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財団法人日本ユニセフ協会



 

震災後のニアス島での学校建設

【2007年2月7日、インドネシア・ニアス島】

© UNICEF Indonesia/2007

ニアス島のグヌング・シトリ郊外にあるダハナ・フマネ小学校の準耐久性校舎で学ぶ5年生の生徒たち。

ニアス島のグヌング・シトリ郊外にあるダハナ・フマネ小学校では、ユニセフが支援した準耐久性校舎で、5年生に在籍する18人の生徒が、朝の宗教の授業を受けています。

「親や年配の方を敬う気持ちを忘れてはいけません。」と生徒に語りかけるのは、校長のイブ・ラロサさんです。今日は、本来このクラスを担当している教師が不在のために、急遽代役をかってでました。授業には、ところどころに手拍子や賛美歌が織り交ぜられています。

緑生い茂るニアス島は、バンダアチェの南西350キロに位置しており、島民のほとんどがキリスト教を信仰しています。ニアス島は、2004年に発生した津波の被害はほとんど受けませんでしたが、津波発生から3ヵ月後、この島をマグニチュード8.7の大地震が襲ったのです。

「テントで勉強するよりもずっと快適」

数ヶ月前まで、ダハナ・フマネ小学校の134人の生徒たちは緊急支援として提供された学校用テントで勉強していました。2006年の10月になって、ユニセフと実施パートナーである国際移住機関(IOM)によって、準耐久性校舎の建設が完了し、新しい常設耐久性校舎が完成するまでの間ここで授業が行われることになりました。

テントでの授業が始まってから1年半経って、生徒たちはついに準耐久性校舎に移りました。

この校舎の隣は、常設耐久性校舎の建設予定地になっており、フェンスで囲まれた中に建設資材が運び込まれています。しかし、生徒たちは当面ひとつの細長い準耐久性校舎を区切って設置された、6つの教室で授業を受けています。

「ここでは、テントよりもずっと快適に勉強できます。テントでは、テント内にいる人みんなの声が聞こえてきて、集中できないのです。」と話すのは、6年生のアグスマワティです。

辺境地での学校建設

© UNICEF Indonesia/2007

ダハナ・フマネ小学校の生徒たちは、当面、ひとつの細長い準耐久性校舎を6つに仕切って設置された教室で、1年生から6年生までの6教室に分かれて勉強することになります。

2005年3月28日深夜に地震が発生したとき、児童の多くは眠っていました。大半の児童が、津波を警戒し親に連れられて近くの山に避難しました。次の日、山から下りてみると、そこにあったはずの学校は消えていたのです。

この地震によって、800人が命を落とし、5,000人が負傷したほか、ただでさえ不充分な状態であった島の道路や公共設備の約90%が全半壊する被害を受けました。

現在までに、ユニセフは40以上の準耐久性小学校舎を建設し、20ヶ所で常設耐久性校舎の建設に取りかかりました。これに加えて、辺境地の40ヶ所で常設耐久校舎の建設が予定されています。建設予定地はすべて起伏の多い高地の丘陵地帯で、整備された道路から8km離れているところもあります。

ユニセフの建設チームは、現在、高地にある建設現場に250〜350トンの建設資材を輸送する方法を徹底的に議論しているところです。

「選択肢は、人の手で運ぶか、状態の悪い道にも耐えられる小型自動車に乗せて運ぶか、もしくはヘリコプターでジャングルを越えて空輸するかの3つです。」アチェとニアス島のユニセフ建設チームのリーダー、ジョン・タウンセンド氏は言います。1月中旬、タウンセンド氏は、建設作業を行ううえでの課題を把握するために、自ら建設チームを率いて、ニアス島にあるユニセフの事務所から山間の辺境地にある建設現場に出向きました。

学校建設は震災後の復興支援活動の中心的プロジェクト

地震に弱いこの島に耐震性の高い校舎を建設するにあたっては、ジャングルのぬかるんだあぜ道を通って、鉄鋼やコンクリートを運ばないといけないということのほかにも多くの制約があります。

タウゼント氏によれば、地元の建設会社の能力不足、不充分な建設資材、熟練労働力の不足、悪天候などの制約もあり、十分な耐震性を確保するために設定された高い建築基準を満たすのは容易なことではありません。

しかし、このような制約があるにもかかわらず、常設耐久性校舎の建設は、ユニセフが2007年にニアス島で8,600万米ドルをかけて実施する予定の復興支援活動の中心となるプロジェクトです。建設の予定されている常設耐久性校舎の大半は、地震によって損壊した既存の校舎の替わりに建設されるものですが、これまで小学校が存在しなかった地域でも新規にこのような校舎の建設が予定されています。


なお、スマトラ沖地震・津波被災地に対するユニセフ復興募金は、2005年6月24日をもって受付を終了いたしました。本募金に対しては、半年間にわたって日本全国から多くのご支援をいただき、募金額はおよそ33億4千万円にのぼりました。皆様のご支援ありがとうございます。

当協会では、紛争や災害など緊急事態に直面している地域の子どもや女性のための緊急募金の受付を行っております。みなさまの継続的なご支援をどうぞよろしくお願いいたします。