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インドネシアのアチェ州に、子どもたちが遊び、学ぶための恒久的な施設がオープンしました。2004年12月のスマトラ沖地震・津波の被害に遭った子どもたちのための施設です。 「これはいわば一里塚のようなもの」と語るのはユニセフのバンダアチェ事務所の『子どもの保護』担当官のロベルト・ベネスです。「これからはコミュニティ参加をより多く必要とする長期的な解決に向けて歩み出す必要があります」 津波の被害を受けてから数日のうちに、ユニセフとそのパートナー機関は、『子どもに優しい空間』を避難キャンプ等に設置し、子どもたちが遊び、平常心を取り戻すことができる空間を作ってきました。キャンプに設置されたテントの中では、子どもたちの出身地や名前などの情報を登録し、ソーシャルワーカーやボランティアが見守る中で、子どもたちが「安全」に過ごせるよう支援してきたのです。こうした臨時のセンターの恩恵を受けたアチェの子どもの数は17,000人に上ります。 もっと多くの子どもセンターを
今日オープンした施設は、テントではなく、がっしりしたコンクリート造り。キャンバス地ではありません。バンダアチェの西に位置する小さな漁村ラブイにできたこの子どもセンターには、50人から100人の子どもがやってきます。 センターには、5つの部屋があり、そのうち4つの小部屋は会議や事務、個別セラピー、図書館に使われます。残りの一番大きな部屋(108平方メートル)は遊び場。ここで、子どもたちは踊ったり、絵を描いたり、宗教を学んだり、数字を使ったゲームをしたり、心の傷から回復する心理療法のための活動に参加することができます。 ユニセフは、こうした常設子どもセンターを今年中にあと8つは造る計画でいます。「いくつ造るかはまだ決まっていません。設置場所を決定するまでに考慮しなければならない事柄がいくつもあるからです」と『子どもの保護』担当官のズベディ・コテング。「津波の被害を受けてから1年以上がたっていますが、人々は家やより良い仕事を求めて動き回っていて、多くのコミュニティがまだ落ち着いた状態に戻っていないのです」と言います。 コミュニティを巻き込むを
どこに子どもセンターが必要とされているかを見極める一方で、ユニセフは、どのコミュニティにセンターを持続的に運営するだけの能力があるかどうかを検討します。地元のパートナー機関やインドネシア政府は、電気代や水道代などの維持費の支援を約束していますが、2007年からは、コミュニティ自身が子どもセンターの運営を担っていくことが期待されています。 「コミュニティに当事者意識を持ってもらいたいし、そうした気持ちを作りあげたいと思っています」とコテング。「コミュニティは、これが自分たちのセンターであり、自分たちの子どものためのもの、運営も自分たちの責任だと感じてほしいのです」。この施設を引き継ぐ前に、このプログラムのこれからの成長と発展のために、子どもセンターのスタッフは資金調達の方法についての研修を受けています。 ユニセフとそのパートナー機関は、子どもセンターをどうやったらもっといい施設にできるか、コミュニティの子どもとおとなたちから意見を求めるようにしています。センターを監視する役割を担うために選ばれたボランティアは、コミュニティ同士のネットワークを作り、保護者や教師、そのほかの人たちから成る支援グループを作ることが求められています。その結果、より多くの地元メンバーが参加しセンターを支える力となっています。「これこそ私たちが目指していることなのです」とコテングは言います。 なお、スマトラ沖地震・津波被災地に対するユニセフ復興募金は、2005年6月24日をもって受付を終了いたしました。本募金に対しては、半年間にわたって日本全国から多くのご支援をいただき、募金額はおよそ33億4千万円にのぼりました。皆様のご支援ありがとうございます。 当協会では、紛争や災害など緊急事態に直面している地域の子どもや女性のための緊急募金の受付を行っております。みなさまの継続的なご支援をどうぞよろしくお願いいたします。 |