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財団法人日本ユニセフ協会
 



シリア緊急募金 第9報
苦難の後に待っていた新たな苦難

【2012年8月9日 シリア発】

© UNICEF/JORDAN/Brooks

シリアの首都ダマスカス及び周辺地域の情勢は、依然として危険で、トルコとの国境に近い北部の都市アレッポでの戦闘が続いています。国連の推計によると、この危機により、シリアでは約200万人が影響を受け、そのうち100万人が国内避難民となっています。加えて、これまでに約15万人以上が戦闘による暴力行為を逃れて、ヨルダン、レバノン、トルコ、イラクの周辺国で人道支援を受け、難民として登録されています(UNHCR(国連難民高等弁務官事務所)、 2012年8月発表)。

避難しているシリア人の約半分は、子どもと若者であると推定され、これらの子どもたちは、依然として、学校へ通えず、基本的な社会サービスへのアクセスも限られています。暴力行為と自らの居住地を追われることに直面し、心理社会的苦難にさらされてます。

シリアの国内外で支援を必要としている人の数
※地図は参考のために掲載したもので、国境の法的地位については何らかの立場を示すものではありません。
シリアで支援を必要としている人の推定値 (出所: OCHA国連人道問題調整事務所, 2012年8月)
周辺地域で支援を受けているシリア人の数 (出所: UNHCR国連難民高等弁務官事務所, 2012年8月)

ユニセフとパートナーは、ダマスカスの農村部のハラスタ地区で、国内避難民への人道支援を行っています。8月の最初の1週間だけで、新たに6000人(約1000世帯)を支援しました。このなかには、5歳未満の子ども1500人と2歳未満の子ども500人も含まれます。ユニセフは、衛生キット1000組、子ども1000人分の食料、赤ちゃん500人分の衛生キット、ストーブ100台と4つのレクレーションキットの支援をしました。

© UNICEF/JORDAN/Brooks
ユニセフの支援した学校用かばんをもつ女の子。

アレッポとハマの国内避難民への支援は、継続中で、シリア赤新月社(SARC)とともに行っています。シリア赤新月社はシリア当局と支援物資の輸送について交渉に当たり、現在、アレッポ行きのトラック15台が、移動のためのセキュリティーの認可を待っている状況です。

その一方で、一部の地域では治安の相対的な改善に伴って、ダマスカスやダマスカス農村部へ戻る国内避難民がいるとの報告もあがってきています。

子どもの保護:
© UNICEF/JORDAN/Brooks

ユニセフは、国内避難民が退避している場所(学校やモスク、公共施設)においては、「子どもにやさしい空間」と移動型の心理社会的支援チームを提供しています。ダマスカスとダマスカスの農村地域においては、5000人以上の子どもたちがこうした支援を受けることになります。アレッポとアレッポの農村地域では、約1000人の子どもたちに、ユニセフが支援をしている22の移動型チームが社会心理的サポートを行いました。

また、ユニセフは現地のNGO向けのワークショップを行っています。それにより、現地のNGOが社会心理サポートをできるようになり、支援を受けられる子どもたちの数を最大化できます。

教育:
© UNICEF/JORDAN/Brooks
ユニセフが支援している子どもに優しい空間で遊ぶ子ども。

教育省とともに、ユニセフが支援をしている103の学校のクラブは、補修授業、レクレーション活動、心理社会的支援を、ダマスカスの農村などで、17,700人以上の子どもたちに行っています。しかしながら、103のクラブのうち、9のクラブでは、治安情勢の悪化により、先週は活動ができませんでした。

その一方で、デンマークのNGOとの新たな協定が結ばれ、ダマスカス農村部で新に8つの学校のクラブ、デラで2つのクラブが設けられることが決まりました。約5,000人の子どもたちを対象としており、そのうち、少なくとも2,000人の子どもたちは直接的な恩恵を受けることになります。

水と衛生:
© UNICEF/JORDAN/Brooks

ユにセフはパートナーとともに、ダマスカスで最も影響を受けている地域にある避難民の避難場所10箇所に、毎日清潔で安全な飲料水を運搬しています。対象となるのは、特に地元の給水設備では十分な量または質の水を提供できない場所です。

保健と栄養:

ユニセフは、ダマスカスのハラスタから2,000人の子どもたちに食品パッケージを配布しました。保健省の移動型予防接種チームは、ダマスカスとダマスカスの農村部の子どもたちの避難場所を訪問し始め、避難中の子どもたちが必要な予防接種を受けているかを確認しています。