UNICEF アンゴラ緊急・復興支援情報
概略
1975年の独立以来27年間に及んだ内戦がようやく終結したアンゴラでは、故郷に帰還を始める難民と国内避難民が急増し、その数は2002年末までに90万人に達しています。長年にわたる紛争の影響で保健、教育などの社会サービスが崩壊する中、生活手段をもたない帰還者の多くが緊急の人道援助を必要としています。特に状況が深刻なのは紛争の被害が大きい8県29地区の21万4500人で、さらに交通アクセスが悪く支援の手の届きにくい地域にも20万人が住んでいます。
雨季による道路事情の悪化と難民・避難民の大移動により、栄養補助食、医薬品などの援助物資の配布が困難な状況に陥っているため、アンゴラの5歳未満児の45%が深刻な栄養不良に苦しんでいます。また、帰還者の居住地の半数以上が地雷によって汚染されており、援助活動の迅速な実施や今後の帰還の動きに大きな影響を与えています。
ユニセフの活動
ユニセフはアンゴラの子どもの栄養不良改善とはしかの予防、教育や安全な飲み水の提供を促進するため、2003年の緊急援助資金2250万ドル(約27億円)に対する支援を国際社会に要請しています。
●予防接種
紛争の影響により、アンゴラの5歳未満児の予防接種率は70%程度に留まっています。ユニセフは保健省と協力してワクチンの調達と配布を進めており、2002年には3種混合ワクチン150万回接種分、はしかワクチン1000万回接種分、経口ポリオワクチン2200万回接種分、黄熱病ワクチン50万回接種分を提供しました。2003年4月にはアンゴラで初めての実施となる全国規模での予防接種一斉キャンペーンが予定され、生後9ヶ月から15歳までの子ども700万人が予防接種を受けることになっています。
●マラリアと基礎医薬品
アンゴラでは子どもの死因として最も多いのがマラリアで、雨季の始まりとともにマラリア流行の懸念が高まっています。このためユニセフは、23万6000枚以上の蚊帳の調達と配布を進めており、うち4万2000枚を妊婦や栄養不良児など抵抗力の弱い子どもを中心に配布しました。
●栄養
昨春に比べて食料事情はやや改善しつつあるものの、依然10%の人々が日々の食糧を国際的な援助に頼っています。ユニセフは栄養状態のモニタリングを随時行うとともに、栄養補助食380トンを調達し、栄養不良の進行している子ども6万人を対象に配布を進めています。
●水と衛生
紛争の被害の大きな地域では給水システムの多くが損害を被ったため、ユニセフは給水システムの新設と修復を進めています。2002年11月の時点で11箇所で作業が完了し、8万8700人が安全な飲み水を確保できるようになりました。また、アンゴラで最も人口が集中しているルアンダ市で2500箇所にトイレを設置し、コレラなど汚れた水を原因とする病気の予防に努めています。
●教育
ユニセフは紛争の影響が大きいビエ県において、バック・トゥ・スクール(学校へ戻ろう)キャンペーンを実施するための準備を進めています。対象は現在学校に通っていない子ども14万人と学校に通っているものの生活が困難な状況にある子ども12万人で、ユニセフは教育環境の整備のために小学校450校の校舎の修復を行い、教員の訓練を実施するとともに、子どもたちに教材や学用品を提供しています。今後バック・トゥ・スクールキャンペーンは他地域にも拡大される予定です。
●地雷
2002年には地雷による事故が113件報告されています。ユニセフは子どもを地雷の事故から守るために、地雷で汚染されている7つの県を中心に地雷の危険を呼びかけるポスターやリーフレットの配布や、子どもを対象とした地雷事故の回避教育を進めています。
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