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財団法人日本ユニセフ協会




ミャンマー サイクロン被害第13報
  求められる「子どもに優しい空間」設置拡大
 

【2008年5月21日 ミャンマー・ヤンゴン発】

ミャンマーサイクロン 避難所の子どもたち
© UNICEF Myanmar/2008
「子どもに優しい空間」で遊ぶ子どもたち

「もしママがここにいたら、私は死なないよね?」。まだ言葉を覚え始めたばかりの3歳になるスーワイちゃん(3歳)は、サイクロン「ナルギス」に襲われた直後の混乱の中、お母さんにこう問いかけました。

スーワイちゃんの暮らしていた地域は、約3メールもの波に襲われ、彼女は、お母さんから引き離されてしまいましたが、必死に木につかまり一命を取り留めました。

スーワイちゃんのお姉さんのエイ・エイ・ニェインさんは、「(あの経験をしてから)妹は、雨が降るといつも、おびえてお母さんにしがみつくの」。と話します。子どもがお母さんなどにしがみつくことは、サイクロンのような災害を経験した子どもには、よく見られることです。

スーワイちゃんと同じ3歳のパパちゃんも、このサイクロンで被災した子どもの一人。パパちゃんの村では、全ての家屋が倒壊し、住民の中には、倒木の下敷きとなって命を落とした人もいました。パパちゃんは、怪我を負い、何時間にもおよぶ深刻な豪雨と暴風、そして寒さに耐えながら、お母さんと共に、数時間かけて寺院に設置された避難所にたどり着きました。

サイクロン被災者全体の約40%は、子どもたちと見込まれています。そして彼らの多くが、スーワイちゃんやパパちゃんと同じような境遇に置かれています。ユニセフは、家族を失ったり、離れ離れになったりしている子どもたちと若者の保護、支援のための「子どもに優しい空間」の設置を急いでいます。こうした空間の設置場所を提供してくれている被災地や避難所のコミュニティの人々、そしてNGOなどとともに、「子どもに優しい空間」では、子どもたちが少しでも「日常」を取り戻せるよう、そして、周囲の大人との間や子どもたちの間で信頼できる関係を構築できるようなケアサービスを提供しています。歌やお話の読み聞かせ、ゲームなどのレクリエーション活動の他、子どもたちは、病気などから身を守る方法や、自分たちに危害を及ぼす可能性のある人々から身を守る術、不衛生になりがちな環境の中で必要なトイレの仕方や衛生の知識も教わっています。また、仮設の教室(学校)としての活用も始まっています。

ミャンマーサイクロン 避難所の子どもたち
© UNICEF Myanmar/2008
ユニセフは、被災地の避難所で「子どもに優しい空間」の設置を進めています。

また「子どもに優しい空間」では、この場所を訪れた子どもたちの名前を登録し、肉親と離れ離れになった子どもたちを親に引き合わせる活動も進められています。保健や心理面での訓練を受けたスタッフがケアにあたり、高度な治療やケアが必要になったりした場合などは、子どもたちをより専門性の高い施設に搬送する準備も整えています。

既に多くの避難場所に「子どもに優しい空間」が設置されました。しかし、こうしたケアを必要としている子どもたちはまだまだ大勢残されています。多くの建物が崩壊し、被災地の人々が、自ら生きるために奮闘している中、ユニセフは、可能な限りこの活動を拡大すべく奮闘しています。