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財団法人日本ユニセフ協会






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(第20報)


ポリオワクチンの投与を受けるモルディブ・クダフバドゥ島の赤ちゃん。モルディブでは、1万人以上の子どもたちが予防接種を受けました。

みなさまのご支援があったからこそ

ユニセフは災害直後から現地で救援活動を開始、けがや病気の手当、安全な飲み水の供給、衛生環境の整備、乳幼児への栄養補給、はしかやポリオ、コレラなど感染症の予防に奔走しました。こうした努力の甲斐あって、当初懸念されていた感染症の流行は、現在まで何とかくい止めることができています。

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一人ひとりに会って、話を聞いて、記録をつくって

「お母さんは津波で海にさらわれました。お父さんは4年前に亡くなりました。これまでも貧しかったし、これからどうしたらいいかわかりま せん...」耳が不自由なため、手話で話す14歳のスバ。こうした弱い立場におかれた子どもを標的に、やさしい言葉をかけ、たくみに子どもを他国へ連れ出そうとする斡旋業者がいます。スリランカではこの津波で、5000人近い子どもが両親または片方の親を失ってしまいました。

ユニセフは子どもたちを人身売買や性的搾取、暴力などから守るために、パートナーと協力し子どもの保護に取り組んでいます。子ども一人ひとりの記録をつくり、必要な支援を行い、生きる希望と生活力を身につけていけるよう長期的な活動を進めています。


ソマリアのハフン村では津波で井戸に海水や泥が流れ込み、使えなくなってしまいました。ユニセフはただちに、ポンプで井戸から海水や泥をくみ上げる作業をスタート。

井戸が使えるようになるまで数週間にわたり、92km 離れた給水所から毎日水を運び続けました。「ユニセフがきれいな水を運んでくれなかったら、この子も下痢になったりコレラにかかっていたかもしれません。浄水剤、石けん、蚊帳なども支給され、予防接種もしてもらったんですよ」と、避難生活を続けている母親は笑顔を見せてくれました。

半数以上の家が全・半壊したハフン村。
子どもたちを1日も早く学校に戻そうと、ユニセフや村人たちが力を合わせて仮設校舎をつくりました。子どもたちは今日から登校!配られたノートを大事そうにかかえてうれしそうです。


マディフシ島の開校式はカラフルでした

マディフシ島では、1005人の島民の半数近くが津波に家を破壊されました。

待ち遠しかった学校再開の日。あちこち修復され、真新しいタイルがはられた校舎に、おそろいのシャツを着た子どもたちが集まってきます。教室の壁を飾るのは、色とりどりの絵や学習教材。つらい体験をした子どもたちを元気づけようと、この日のために先生方が飾りつけました。まだ椅子も机も充分にそろっておらず、床に直接座っての開校式となりましたが、懐かしい教室、先生、友だちに囲まれて、子どもたちはとても安心したようす。津波以来ほとんど口をきかなくなってしまった子どもも、この日は笑顔を見せてくれました。この子たち全員が、津波の恐怖を乗り越えて前向きに生きていける日までーーユニセフがすることはまだたくさんあると実感した1日でした。

つらい体験を絵に描くことで、子どもたちの心の傷が少しずつ癒されていきます。

山みたいに大きな波がみるみる押し寄せてきて、住んでいた場所があっという間に海になりました。水に浸かった家や木、今にも倒れそうなヤシの木。人もドアもドラム缶もみんな流されてしまいました。木にかじりついて助かった人もいました。

目の前で木が倒れ、家が壊れ、瞬時にすべてがのみこまれ水に浸かってしまいました。
屋根に登って助かった自分。「赤」はしばしば強い感情やストレスを表わし、「黒」は恐怖を表わします。

恐かった津波。津波にのみこまれた人の表情に恐怖が見えます。5歳の子が描きました。

インドの避難所にいた赤ちゃん。ひどい下痢になってしまいました。もし、ユニセフから届いたORS( 経口補水塩)や栄養補助食がなかったら、今ごろは... 。
災害後直ちにユニセフがインド国内で提供したORSは20万袋。多くの子どもの命が助かりました。


「みんなの願いごとがいっぱい実る木を作りましょう。」先生に促されて、自分の描いた絵をはり付ける子どもたち。これは「幸せの木」と呼ばれるトラウマ克服プログラムのひとつです。
学校のような建物や、お母さんの姿を描いた絵もあります。津波で母親と妹を失ったタイの11歳の少女ウサは「今もつらいです。お父さんだってつらいのに、私のために明るくふるまっています。お母さんを思い出すと涙がとまりません。だけど、強くならなくっちゃ...」それぞれの願いをこめてはり終えた子どもたちの表情は、少し穏やかになっていました。


インドネシアでは急きょ20カ所に家族捜索センターを設けました。ここには毎日大勢の親が我が子を探しにやってきます。

「隣町のセンターに同名のお子さんが保護されています。確認を取ってみましょう。」このようにして運良く再会を果たした家族がいる一方、混乱の中で、密かに連れ去られてしまう子どももいるため、ユニセフは保護が必要な子どもの登録を急いでいます。

インドネシアのアチェでは、150人近い子どもが木の下に集まって「心を癒す青空教室」。ユニセフから届いたアクティビティキットを使って絵を描いたり、歌ったり、踊ったりで、みんなで大笑い。楽しいプログラムで一瞬だけでも津波のことが忘れられます。



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さらに支援の内容の詳細についてはこちらもご参照ください。

スマトラ沖地震・津波緊急支援90日間の特別報告

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