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スマトラ沖地震緊急募金 第5報
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© UNICEF/Antara - Arif Pribadi |
インドネシア西スマトラ州アガム郡は先週の大地震の後、立て続けに3度の災害に見舞われました。
9月30日、最初にマグニチュード7.6の地震を受け、マニンジャウ湖を囲む山々に位置する小さな村落のほとんどの家が崩壊しました。大地震は2次災害を引き起こし、石灰岩でできた岩壁が陥没し、更にその後、数日降り続いた激しい雨が引き金となって土砂崩れが起き、残されていたものも泥の洪水によって飲み込まれてしまいました。
約2000人もの人が近隣の町のマーケットや、鮮やかな彫刻と鋭い水牛の角の形をした屋根で飾られた伝統的な西スマトラ共同住宅に避難することを余儀なくされました。多くの男性は家を守るために村に残りましたが、大きな岩や1.5メートルもの高さの泥の山が道を塞いだため、その村への交通手段はバイクに限られています。
現在、ユニセフが西スマトラ州に緊急支援として送った40,000の衛生用品キットのうちのいくつかを地震影響を受けた人々が受け取りました。この支援物資には、石鹸、洗剤、歯ブラシ、歯磨き粉、タオル、バケツ、そして病気を予防するために必要なもの全て入っています。
バケツが大切な結婚祝いのプレゼントとなるとき
© UNICEF Indonesia/2009/Josh Estey |
52歳のマルニ・マジッドは地震の3日後、20歳の娘ミルナさんが共同住宅の中で結婚式を挙げるのを見守りました。せっかくの結婚式でしたが、村に残った父の姿はなく、ジャスミン茶に入れる砂糖もありませんでした。
「バケツに入った石鹸と洗剤が家族にとって豪華な結婚祝いのプレゼントのようです。私たちはこれらの品々がとても必要ですから。」と彼女は言いました。
衛生施設の不足による感染病の流行が危惧されています。ユニセフは国際移住機関(IOM)と協力し、アガム郡周辺に衛生用品キットを配布することに努めています。
現在、援助物資の不足はありませんが、道路やコミュニケーションシステムが崩壊、もしくはひどい状態にある地域に届けることが特に困難な状況です。今後も続くと予測される悪天候はさらに支援を届けることを困難にし、また土砂崩れを引き起こす可能性も高いとされています。
1930年に建てられたマーケットでは、どこで体を洗うかについて女性たちが話し合っていました。現在は100㎞2の火山によってできた池を水源として利用しています。そこで、彼女たちは容易に水が保管できる簡易貯水袋と水の浄化剤を求めています。道路の状況が良くなり次第、これら物資はユニセフにより西スマトラ州に届けられる予定です。
被災地の中心へ緊急支援
現在までに、政府の水道局とパダン州の中心地にある病院に24個の簡易貯水袋が配られ、約3,000の衛生用品キットと給水タンクが州の公共事業省に渡されました。今のところ感染症拡大についての報告はなく、安全な水を確保するための緊急支援の有効性を示しています。
ユニセフは、かつて孤立した村々の住民に対して、いかにして衛生習慣を向上させるかということを周知させるためのリーフレットやポスターも作成しています。これらには、飲み水を煮沸することや手洗いの重要性を訴えるメッセージが含まれています。こういったシンプルな習慣こそが、今回インドネシアを襲ったような災害の後において、人々の命を救うことになるのです。
「こうした小さな改善は、救援活動下においても、基礎サービスが優先付けされていることを被災者に示しているだけでなく、彼らを、潜在的な汚れた水が原因の感染症から守ることにもなります。」と、今回のパダンを拠点とした緊急支援活動を実施しているユニセフの水衛生担当官のクレア・クイレットは言います。
マルニ・マジッドさんは、結婚祝いのギフトとしてプラスチックのバケツを期待していなかったかもしれません。しかし、それらの支援によって、地震直後の状況で、病気にならずに、死を避けることができたのは、結果的に彼女の結婚生活の最善のスタートだったのかもしれません。