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財団法人日本ユニセフ協会





アフガニスタン緊急・復興支援 第14報
難民の間に広まった「新しい学校」の噂

【2010年11月16日 アフガニスタン発】

アフガニスタン東部の埃っぽい高原地帯に位置する小さなナダク・ビラク村には、数年前まで安全な飲み水へのアクセスがなく、基本的な社会インフラもほとんどありませんでした。パキスタンから帰還した28世帯の難民の家族は、政府が用意した泥壁の家以外何もないこの場所で暮らしていました。

しかし今、ジャララバードから数キロほどのところにあるこの小さな集落の人々は、新しい変化の兆しを目の当たりにしています。

「ここに来た時は何もありませんでした。清潔な水も学校もなかったんです。」コミュニティのリーダーのひとり、ハッジ・アブダル・ガファルさんはこう話します。ガファルさんは、まず初めに、地方教育局を訪れて、コミュニティに学校を設置するよう訴えました。

「子どもたちが教育を受けられるようにすることは、コミュニティリーダーとしての責務であると感じていました。私たちの世代は、十分な教育を受けられませんでした。同じことを子どもたちにはさせたくありません。」(ガファルさん)

正式な学校
© UNICEF Afghanistan/2007/Tuladhar
アフガニスタン東部ナンダルハル州スルクロードの開校式典で挨拶する、ユニセフ・アフガニスタン事務所のピーター・クローリー代表。

ユニセフは、日本政府の支援を受け、2007年、スルクロード地区で初めてコミュニティが管理・運営するナダク・ビラク学校を開校しました。地元当局とユニセフ・アフガニスタン事務所のピーター・クローリー代表が、開校式典で祝辞を述べました。この学校が建てられる前、村の子どもたちは、屋外で勉強していました。

村人たちは、教員に給与を払うために、わずかなお金を持ち寄ってこの青空学校を始めました。新しく建てられた校舎には、トイレと手洗い場、8つの教室、4つの事務室が設置されています。さらに、正式な学校としての地位も得ました。

ナダク・ビラク学校は、約8万6,000ドルと比較的安価な金額で建てられました。ユニセフのクローリー代表は、この学校での女の子の入学者数の多さに感銘を受けたが、この数がもっと増えることを望んでいると話します。「次の私の願いは、村の全ての女の子と男の子が学校に通うことです。」

難民の帰還を促した「学校」の噂
© UNICEF Afghanistan/2010/Ayari
アフガニスタン東部のコミュニティが運営する学校で披露される、パルワズ劇場の「子どもの権利」をテーマにした人形劇。

このコミュニティが運営する学校の設置は、この地域で大きな反響を呼びました。この学校の存在が、隣国パキスタンの難民のコミュニティに知れ渡り、アフガニスタンへの帰還を促す結果となりました。開校当初、学校に通っている子どもたちの数はわずか30名でしたが、現在は、124名の女の子と126名の男の子が在籍しています。

「建物の完成は、学校づくりのはじめの一歩に過ぎません。私たち学校管理委員会は、子どもたちのための安全な学習スペースや質の高い教育を確保するための学校環境の整備をさらに進めていく予定です。」(ガファルさん)

開校式典では、祝辞の後、子どもたちが楽しみにしていた「子どもの権利条約」をテーマにした人形劇が披露されました。ユニセフは、アフガニスタン・パルワズ人形劇場と協働で、子どもの権利についてのメッセージを広めると共に、この開校の日を子どもたちの記憶に残るものにしようと、30分の劇を上演しました。

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今回大洪水の被害を受けた地域は、内戦などによって多くの人々が避難生活などを強いられていた地域でした。(財)日本ユニセフ協会では、緊急募金を受け付けております。みなさまのご協力をお願いいたします。