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財団法人日本ユニセフ協会





アフガニスタン緊急・復興支援 第15報
ユニセフの公平性政策を具体化する‘1000の教室プロジェクト’

【2010年12月17日 アフガニスタン発】

© UNICEF Afghanistan/2010
モハメド・ムッサ・シャフィク高校の開校式で、寸劇を披露する生徒。

アフガニスタンの首都カブールで、新しい高校の開校式が行われました。参加した生徒たちは、女の子も男の子も皆、興奮した様子でした。この学校は、ユニセフと日本政府の支援で進められている、首都カブールと周辺の地域の学校58校に総数1000室を超える新しい教室を設置する‘1000の教室プロジェクト’の一環で建設されました。

カブール東部に新たに建てられたこのモハメド・ムッサ・シャフィク高校は、アフガニスタンの最初の王であり建国の父と呼ばれるアフマド・シャー・デュラニにちなんで名づけられた町の郊外に設置されました。この首都郊外の町は、近年の都市部の急激な人口増加の影響を受け、開発が進んでいる地域です。

学習スペースの不足が深刻な問題になっているカブールの現状に対処するべく始まった‘1000の教室プロジェクト’は、女子教育に重点を置いて進められています。プロジェクトが完了すれば、学校に通っている子どもたちは、安全で、健康的で、衛生的な学習環境を手に入れることができます。また、3,000人以上の教員が、子どもを中心に置いた参加型の教育手法の研修を受けることになっています。

勉強できる時間
© UNICEF Afghanistan/2010
教育省のファロオク・ワルダク博士とモハメド・ムッサ・シャフィク高校の生徒たち。

女子の体育教員のナジア・ヤスフィさんは、ムッサ・シャフィク高校の広い中庭に体育館ができるのを楽しみにしています。

「50人の子どもに今あるのはボールがたった一つだけ。これでは、スポーツなどできません。」「もっとスポーツ施設があれば、もっとしっかり教えられますし、子どもたちも上達して試合にも参加できると思います。」ヤスフィさんはこう語ります。

この校舎が完成する前、子どもたちは、テントの仮設学校で、3交代で授業を受けていました。「1つのグループが勉強できるのは、一日に3時間半でした。」 「新しい校舎ができたので、もっと勉強するようになると思います。」 バスケットボールチームのキャプテンを務める生徒の一人、マイハン・ソイさんは、こう話してくれました。

学校を訪問した教育省のファロオク・ワルダク博士は、自分が子どもだった時を思い出し、(新たな校舎に)感銘を受けたと話します。「私が小学生のときは、こんなに素晴らしい教室も、こんなにきれいな机も椅子もありませんでした。」「時には木の下で、時にはテントの中で授業を受けていたんですよ。」

不公平性の解消
© UNICEF Afghanistan/2010
モハメド・ムッサ・シャフィク高校の開校式に出席する、廣木重之 駐アフガニスタン大使、教育省のファロオク・ワルダク博士、ユニセフ・アフガニスタン事務所のピーター・クローリー代表(写真右から)。

開校式には、ワルダク博士とともに、日本政府の廣木重之駐アフガニスタン大使、ユニセフ・アフガニスタン事務所のピーター・クローリー代表も参加しました。

クローリー代表は、「このプロジェクトは、ユニセフが提唱する‘子どもに優しい学校アプローチ’に基づいて実施され、授業の質を高めると共に、スポーツ施設も整えるという教室内外の改善を目的としています。ですから、子どもたちは持っている可能性を最大限発揮できる環境で勉強することができるのです」と、述べました。

廣木重之大使は、アフガニスタンの公用語のダリ語で次のように挨拶しました。「アフガニスタンの将来は、教育への投資にかかっています。教育施設と質の高い教育を提供することは、国の発展と成長にとって非常に重要なものです。」

ユニセフは、アフガニスタンでの支援活動において、女の子と最も困難な立場にある子どもたち、そして少数民族の子どもたちに存在する教育の機会や内容などにおける不公平性を低減することに重点を置いています。この‘1000の教室プロジェクト’は、ユニセフの公平性に焦点をあてたアプローチのひとつです。

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今回大洪水の被害を受けた地域は、内戦などによって多くの人々が避難生活などを強いられていた地域でした。(財)日本ユニセフ協会では、緊急募金を受け付けております。みなさまのご協力をお願いいたします。