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公益財団法人日本ユニセフ協会

子どもと防災
−東日本大震災後の子育て支援や子ども中心の防災・復興の仕組みづくり

被災地における子育て支援の仕組みづくり

東日本大震災は、被災地の子どもたちを取り巻く環境を一変させました。大切な家族や親戚、友人を失った子もいます。住み慣れた家や地域を離れざるを得なくなったり、転校を余儀なくされた子も少なくありません。子どもの遊び場も減りました。生活基盤の再建に忙しい子育て世代のおとなは勿論、以前のように祖父母や地域の人たちが子育てに参加することも難しくなっています。発災から3年を経て、遺児や孤児を支える保護者や支援者の負担も増しています。日本ユニセフ協会では、子どもたちを支える立場の方々に広がるこうした不安やストレスが、暴力などの形で家庭生活や子育てに暗い影を落とすことがないよう、また、震災前から少子高齢化が進んでいた多くの被災地で、地域に根ざした子ども・子育て支援の体制が構築されるよう、2011年から、国内の専門家団体や被災地の自治体の方々などと連携しながら、中長期的な視野で支援を続けています。

子ども中心の防災・復興に向けて

■子どもの課題を復興政策へ

当協会は、被災地で子ども支援・子育て支援に取り組む団体が課題や情報を共有し、子どもの権利を基盤にした復興支援を後押しすることを目的につくられた「東日本大震災子ども支援ネットワーク」に運営団体の一つとして参加しています。被災地の自治体関係者や関連省庁、国会議員、市民団体などが一堂に会する意見交換会を国会議員会館で定期的に開催し、被災地の子どもを取り巻く課題が復興のための政策に反映されるよう、働きかけを続けています。

また、宮城県議会でも、県議会議員の方々との宮城県における被災した子どもたちの支援にかかる意見交換会を開催しています。

■震災の経験の共有−次への備え

東日本大震災後に当協会が実施した緊急支援・復興支援の経験を、今後の防災や復興に活かすため、ガイドブックなどを制作し、関係者に提供しています。2013年2月には、震災で大きな被害を受けながら、保育中の子どもたちや勤務中の職員の犠牲者が皆無だった岩手県の経験を『東日本大震災津波 岩手県保育所避難状況記録』にまとめ、公表しました。10月には、震災後の支援の経験を踏まえ、災害時の子どもたちの保護とこころの健康支援のための指針となる、ユニセフ『子どもにやさしい空間ガイドブック』の日本版を作成し(独立行政法人 国立精神神経医療研究センターと共同制作)、11月の東日本大震災子ども支援意見交換会において発表しました。これらを通して、東日本大震災の教訓が次の"万が一"への備えにつながることを願っています。

■子どもたちが主役の防災・復興を世界へ

子どもたちは支援を受けるだけではなく、様々なプロセスに主体的に関わり貢献することができるとの考え方に基づき、当協会は、2011年後半から被災地において、子どもたち自身が参加する「子どもにやさしい復興計画」づくりを支援し、子どもたちの声をきくシンポジウム等も実施してきました。

2015年3月、宮城県仙台市で開催された「第3回国連防災世界会議」は、東日本大震災被災地の復興を世界に発信し、防災に関する日本の経験と知見を国際社会と共有する機会となりました。同会議では、パブリックフォーラムとしてシンポジウムを開催し、被災地の子どもたちの声を世界に届け、子どもの視点での復興と防災の取り組みの必要性を訴えました。

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