早く、5歳未満の全ての子どもを対象とした2004年のキャンペーンの準備に向けて、今早急に資金が必要となっています。

ヨード添加塩の普及:
 ヨード不足による甲状線種、知能発育の遅れなどを防ぐため、ユニセフはアフガニスタンにおけるヨード添加塩推進を展開しており、2004年までにヨード添加率を85%まで向上させる計画が立てられています。首都カブールには塩にヨード添加する工場が開設されていますが、2003年内にあと7工場が建設される予定です。カブール工場の開設により、ヨード塩添加率は2%(2002年)から35%(2003年5月)と飛躍的に向上されましたが、この事業をさらに軌道に乗せるためにあと100万ドルの資金が不足しています。

妊産婦ケアプログラム:
 世界的にも最も悪い水準にある、アフガニスタンの女性の出産時死亡率を減らすため、ユニセフはアフガニスタン全州(32州)に、緊急出産ケア施設の設置を進めています。現在はこのうち7州で施設、必要機材の調達、スタッフの研修がすべて完了しており、25州において施設の完成を迎えています。ユニセフは、女医、助産婦、麻酔医に対し感染予防の研修を実施する一方で、世界保健機関(WHO)やBBC放送とともに女性ラジオプロジェクトを支援し、女性ジャーナリストを養成して、妊産婦サービスの理解や普及を進める保健教育番組を企画、制作できる技術研修が行われています。

女の子の教育の促進:
image3  2002年の成功に続き、2003年にもアフガニスタン全土の380万人以上の子どもが学校に復学し、7歳から13歳までの女の子も就学率も30%(2002年)から37%(2003年)に上昇しました。ユニセフはアフガニスタンの女の子の教育状況をさらに改善させるための2年間の包括プログラムを開始しましたが、この活動への資金を早急に必要としています。この包括プログラムでは、学校に通えない女の子を支援し、さらに50万人が新たに学校に通えることが目指されています。またこれまで400万の学齢期の子どもに、2003年の学習に必要な990万冊の教科書と学用品を提供しました。

学校の修復と建設:
 平和が戻り多くの避難民が帰還したマザル、ジャララバード、カンダハールといった地域を中心に、173,000人の子どもが通う200校が校舎の修復または建設を必要としています。ユニセフは国連プロジェクトサービス機関(UNOPS)と協力し、現在までそのうち9校を完全に修復し、51校での修復作業を進めています。しかし、修繕費の値上がりと資金不足のため、最初に計画された200校の目標を引き下げざるをえない状況にあります。

地雷注意喚起教育(MRE):
 地雷や不発弾による子どもの被害を防ぐため、ユニセフは注意喚起教育の活動を続けています。25,000人の教師に対し地雷注意喚起教育の研修が行われ、20万枚の子ども向けポスターを学校やコミュニティーに配布しました。またBBCラジオ局を支援し、12、3分の地雷注意喚起教育ラジオドラマが制作され、国内全土のローカル局に提供されることになっています。地雷注意喚起教育は、国内避難民キャンプや難民帰還者向け支援施設にいる男性、女性および子どもたちにも行われています。

子ども兵士の武装解除と社会復帰への支援:
image4  ユニセフは子どもの兵士の実態調査を終え、アフガニスタンのパートナーのプロジェクトと共に、子ども武装解除・社会復帰支援プロジェクトを進めています。ユニセフは、地雷注意喚起教育をコミュニティーが自立して行えるようアフガニスタン子ども基金(CFA)を支援し、タハール、バダフシャーン、クンドゥズの地域で活動しています。 アフガニスタン子ども基金の活動により、90のコミュニティーで学校に通うことのできない2,500人の子どもはコミュニティーセンターで教育を、3000人の青少年が職業訓練を受けることができました。しかし、ユニセフは2003年、2004年の活動資金、250万ドルの不足に直面しており、最も重要な活動の継続が懸念されています。

安全な水の提供:
 安全な水の提供と衛生教育の普及は、アフガニスタンの子どもの健康のために不可欠な支援の一つです。今後の支援が確約されないと、子どもたちの健康が脅かされる可能性があります。
 ユニセフは、2003年に最も危険な村に577個、国内避難民キャンプに1006個のトイレ を提供しました。3つの国レベルのワークショップ、76人のトレーナーに対し健康・ 衛生教育の研修が行われ、州・地域・学校レベルで多くの教師が研修を受けました。 またコレラ、下痢性疾患など汚れた水を原因とする病気を防ぐため、ユニセフは保健省とともに17,500の浅井戸の塩素処理キャンペーンを進めています。
 安全な水の供給設備はすでに400の学校に設置され、今後1,593校への設置を進めるべくこの2ヶ月間に153の契約を進めています。しかし、ユニセフがめざすアフガニスタン全校への給水設備設置のためにはまだ1559校が残っており、そのための資金確保が必要となっています。

 日本ユニセフ協会では、アフガニスタンにおけるユニセフの緊急・復興支援を支えるアフガン募金の受付を行っています。皆様のご協力をお願い致します。