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財団法人日本ユニセフ協会
 



シリア緊急募金 第10報
苦難の後に待っていた新たな苦難

【2012年8月17日 ヨルダン発】

© UNICEF VIDEO
7000人を越えるシリアからの避難民が、ヨルダン北部に広がる砂漠に設置されたザータリ難民キャンプでの生活を強いられている。大部分は、女性と子どもたち。

シリアからヨルダンに逃れる難民の数が増加しています。17日現在、ヨルダン北部マフラクに設置されたザータリ避難キャンプでテント生活を送っている人の数は、7,000人以上。木陰もなく、砂嵐や猛烈な暑さに、人々は疲弊しています。

夫と二人の子どもとともに、ダルアーからやってきたウム・カラムさん(24歳)。厳しい避難の旅の後、ここ、ザータリ避難キャンプでも、厳しい状況に直面しています。

「息子は喘息なんです。ここで私たちがどんな生活を送っているのか見てください。シリアの私たちの家は壊されてしまいました。少しでも良い状況を、良い生活を求めてここにきたのです。でも、このゴミや砂ぼこりを見てください」 ウムさんはこう話します。

困難を克服するために

ユニセフは、パートナー団体と共に、ザータリ避難キャンプに暮らす全ての人々に、適切な水と衛生環境を提供すべく、支援活動を拡大。トイレやシャワー室、洗面台、移動式の洗濯場の設置を進めています。飲料水は毎日トラックで運び込まれていますが、この他に、新しい井戸の掘削の準備も進められています。

ヨルダン政府の水資源灌漑省のモハメド・アル・ナジャー大臣は、次のように話します。「概して、水が最優先の課題です。(安全な水は)特に子どもの健康状態にかかわりますから。(このため)当省は、(この場所に)井戸の掘削を許可しました。また、ユニセフが子どもたちの支援を実施できるよう、特にこのキャンプには、(トラックによる)水の供給も実施しています」

子どもたちが遊べるものがほとんど無い砂漠に囲まれたこの場所では、ユニセフがパートナー団体と共に設置した“子どもに優しい空間”や遊び場が、子どもたちが心を休めることができる場所です。子どもたちは、“子どもに優しい空間”で行われる毎朝の活動を楽しみにしています。友人とお話したり、歌ったり、遊んだり、絵を描いたり、また必要に応じて専門家による心理社会的な支援も受けているのです。

ささやかな楽しみ

ロウバちゃん(10歳)一家は、住んでいたダルアーの町が爆撃を受け続けたために、町からの避難を余儀なくされ、3時間歩いて国境を越えました。そんな大変な状況を耐え忍んできたロウバちゃんの今のささやかな楽しみは、ザータリ難民キャンプの“子どもに優しい空間”で遊ぶことです。

「このキャンプの砂埃は嫌い。でも、遊べる場所があるのがいいわ」「(“子どもに優しい空間”で過ごす時間は)楽しいよ。シリアにいる友達やいとこに会えなくてさびしいけど」(ロウバちゃん)

ヨルダンに逃れるシリアの人々の数は増え続けています。(安全な水や衛生環境など、人が生きるために必要な)基本的なニーズを満たし、難民の方々の苦しみを少しでも和らげるための支援の拡大が求められています。