UNICEF エチオピア緊急情報
概略
現在エチオピアでは、干ばつの被害にあった1130万人が緊急の人道援助を必要としています。水不足や牧草の枯渇が、家畜の死を招き、住民は近隣地域への移住を余儀なくされました。このため、多くの子どもが教育を受けることが困難になり、基礎的なライフスキルを学ぶ機会や心理社会的発達、レクリエーション活動への参加の機会を奪われています。さらに、武力紛争と感染症流行の影響で、多くの人々が栄養不良の状態にあります。特に子ども、妊娠中又は授乳中の女性の栄養状態を改善するために迅速かつ大規模な支援が必要です。
成人人口の約7.3%はHIV/エイズに感染しており、エチオピアは世界で最も感染率の高い国の1つです。
ユニセフの活動
ユニセフは、政府の防災準備委員会、通信省、他の国連機関、NGOと協力して、下記の分野で人道援助支援を引き続き行っています。
●保健と栄養
ユニセフは他の国連機関やNGOとともに、栄養調査を実施している防災準備委員会を支援しています。予防接種や子どもの保健サービスは、保健員の研修や社会的ネットワークの動員、運営費補助を通じて強化を図っています。15歳以下の230万人を対象にしたはしかの予防接種及びビタミンAカプセルの投与キャンペーンは2002年12月に終了し、現在では15歳以下1620万人を対象にしたキャンペーンを実施しています。
●水と衛生
ユニセフは、6つの地域で給水設備の修理やメインテナンスの為に必要な道具や設備を供給しています。ユニセフによる緊急給水活動は約73万人を対象に行われ、深刻な水不足で被害を受けている270万人のうち27%が支援を受けています。ユニセフは、手動ポンプを操作する人及び水資源の管理をしているWASHE=水、公衆衛生、健康に関する教育委員会の研修を続け、学校や避難民キャンプでは、公衆衛生や健康に関する啓蒙活動を行っています。農村地域は安全な飲み水のアクセスがより難しく、ユニセフは安定した水の供給を確保するためにNGOや民間企業との協力を強化しています。特に乾季は、地下水位が低くなるため、深井戸の建設といった中長期的な解決策が必要です。
●教育
ユニセフは、国連世界食糧計画(WFP)と協力し、干ばつの被害にあった地域で学校給食を拡大しています。ユニセフは教員、学校管理者、教育の政策立案者、保育員を研修し、教育活動の促進に努めるとともに、学用品や学校用備品の提供、学校に通うことの出来ない子どもを対象とした一時的な学習センターの設立を進めています。また、生活技能、HIV/エイズの予防、カウンセリングサービスにも焦点を当てています。
●HIV/AIDS予防
子ども20万人を含む220万人がHIV/エイズに感染しており、これは世界でも最も高い感染率です。HIV/エイズの感染が加速している理由は、干ばつや性的暴力、生存のために性産業に従事しいているためだと考えられます。ユニセフは行動様式の変化の必要性を強調し、HIV/エイズの予防教育において指導的な役割を果たしています。また、適切な情報を得るために他のNGOとの協力関係も強化しています。
●子どもの保護
身体的、精神的に被害を受けた人々への支援は、被害者が無事に社会復帰するまで続けられます。特に、両親とはぐれてしまった子ども、子どもを失った両親を登録した上で、彼らを優先的に支援しています。基礎的サービスを供給するために「子どもに優しいスペース」が設立され、特に子どもが世帯主の家族に焦点を当てています。さらに、干ばつや紛争が原因で避難民になって人に対して、シェルターも供給しています。
●地雷事故回避教育
2000年6月にエチオピア・エリトリア紛争は停戦を迎えましたが、現在でも国境付近では残された地雷や不発弾のために未だ土地にアクセスする事が出来ないでいます。この地域は干ばつによる被害が大きく、人々は危険を冒してまで食糧や水を求めて地雷の危険地帯に入ることもあり、地雷事故はあとをたちません。ユニセフは、地雷の危険性を知らせる為にワークショップを開き、啓蒙活動を進めています。
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