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公益財団法人日本ユニセフ協会
 

バヌアツ:
サイクロンで食糧備蓄に壊滅的な被害
子どもたちが栄養不良に陥る危険

【2015年3月18日 バヌアツ発】

サイクロンで多くの子どもたちが自宅を失っており、食糧の備蓄も底をつきつつある。
© UNICEF PACIFIC/2015
多くの子どもたちが自宅を失っており、食糧の備蓄も底をつきつつある。

先週金曜日にバヌアツを襲った大型サイクロン・パムの影響で、食糧の備蓄量が急激に減少しています。サイクロンは家屋や学校だけでなく、何千もの島民の食生活の拠り所である農地や作物をも破壊しました。多くの子どもたちが地面に落ちた果物を拾って口にしていますが、これも長くは続きません。

栄養面に大きな懸念

現在バヌアツで支援活動を行うユニセフ緊急栄養専門官のミーガン・フォードは、状況は危機的ものへとなりつつあると語ります。「サイクロンは過ぎ去ったものの、今後バヌアツは栄養面で深刻な問題に直面する可能性があります。食糧への被害の規模は甚大で、子どもたちの健康に大きな懸念が抱かれています」

「現在、ユニセフは子どもたちや乳幼児を抱える母親たちができる限りよい環境に身を置くことができるようにするための支援を重点的に行っています。数万人が被災している状況下では、大きな課題です」(ミーガン専門官)

このような困難な状況下では、特に子どもたちや妊婦、子どもを生んだばかりの母親たちが栄養不良に陥る危険性があります。「ユニセフは幼い子どもたちを栄養不良から守るために最も重要である、母乳育児を母親たちが継続できるよう支援し、また、乳幼児への栄養支援を拡大させていきます」とミーガン専門官が語ります。

ユニセフは栄養不良の子どもや衰弱している子どもたちのために、子どもの健康を促進させるための治療食の輸送準備を進めています。加えて、現在実施しているはしかの予防接種キャンペーンとともに、ビタミンAの錠剤や寄生虫による感染症を防ぐための虫下し剤の提供も行っています。

ゼロからのスタート

サイクロンの被害にあったバヌアツのTaunono村で暮らす親子。
© UNICEF PACIFIC/2015
バヌアツのTaunono村で暮らす親子。200人が暮らすこの村は、サイクロンで壊滅的な被害を受けた。

遠く離れた島の被害状況に関する報告も入り始めています。「状況はよくありません。いくつかの村では、特に食糧や作物に関する甚大な被害が続いています。多くのコミュニティが、ゼロからのスタートとなるような状況です」と、首都ポートビラの現場で支援を続けるミーガン専門官が話しました。

「極めて難しい状況です。バヌアツは孤島なうえ、14の異なる島で成り立っています。国民は非常に広域に分散して生活を送っているため、最も厳しい状況に置かれているコミュニティに辿り着くことが困難です。ユニセフはそのような地域で暮らす住民に支援を届けるため、力を尽くしています」(ミーガン専門官)

支援のニーズを把握するため、ミーガン専門官はポートビラの主要な病院を訪れました。ミーガン専門官は今後生じるであろう多くの課題が浮き彫りになったと語る一方、医療従事者の働きに勇気づけられたといいます。「病院は負傷者や下痢や感染症にかかった人たちで溢れかえっています。しかし、重度の衰弱状態にある子どもたちを受け入れる準備が整っており、とても安心しました。困難な状況下、大混雑の病院のなかで、スタッフは素晴らしい対応を行っていると思います」

ユニセフは子どもたちが再び学び、遊ぶことができるようにするため、「子どもにやさしい空間」の設置と、コミュニティへの保健キットや衛生キットの配布準備を進めています。

「食糧事情は、栄養問題の基盤となるものです。子どもたちや幼い子どもをもつ母親の栄養のニーズを満たすことができるよう、緊急に支援が必要とされています」(ミーガン専門官)

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