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紛争後の生活を支える水と衛生の支援【2006年9月25日、レバノン エル・キアム発】
エル・キアムはレバノン南部の国境付近に位置する町で、イスラエルとヒズボラ間の最近の戦闘で深刻な被害を受けました。被害を免れた建物はひとつもなく、町の70%以上の家屋が倒壊し、5校あった学校のうち3校が破壊されました。 町に4つある保健センターのうち機能しているのは1つだけです。水源や浄水場も戦闘によって被害を受け、復旧には長い時間がかかると見込まれており、現在、水道水を使用することはできなくなっています。 このような状況下で生活する、約23,500人の住民の多くは、冬の訪れと共に、ベイルートやティールといった都市に移ると見込まれています。 容易になる物資輸送
ひとりでも多くの住民が安全な水を利用できるように、ユニセフはエル・キアムに2つの仮設貯水タンクを設置しました。また、ユニセフはこの地域へトラックによる水の輸送もしており、飲料水のペットボトルには、市民、特に子ども達の命を脅かす不発弾やクラスター爆弾の危険を知らせるラベルが貼られています。 停戦発効後、ユニセフは、エル・キアムを含めたレバノン南部に、約200万リットルの水を供給してきました。 「現在、レバノン南部への援助物資の輸送は容易になってきています。」ユニセフの物流担当官クリストフィー・ディローデは言います。「以前は、集団で動かなくてはいけませんでした。今は、トラック一台一台が単独で動くことができるので、物資の輸送をより的確に細かくできるようになりました。」 各家庭に衛生キットを配布エル・キアムに生活する家族が日常の生活を取り戻せるよう、ユニセフはトラック2台分の衛生キットを配布しています。現地のボランティアが各家族をまわり、家を失った人や、高齢者、幼い子どもを抱える家族を優先しながら、石鹸、歯ブラシ、タオルなどの必需品を含む衛生キットを手渡します。 公共サービスが機能停止に陥っている状況では、このような衛生キットは大きな意味を持ちます。数週間も放置されたままの山積みのゴミが道端で腐り、衛生状態の悪化が懸念されています。また、エル・キアムでは営業を再開した店がある一方で、紛争がレバノンの経済に与えた影響は大きく、依然として多くの人々が必要なものを購入できないでいます。 しばらくの間は、町に住む子どもたちの多くが、紛争後の困難な状況において気を紛らわせてくれる、ものめずらしい衛生キットに心を躍らせています。 |