|
コートジボアール:避難民キャンプの子どもたちのための教育支援【2011年6月24日 リベリア発】
フィリップ・チェウグイさん(40歳)は、かつてはコートジボアール西部の町ダナエの学校で、歴史と地理を教えていました。素晴らしい教師であり、人々の代弁者として多くの人に勇気を与えていました。 現在、フィリップさんは、リベリアのバーン避難所で、防水シートで作られた避難テントでの暮らしを余儀なくされています。彼は、避難テントの脇食事の準備をする妻の姿を、絶望とそして安堵の気持ちをその目にたたえながら見つめています。彼は、自分たちが生き残ることができた幸運を理解しています。 集中攻撃フィリップさん一家をはじめとする100万人の人々が、去年の11月に行われた大統領選挙を発端とする激しい政治争いに巻き込まれました。「大統領選挙後の暴力、特に身体的な虐待や殺戮を逃れて、コートジボアールを離れました」と、フィリップさんは話します。「私は教師でしたし、私たちの社会が直面している問題について公然と語っていたので、私は標的にされ、とてもひどい仕打ちを受けました。」 コートジボアールで勃発した暴動から6ヵ月以上が経過していますが、いまだに4,000人以上の人々が、ここでの避難を続けています。しかしながら、その大多数は、国境沿いに点在している辺境の村落で、リベリア人家庭に身を寄せています。14万人以上の避難民がいまだにリベリアに留まっているものと推定されています。
フィリップさんは、こうした不安的な状況に疲れきっているものの、予期せぬチャンスの訪れに、元気を取り戻しつつあります。フィリップさんは、現在、ユニセフとパートナー団体が支援しているコートジボアールの避難民のための小学校の校長を務めているのです。この小学校には、1年生から6年生までの約800人の子どもたちが通っています。子どもたちは、コートジボアールの教師19名により、故郷と同じカリキュラムで授業を受けています。 ユニセフにとって、こうした危機的状況下で、子どもたちが教育を受けるための施設を整えることは、最優先事項のひとつです。「緊急状況下での教育の意味は、一つは、学校という場所で子どもを保護することができるという点です。学校にいることで子どもたちに日常の感覚を取り戻させ、毎日のリズムを構築し、また子どもたちが街にでることを遠ざけることができるのです。」「しかしながら、同時に、子どもたちへの質の高い教育も確保したいのです。ユニセフは、学用品や教科書を支援してこうした支援を実現したいと思っています。」ユニセフのフランセスカ・ボノモ緊急教育担当官はこう説明します。 教師研修の実施ユニセフは、困難な状況に置かれている子どもたちのために、避難キャンプ場で、コートジボアールの教師への訓練を実施しています。設置された「子どもに優しい空間」で、教師たちは、恐怖心や不安を取り除く活動に子どもたちを参加させていきます。子どもたちの多くは、家族や親戚を殺されていたり、死を目の当たりにしています。また、リベリアへいくために両親と離れ離れになった子どもたちもいます。
「ほとんどの教師は資格を持っていますが、私達の調査の結果、彼らのほとんどが技術が不足しており、このような緊急事態の影響を受けている子どもたちの接し方を学ぶ必要があると考えています。ですから、こうして子どもたちのライフスキルを改善することができるよう研修を実施しているのです。」ボノモ教育担当官はこのように話します。この研修には、心理社会的な支援と衛生習慣を促進するための研修も含まれています。 また、ユニセフは、幼稚園や保育園のようなスペースで、5歳未満児のための早期幼児開発活動も支援しています。このスペースは、幼い子どもたちが遊んだり、安心できる場所です。幼い子どもたちは、今はこの混乱を理解できないかもしれません。しかし、これから先、長期にわたって、彼らの記憶に刻み込まれるであろう状況を体験してしまっているのです。 雨期との闘いリベリアは雨期に入ると、避難を余儀なくされている人々の最も基本的なニーズを満たすための支援でさえ、非常に困難な状況になります。すでに食糧は乏しく、森林や寸断された橋を通過しなければならない支援物資の輸送は、今後益々厳しくなる見込みです。人道支援団体が、農村部への支援物資の輸送や今後半年間に必要な食料や生活必需品を確保するための時間は限られています。 避難所を脅かす嵐や、避難民の希望に影を落とす暗雲が、今後最大の危機とならないよう、ユニセフは警鐘を鳴らしています。 |