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財団法人日本ユニセフ協会




ミャンマー サイクロン被害第5報
  子どもたちに安全な飲料水確保を−ユニセフの支援物資、ミャンマーに到着
 

【2008年5月9日 ミャンマー・ヤンゴン発】

サイクロンの被害を受けた旧首都ヤンゴン市内の状況。
© UNICEF Myanmar/2008/ Khin Khin Pyone
ユニセフは、他の支援機関・団体とともに、ラプッタ地区の避難所で支援を行っています。ユニセフは避難所で必須の医療物資、水浄化剤、避難用キットを配布しています。

サイクロン「ナルギス(Nargis)」による被害の発生から10日。現地9日(金)午前8時45分、旧首都ヤンゴンに水浄化剤300万人分が、隣国タイから到着しました。

物資は、デンマーク・コペンハーゲンのユニセフ物資供給センターから8日(現地時間)、発送されました。ミャンマー税関による検査に1日〜2日かかることが予想されていますが、ユニセフは、検査が終わり次第、現地の協力団体とともに、被災者に配布する準備を進めています。

続々と到着する救援物資

ユニセフは、民間機を利用し、今後3日間で、さらに多くの追加支援物資をミャンマーに空輸します。栄養不良の子どもたちのために、医療物資やブドウ糖液、マスク、ビタミンAや栄養補助ミルクなどの緊急保健物資を届ける予定です。

「ユニセフは、小口の緊急支援物資でも準備でき次第、直ちにミャンマーに発送できるよう、民間の定期便を利用しています。それに民間機は、すでに定期便として空路やスケジュールが確立していますから、特別機をアレンジする時に必要な許可を取る必要はありません。」(モリナーロ担当官)。

ますます不安定になる現地状況

サイクロンの被害を受けた旧首都ヤンゴン市内の状況。
© UNICEF Myanmar/2008/ Khin Khin Pyone
ラプッタ地区の僧院前を歩く、サイクロンで怪我した少女。

国連は、ミャンマーの状況はますます不安定になっており、サイクロンの被災者は150万人に及び、死者も10万人に上る可能性もあるとしています。低地のイラワジデルタ地帯は、最大の被災地です。

ユニセフ・ミャンマー事務所のホアニータ・バスケス代表代行は、同事務所が各地の被災地に派遣した緊急支援チームが、洪水被害が相当広範囲に広がっていることを確認していると伝えています。

「被災者は、すべてを失ってしまいました。彼らが直面する事態はきわめて深刻です。とくに、ミャンマーの子どもの命を救うためには、一刻一秒を争う状況です。ぜひ、サイクロン被害に遭った子どもたちの命を救うために、皆さんの力をかしてください。」 バスケス代表代行は、力をこめて訴えます。

安全な飲料水の確保

サイクロンの被害を受けた旧首都ヤンゴン市内の状況。
© UNICEF Myanmar/2008/ Khin Khin Pyone
ボランティアの炊き出しを待つ被災者たち(ラプッタ地区にて)。

今回被災したと想定される150万人の最も差し迫った問題は、飲料水の不足です。サイクロン被害からわずか一週間ですが、ユニセフは、不衛生な飲料水や衛生状態の悪化が原因と思われる下痢性疾患が既に発生していると報告しています。5歳未満の子どもは、特に危険です。

今朝(現地時間9日午前8時45分)到着した水浄化剤は、500万リットルの汚染水を浄化できます。20万人が1週間暮らすのに十分な量です。多くの幹線道路は瓦礫や倒木で寸断されており、水浄化剤を迅速に配布することが、飲料水を輸送するよりも効率的なのです。

ユニセフは、不衛生な飲料水が子どもたちの健康に与える影響を心配しています。飲料水と衛生設備(トイレ)がなく、現在のように避難所も整備されず栄養不良状態では、病気と飢えにさらされてとても困難な状況にある子どもたちは、さらなる危険に襲われてしまいます。

子どもたちの命を救うために

サイクロンの被害を受けた旧首都ヤンゴン市内の状況。
© UNICEF Myanmar/2008/ Khin Khin Pyone
川沿いのピン・サル村で、小さい男の子を抱えて避難する女性と少女。この村には、5,000人の住民がいましたが、生存者は100人だけです。

ミャンマーで活動する国際機関やNGOなどの人道支援機関の中で、ユニセフは、飲料水と衛生設備(トイレ)の分野での活動をリードしています。 ユニセフの保健専門家は、最大の被災地イラワジデルタ地帯ではすでに、子どもたちの20パーセントが下痢性疾患に罹っており、マラリアが発生していると報告しています。水を媒介とした寄生虫の発生に備えるため、ユニセフは、すでに配布した衛生キット15,000個をさらに20,000個追加で供給する予定です。また、家を失った被災者用のキャンプに、多くの簡易トイレの設置を計画しています。

ユニセフは、今後半年間、ミャンマーで安全な飲料水や衛生設備(トイレ)などの必須の公衆衛生サービスや、子どもの保護、一刻も早い学校教育の再開、通信設備(電話サービス)の再建など、必須のインフラを取り戻すために、国際社会に約2,600万ドル(およそ27億円)の支援を要請しました(注:現地の被害状況の拡大を受けて、8日付け発表の緊急支援要請から増額をしました。)