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中国大地震 第16報
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© 日本ユニセフ協会 |
1998年の就任以来、世界各地のユニセフの現場を訪れてきたアグネス・チャン日本ユニセフ協会大使(中央)。 |
死者7万人、怪我人37万人あまりを出した四川大地震の発生から1ヶ月が経過。復興への歩みも着実に始まっている一方、未だに何千・何万もの人々が、仮設テントなどでの不自由な生活を余儀なくされています。
今回の地震では、特に子どもたちへの被害が深刻でした。1万3,000以上の学校が全半壊となり、1万人近い子どもたちの命が奪われました。生き残った子どもたちも、愛する家族を失い、目の前で友人を亡くすなどの過酷な体験を強いられ、その多くが心に深い傷を負っているとみられています。
中国政府は、地震直後、国内各地から1,000人あまりの精神科医やカウンセラーを被災地に派遣。子どもたちをはじめ被災地の人々に、「心のケア」支援を実施しましたが、1ヶ月を経た今、こうした支援は徐々にその活動規模が縮小されつつあります。しかし、被災地では、子どもたちのみならず、彼らの親、さらには子どもたちが立ち直るための「拠り所」となる学校の先生の中にも、PTSD(心的外傷後ストレス障害)の兆候が表れ始め、自殺数の増加も報告され始めています。
こうした被害の拡大・深刻化に対応するため、中国政府は、ユニセフ(国連児童基金)に対し、テントや医薬品などの物資支援に加え、子どもたちの置かれている状況を緊急に調査し、「心のケア」支援に当たるよう要請。5月22日に、中国政府とユニセフの合同専門家チームが活動を開始しました。
1998年の就任以来、毎年、世界各地のユニセフの現場を訪れ、一般のメディアではあまり伝えられることのない世界の子どもたちの状況を日本に伝え、支援を訴えてこられたアグネス・チャン日本ユニセフ協会大使。
内戦のスーダン南部や戦争直後のイラク、カンボジア、東チモール、スーダン・ダルフール、レソト、昨年のインド・スラム地域などに続き、11回目の視察となる今回は、5月12日に発生した四川大地震の被災地を訪問。困難な状況で暮らす子どもたちを励ますため、地震被害の大きかった四川省北川県、安県、徳陽市や綿陽市などを訪ずれ、ユニセフが各地で実施する「心のケア」支援活動や仮設学校での教育支援活動などを視察します。