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ウガンダ北部:避難民キャンプでは女子教育が課題【2006年12月19日 パッボ避難民キャンプ、ウガンダ・アチョリ地方発】
クリスティーナ・ローウィルは、パウェル近郊の彼女が住む村へ反政府軍LRAがやってきた日のことを今でも鮮明に思い出すことが出来ます。「夫は庭で作業をしていました。そのとき、反政府軍が私たちの村を襲撃したのです」と、クリスティーナは話します。「反政府軍は夫がついに息絶えるまで殴り続けました。」 残されたクリスティーナと3人の娘達の生活は悲惨なものでした。30キロも旅をしてやっとたどり着いたのが、荒れ果てた広大な土地に設置されたパッボ避難民キャンプでした。クリスティーナは家族4人でもう5年間もここで生活しています。 160万人もの避難民ウガンダ北部で20年にわたって続く紛争は、世界でも最悪の人災の一つであるといえます。人道支援機関が「静かな緊急事態」と呼ぶこの人道危機について、国際社会は依然として無関心であるのが現状です。 しかし、避難民の数だけでもウガンダの悲惨な状況がわかります。ウガンダ北部では200カ所以上の避難民キャンプに160万人の避難民が生活しています。そのうち80%が子どもや女性です。 ここでは、平穏な安定した生活というものが跡形も無く消え去っています。衛生環境は最悪で、最低限の保健施設しかありません。パッボ避難民キャンプ周辺地域は閑散としている上に、農地はどこも休耕中のため、支援機関の食糧援助に頼らざるを得ません。 困難な状況下でも学びつづける子どもたち
女の子の中退率が高い理由社会構造の崩壊は、家族にとって大きな負担となります。女の子の中には12歳という若さで、結婚するために学校を中退する子もいます。また、初潮を迎えると学校を辞めてしまう女の子も多くいます。多くの学校では、トイレが男女共用であるために、恥ずかしさから学校に通えなくなってしまうのです。 オリンガ・スクール6では、現在教室の隣に女子用トイレを建設中です。 このままではクリスティーナは、中等教育にかかる莫大な費用を負担できず、キャサリンを学校に通わせ続けることが出来なくなってしまうかもしれません。現在ユニセフと他の支援機関は、すべての子ども、特に女の子が学校教育を修了できるように、中等教育にかかる費用の値下げを要求しています。 2006年8月にLRAとウガンダ政府が歴史的な停戦合意に調印してからは、アチョリ地方でも状況の改善が見られます。現在まで誘拐の事例は一件も報告されておらず、人々は少しずつ避難民キャンプを離れて故郷へと帰還しています。 クリスティーナの家族も故郷に帰りたいと切に願っていますが、それにはこの不安定な停戦状態が続くことが条件です。「避難民キャンプでの生活は良好とはいえません、特に子どもたちにとっては厳しいものです」と、彼女はいいます。「早く家に帰ることが出来るように祈っています。」 平和と発展ミレニアム開発目標の中には、「初等教育と中等教育の就学率における男女格差をなくす」という目標があります。 他の7つの目標と異なり、この目標は2015年ではなく、2005年までの達成が目指されていました。パッボ避難民キャンプを含めウガンダ国内の他の地域でも、この目標は達成されていません。最近の統計によれば、全世界では、学校に行っていない男の子100人に対し、女の子は117人が学校に通っていないことになります。 世界中に散らばるユニセフ現地事務所と同様に、ユニセフ・ウガンダ事務所は教育機会の男女平等を促進するために活動しています。ウガンダでは就学前教育を促進し、北部では教科書や学用品を提供しています。他にもウガンダの子ども達を守るために数々の活動が実施されています。 しかし、ウガンダの発展にとって1番大切なのは、この平和が永久に続くことです。 |