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財団法人日本ユニセフ協会



難航する支援活動

【2006年8月4日、ニューヨーク発】

©UNICEF/ HQ06-1118/Kate Brooks
母親を爆撃で殺され、悲しみにくれるランダちゃん(6歳)。レバノン南部ティブニンにて。

レバノン北部への空爆により、国外とつながっていた最後の道路が破壊され、人道支援活動が深刻な影響を受けています。

地中海に面する町アリダを通る経路は、シリアからレバノンへ陸路で国境を越える最後の手段でした。紛争で避難民となったベイルートやレバノン南部の数千人もの子どもたちへ緊急支援物資を届けるために、この道は使われてきました。数日中にさらにいくつかの輸送計画が予定されていました。輸送経路上の4つの橋が破壊され、人道支援活動に大きな影響を与えています。

予防接種キャンペーンも影響を受ける

©UNICEF Lebanon/2006/Debbas
ベイルート市内の避難民キャンプではしかの予防接種を受ける15ヶ月の赤ちゃん

ベイルートへの空爆も、現在ベイルートで行われているはしかの予防接種とビタミンA補給キャンペーンへの妨げとなっています。空爆のため、キャンペーンをサポートしている5つのNGOのうち3つが活動できず、多くのレバノン市民も危険をおかして子ども達とともに外を歩くことができません。

レバノン保健省がユニセフとWHO(世界保健機構)、NGOの支援を受けて実施している予防接種キャンペーンは、最初はベイルート周辺の混雑して衛生的ではないキャンプで生活を余儀なくされている1万8,000人の子どもを対象に実施されています。

キャンペーンでは、はしかのワクチンを15歳未満の子どもたちに提供しています。5歳未満の子どもには、ポリオの経口ワクチンと免疫系を高めるためのビタミンA補給も行われています。

「より懸念しているのははしかです。レバノンでは以前はしかの事例があったので。」ユニセフの保健担当官ネジブは言います。「全ての子どもに予防接種することはとても大切です。子どもたちは、病気にかかる前に他のセンターに移動して、病気を運んでしまうかもしれません。」

援助関係者は危機に晒されている子ども達を支援するために全精力をささげています。しかし、レバノンの不安定な燃料事情も新たな課題となっています。ユニセフでは、支援活動のためにあと3日分の燃料しかありません。

増える犠牲者と破壊されたインフラ

ヒズボラとイスラエルの敵対が始まってから3週間以上がたち、レバノン国内で90万人以上(人口の約4分の1)が避難民となっています。ユニセフは、そのうち45%は子どもであると推定しています。

レバノンでは約860人が死亡し、3,000人以上がけがをしています。イスラエルでは、55人が死亡し、200人以上がけがをしています。

市民の犠牲者のみならず、紛争はレバノンのインフラにも深刻な損害を与えています。

「現段階では、損害がどのくらいかを現実的に計算することは非常に困難です」レバノン南部で3日間の任務から戻ったばかりのユニセフ緊急事態上級アドバイザーのポール・シャーロックは言います。「私達が昼間訪れたいくつかの村は、戻ってきたときにはさらなる爆撃を受けていました。危機は終わっていません。しかし、危機が終わったときも非常に多くのやるべきことが残されるでしょう。」

ユニセフのレバノンに対する人道支援要請は、現在まだ資金が足りていません。各国政府から支援の約束が表明されていますが、現在までにまだ支援要請額の5分の1しか集まっていません。