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中央アフリカ共和国 「忘れられた国と子どもたち」に迫る新たな人道危機【2月2日 ジュネーブ/ダカール発】
その名が示すとおり、アフリカ大陸のほぼ中央に位置する内陸の国、中央アフリカ共和国。「アフリカで一番忘れられた国」と称されるこの国で、長年続いてきた内戦が再び全土に拡大する兆候を見せています。地方の農村部では、人々が家を捨て、安全な場所を求めて避難を始めています(政府発表では、既に20万人が避難)。農作物の収穫量にも大きな影響が出始め、食糧不足も懸念され始めました。 こうした「新たな人道危機」の脅威に晒されているのは、約100万人。実に中央アフリカ共和国の4人に1人にあたります。また、その半数以上、60万人あまりが5歳未満の子どもたちです。 略奪、誘拐、子どもの兵士、性的暴行、殺人、強盗、そして武力衝突。この国の特に地方の町や農村部は、長年にわたり特に子どもや女性に対する暴力や人権侵害行為に悩まされています。
マヒンボ・ンドエ代表をはじめとするユニセフの中央アフリカ共和国事務所のスタッフは、今週、こうした地域の一つ、パオウアを訪問。武装勢力に襲われた農村部を視察しました。 「まだ『焼き討ち』の煙が焼け残った柱から立ち上る家の中に入ってみました。村人たちは、村はずれの森の中に逃げ込んだのですが、とても怖がっていて森から出てこようとはせず、誰一人会ってくれませんでした。彼らは着の身着のままの状態で、まだ何らの支援も受けていません。また、トラウマからも一日も早く解放してあげなくては。」ンドエ代表はこう語ります。 所謂「最貧国」の一つでもある中央アフリカ共和国では、人口の7割以上が、1日1ドル未満の生活を強いられています。また、様々な数字も、子どもたちが置かれている状況の深刻さを物語っています。たとえば、3人中1人が重度の栄養不良状態にあり、5人に1人は、5歳の誕生日を迎えることができません。しかも、この数字は年々悪化しています(1995年は出生1000件中157人が死亡していたが、2003年には220人に上昇した)。また、出産に関連した要因から、6分に1人の妊婦が命を落としています。 行政システムも脆弱なため、国民の大多数が「点々と」住む広大な地域の治安を確保出来ていません。司法制度も存在せず、法の執行には、軍隊に頼らざるを得ないのが現状です。
内戦が始まる前から、学校などの教育施設も不十分だったにも関わらず、今日、そうした施設もその3分の1が破壊され、機能していない状態です。また、先生方もその殆どが避難してしまいました。最近、東部のある地域を訪れた調査チームは、その地域の子どもたちが、少なくとも5年以上学校に通っていないと報告しています。 中央アフリカ共和国はまた、アフリカのこの地域(アフリカ中部・西部)中、もっともHIV感染率が高く、エイズによる孤児も14万人。HIV陽性の子どもも24,000人に上ります。また、所謂「ストリートチルドレン」も、首都バンギだけで3000人、全国で6000人以上居るとみられています。 不安定な治安や度重なる武力衝突によって、ユニセフをはじめとする国連やNGOの支援活動もしばしば中断を余儀なくされています。しかし、こうした状況の中でも、ユニセフは昨年、5歳未満の子どもの90%に予防接種を実施しました。また、フランスのNGOなどのパートナーと協力して、栄養不良児の治療やケアセンターを全国14箇所で運営するなど、様々な形で「子どもの命を守る」活動を展開しています。 先月29日、ユニセフは予防接種を中心にしたこれらの活動を継続・拡充させるため、1320万ドル(約16億円)の支援を国際社会に求めました※。 ※ユニセフは、1月29日、中央アフリカを含む、世界33の国と地域の「忘れられた緊急事態」に対し、総額6億3500万ドル(746億円余り)の支援を求めるアピールを発表しています。詳しくはこちらから |