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ガザ人道支援 第11報
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© UNICEF HQ/2009/El Baba |
ガザのベイトラヒヤにあるオマル・ベン・アル・カサブ学校を訪れる国連の子どもと武力紛争に関する国連事務総長特別代表のラディカ クマラスワミ氏。 |
国連の子どもと武力紛争に関する国連事務総長特別代表のラディカ クマラスワミ氏が、今週、ガザとイスラエル南部を訪れ、子どもたちの状況を視察し、国際社会に子どもたちの保護を求めました。
ガザで、クマラスワミ氏は、ユニセフスタッフと共に、ガザ地区北部とその周辺にあるコミュニティセンター、学校、病院を訪れました。クマラスワミ氏は、ガザ地区の境界閉鎖を解除し、人道支援団体がアクセスできるよう求めました。
「子どもたちは、国際社会からの応えを求めています。国際社会は、子どもたちに支援を届けなければなりません。」クマラスワミ氏は、このように述べました。
4日間の視察中、クマラスワミ氏は、ガザからロケット弾攻撃を受けたイスラエルのアシュケロン町で、この町の住民たちにも会いました。
ガザ地区の境界内外の子どもたちが、怒り、絶望し、この武力衝突について説明を求めていたと言います。
クマラスワミ氏が視察に訪れたガザ東部近くのザイトゥンにある学校では、アルマザ・ヒルミ・アル・サムニさん(13歳)が、ユニセフのパートナー団体である「民主主義と紛争解決のためのパレスチナセンター」が行っているカウンセリングを受けていました。アルマザさんは、クマラスワミ氏に、母親を亡くしたアルマザさんと同じような子どもたちと会ってほしいと話しました。
「私の家族は、私のすぐ目の前で死にました。家族を守るためにできたことは何もありませんでした。」アルマザさんは、家族のことについてこう語ってくれました。
クマラスワミ氏は、イスラエルの子どもたちもまた、いまだ恐怖を抱いて生活していると指摘し、一般市民が住んでいる地域への無差別なロケット弾攻撃を停止するよう訴えました。
© UNICEF HQ/2009/El Baba |
ガザのベイトラヒヤにあるオマル・ベン・アル・カサブ学校の授業を受ける子ども。160校以上の学校がこの武力紛争の影響を受け、約54万人の子どもたちが一ヵ月以上学校に通うことができなかった。 |
また、クマラスワミ氏は、ガザのベイトラヒヤにあるオマル・ベン・アル・カサブ学校も視察しました。この学校では、最近の武力衝突で深刻な被害を受けた近隣の学校から、400人の生徒を受け入れているため、現在、2回の交代制を組んで授業を行っています
ガザ全土の160以上の学校が、この武力衝突により損壊しました。国連パレスチナ難民救済事業機関は、学校が武力衝突により休校となってから一ヶ月たった1月24日に、学校が再開されたと報告しました。
「子どもたちが心の傷から回復するには、学校を再建し、子どもたちが安心して教室に戻れるようにすることが何よりも重要です」とクマラスワミ氏。「教育は、基本的な権利であり、緊急時にも欠かせてはいけないニーズであり、開発に必須なものです。いかなる緊急支援活動においても、教育は、優先課題としなければなりません。」
ユニセフは、ガザの6地域全ての子どもたちのために、スクール・イン・ア・ボックス、ペン、鉛筆、ノート、レクリエーション・キット、算数と科学キットを含む必須教育資材を提供しています。
最近の武力衝突が起きる以前から、ガザの子どもたちは、何年にもわたる紛争、封鎖、十分な社会サービスの欠如、貧困に苦しんできました。コミュニティの対処能力は既に、この武力紛争の前から蝕まれていたのです。子どもたちが健康に育つには、基本的なニーズへのアクセス、安心感の醸成、安全な環境が必要不可欠です。
「ユニセフは、ガザに、人道支援物資と人道支援活動スタッフが、定期的に、十分に、そして容易にアクセスできるよう求めています。」クマラスワミ氏の視察に同行したユニセフ・パレスチナ自治区事務所のパトリシア・マックフィリップス特別代表は話しました。
国連の子どもと武力紛争に関する国連事務総長特別代表は、国連総会の委任により、武力紛争下の子どもたちのため、(どこかの機関に所属するのではなく)独立した形でアドボケート(唱導)する役割を担っています。ユニセフは、武力紛争下の子どもたちの権利の深刻な侵害を監視し、報告している国際協調グループの中心メンバーです。